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ミカンズ · @mikanz_OJS

26th Sep 2010 from Twitlonger


密着!天才パティシエ・葵皇毅


天才パティシエ・葵皇毅。
彼は都内で行列の絶える日は無いといわれる「パティスリー・ギョ・シー」の名パティシエ。
彼の創り出す宝石のようなお菓子は特に女性に人気で、連日売り切れ続出。
そんな今最も旬な葵皇毅に今回は密着取材することに我々は成功した!
皇毅の朝は早い。いつも厨房に入るのは午前4時。なぜいつもそんなに早く?
「・・この時間から入らないと生クリームの仕込みに追いつかない」
なるほど。ではアシスタントの方達も同じ時間に?
「いや、彼らは徹夜だ。・・おい!清雅!シュー生地はどうなってる」
「皇毅さま、問題ありません。首尾は整ってます」
彼は皇毅の第一アシスタントの陸清雅くんだ。
清雅くん、ちょっと、皇毅先生の仕事ぶりなんか聞かせてもらえると嬉しいんだけど・・
「邪魔だ、どけ」
・・・・・
気、気を取り直して、今度は、あ、あそこにいる女の子に話を聞いてみよう。
お嬢さん、今なにしてるんですか?
「ら、卵白を、あわ立てて・・・メレンゲ、に、して、る、んですっ・・!」
君もアシスタントですか?
「し、新人です、けど・・・、この前、やっと、採用、して、もらえました・・!」
あ、そうなんですか、よかったですね。・・女の子なのにその量の卵白泡立てるのって、大変じゃないですか?
「・・・・!!!ちょっと!!アナタ!!」
な、何でしょう・・?急に顔が怖く・・
「女、女って!!なにがいけないのッ!!どいつもこいつも清雅みたいにこれだから女はって・・!!キーッ!!」
「フン、ホントのことだろ。役立たずが」
「なんですってーーーー!!」
あ、わわ、どうし・・・あ、皇毅さん!
「お前ら・・仕事しろ」
・・・・・・
・・・・・・
どうやら皇毅の鶴の一声で静かになった厨房。なかなか活気のある職場のようだ。あ、そこの君。君もアシスタントかな?
「んーー?オレ?あー、ちがうちがう。オレはアルバイト」
そうなんだ。皇毅先生の仕事ぶりについて、ちょっと教えてくれないかな?
「あー、あんた取材のヒト?大変だね、あんな無口でコワイヒトの取材なんて。アシスタントもキワモノぞろいだしねー」
「ちょっと!タンタン!手うごかしなさいよ!」
「へーへー、わかってますよ、おじょーさん」
で、せ、先生の話を・・
「あー、ごめんごめん。マジメなひとだよ、絶対に手を抜かない。オレはこんなにケーキを綺麗につくるヒト知らないね。まー、あんなコワモテだけどケーキはサイコー。そーゆーことで」
そうなんですね。やっぱりスゴイひとなんですね。
「あっれーー!?取材の人?なに?どうしたの?皇毅の取材?」
あれ?この方は?
「私?私はこの店のオーナーの凌晏樹で~~す」
おお!オーナーさんでしたか。
「皇毅のことならなんでも私にきいて!」
なんでも?なんでもですか?
「そうだよ~、なんでもいいよ~、女性遍歴から嫌いな食べ物までなんでもこたえられるから!」
ええと~、じゃあ・・嫌いな食べ物・・とか、皇毅先生にあるんですか?
「あるよ~、もちろん、嫌いな食べ物はね・・」
「桃だ」
「あれ、皇毅~、え?君、桃きらいなの?でも私は桃すきなんだけど・・」
「嫌いな食べ物は桃だ。邪魔だ。どけ。かえれ」
「え~ヤダ~、皇毅冷たいなあ。あっ、そのカスタードクリームおいしそう。味見していい?」
「ダメだ。帰れ」
「え~ヤダってば。あ、君の指についてるのでいいから舐めさせて。ほらあ~ん」
「皇毅さまあああ!それなら俺に舐めさせてください!」
「なんでよ!そんなのあたしが舐めたいわよ!!」
「え~私が舐める~」

「お前ら!!!仕事をしろーーーー!!!!!!」

葵皇毅―――彼は今をときめく天才パティシエである。
しかし、その実態は・・ただの苦労人だった。

スタジオにお返ししま~~す。

■完■






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