yo_k_o

よこ · @yo_k_o

25th Sep 2010 from Twitlonger

双花・・?2 #saiuncafess 「久しぶりですね」
「お久しぶりです。・・・楊修先生はどうして?」
たしか、黎深様の第一秘書を務めているはずだ。
「なんででしょうね?そちらの方は?」
「ああ、友人の藍楸瑛です」
「はじめまして。絳攸がギャルソンをするって聞いて、おもしろそうだとついてきたんです。まだギャルソンの募集をしてますか?」
楊修はじっと楸瑛の顔を見つめていたが、ふ、と微笑みを浮かべると
「こちらこそ。心強いですよ」
そう言って、二人を更衣室に案内したのだった。

「絳攸、もっと笑顔で」
戻ってきた絳攸に楊修が厳しく言う。
「はい・・・」
「姿勢が悪いですよ」
さらに追い打ちをかけるように楊修が言った。
絳攸がカフェで働きはじめて一週間。楊修は絳攸に容赦なかった。
声が小さい、食器を音を立てて置くな、表情が硬い。
「藍君をごらんなさい」
挙句に楸瑛を見本にしろと言ってくるのだった。

客が来たら、空いている席に案内して、注文を取り、厨房に伝えて料理や飲み物が出来たら席に運ぶ。そしてレジと片付け。
それだけのことなのに、全然上手く出来ない。
メニューもレジの方法もすぐに覚えたけれど、そんなことは当り前のことだ。
目の前で接客する楸瑛を見る。
楸瑛は一度も怒られたり、注意されたことはない。
流れるような動き、丁寧な言葉使い。誰もを魅了する笑顔。
ギャルソンなんか初めてだよ、と言いながら最初から完璧にこなしていた。
それにひきかえ・・・・。

「君も頑張っているじゃないか」
店を閉める時間になって、フロアの掃除を終ると更衣室で楸瑛が言った。
「・・・・・出来ていない」
楸瑛は心の中でため息をついた。確かに絳攸はまだぎこちないし、満面の笑顔など出来ていない。それでも、真面目に接客する態度に好感をもつ客が増えていることは確かだ。
絳攸の硬質な表情が好きだと最近常連になった女性客だっている。
「でも、最近はお客さんと会話してるじゃない。だいぶ慣れてきただろう?」
もっと慣れてきて、自分にさえたまにしか見せてくれないあの笑顔を振りまき出したら、そう思うと面白くないが。

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