この「沖縄からグアムおよび北マリアナ・テニアンへの海兵隊移転の環境影響評価/海外環境影響評価書ドラフト」を読んで、在沖縄海兵隊はおろか普天間の部隊がグアムに移転するなんて言う人間は、よほど日本語の読解力がないか、それとも故意に事実を曲解しているかです。
http://www.city.ginowan.okinawa.jp/DAT/LIB/WEB/1/091209__tenpsiryo_2.pdf

例えば9頁のここ↓

>1.4.2.1 条約と同盟の要件
在沖海兵隊の約半数をグアムへ移転させるという計画は、条約や国際防衛協力、そして
フィリピン、オーストラリア、ニュージーランド、韓国、日本、タイといった西太平洋
地域の米国の同盟国と日本との同盟関係の要件を満たしたものでなければならない。

ここでは「在沖海兵隊の約半数をグアムへ移転させる・・・」と言っていて、この約半数が8000名なんだから沖縄にも約半数の8000名程度が残るということになる。

次に同じく9頁のここ↓

>防衛政策見直しイニシアティブ(DPRI)
(中略)
日米両政府は、前方展開米軍の抑止効果と米軍プレゼンスによる負担の軽減という沖縄
県民の強い要望とのバランスを考慮しながら交渉し、これら目的を達成するための相互
につながりを持ち実現可能な措置と適切な財源措置を講じた。その中には、海兵隊普天
間飛行場の海兵航空能力を新施設へ移転すること、在沖海兵隊とその家族のグアム移転、
沖縄に残る海兵隊の統合及び基地返還を含んでいる。

ここでは「海兵隊普天間飛行場の海兵航空能力を新施設へ移転する」と普天間の部隊は新施設に移転するだけだと言っているし、「沖縄に残る海兵隊の統合及び基地返還を含んでいる。」とグアムに移転する海兵隊部隊と普天間の航空部隊は区別されている。

次に10ページの「1.4-1表 東南アジアへの空・海路の対処(配備)時間」には移転候補地のハワイ・アラスカ・カリフォルニア・グアムから沖縄・台湾までのみの配備時間が記されていて、明らかに移転する在沖縄の3MEFの重要任務が台湾有事対応であることを表している。
また同じ10ページの「1. 4-2表 西太平洋地域内で沖縄、台湾までの空・海路の対処(配備)時間」でも同じようにフィリピ・ 韓国・タイ・オーストラリアから沖縄・台湾までのみの配備時間が記されている。

次に12頁のここ↓

>第1海兵航空団と付随部隊の航空戦闘要素(ACE)。ACE は、海上及び陸地にある様々
な施設から海兵空陸機動部隊(MAGTF)の支援任務にあたる。強襲上陸やその後の作
戦支援が重要な任務である。ACE は、海兵航空団司令部、遠征及び駐留部隊の支援組
織から成る。飛行中隊とは違い、航空司令部や一般的な支援機能は飛行場や上位司令部
の近くに置くことができるものの、必ずしも飛行場に配置する必要はない。予定隊員
数:1856人。

ここではグアムに移転する航空部隊を「第1海兵航空団と付随部隊の航空戦闘要素」と言っているが、普天間にいる第36海兵航空群は「上陸作戦支援対地攻撃・偵察・空輸などの任務にあたる航空部隊」であり、「航空戦闘要素」を持った部隊ではない。
この「航空戦闘要素」を持った部隊とは、恐らく岩国基地所属でF/A-18戦闘攻撃機やAV-8ハリアー II攻撃機を保有する第12海兵航空群であると考えられる。

最後に15ページのここ↓

>。マリアナ諸島での訓練計画や任務要件次第では、MEUは沖縄あるいはカリフォルニアからグアムへ配備され、テニアンへ行くか、あるいは戦術的艦船で直接テニアンへ入り機動訓練を行う選択肢もある。

ここでは「、MEUは沖縄あるいはカリフォルニアからグアムへ配備され、テニアンへ行くか、あるいは戦術的艦船で直接テニアンへ入り・・・」と言っており、グアムに赴き訓練をする沖縄駐留のMEUがあることが明記されているので、グアムに全移転などありえないことが明確である。

ざっと抜き出しただけでも、この宜野湾市が抜粋翻訳した「「沖縄からグアムおよび北マリアナ・テニアンへの海兵隊移転の環境影響評価/海外環境影響評価書ドラフト」の中にはこれだけの「在沖縄海兵隊の全グアム移転は無い」「普天間基地所属部隊のグアム移転は無い」「在沖縄3MEFの重要任務は台湾有事対応である」という証拠が盛りだくさんなのです。

この資料を見て「在沖縄海兵隊はグアムに全移転する!」「普天間基地所属部隊はグアム移転に移転する!」「在沖縄3MEFの重要任務は台湾有事対応ではない!」などと言えるでしょうか?

再度言っておきますが、この抜粋翻訳された「「沖縄からグアムおよび北マリアナ・テニアンへの海兵隊移転の環境影響評価/海外環境影響評価書ドラフト」は宜野湾市が提示したものです。

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