続) 同じようなことがアメリカの金融産業にしても言えるわけです。これも全く政治的なコントロールが効かなくなった、ある意味で人間のコントロールというのが効かなくなってしまったというような状況です。これに対してオバマ大統領は何もしなかったし、また今から何をしようとしてもそれはもう遅すぎる、という状況で、この金融産業の状態というのも軍産複合体の状態とよく似ているものだと思います。私の本の中におきましてはルールを述べておりますので、私が本の中で論じている事、これからの私の発言はそれが日米関係にどう繋がってくるのかと、日米関係にどのような反響をもたらしているのか、影響しているのか、その話をします。


 このような日本に対する影響を見るためには一歩退いて日米関係そのものを見ていかなければなりません。この日米関係というのは非常に異例な関係でありまして、どの歴史を紐解いてみても日米関係のような関係を導き出すことができません。


 これは何十年にもわたって、日本にとって良い影響を生んだ関係でありました。日本の産業界も日本の官僚、また政府も、他の国であったならば国家として考えなければならない防衛であるとか戦略とか、そういった事に気をとらわれることなく、もうとにかく産業を発展させるということに邁進することが出来たのです。その結果、世界の中でも冠たる産業秩序を作り上げ、そして2番目に大きな経済大国にまで日本を育てることが出来たのです。


 私はここ数年来、既にこういうことは考えていたのですが、このようなヌクヌクした快適な日米関係というのがある意味で負債になっているというふうにずっと思っていましたけれども、2009年が過ぎたあとで、まさにこれがかえって負債になっているということがより如実により先鋭的に表れてきていると思います。私はこの点については何冊か本にも書いているんですけれども、このような今まで安心できたような快適な関係というのが負債になったのだという事実、これに我々は今こそ眼を見開いて見ていかなければいけないのです。


 じゃあ、どこにその証拠があるんだと言えば、それは遠いところを見なくてもライアビリティ自体は非常に先鋭的になった事は非常によく分かります。民主党政権になってから最初の半年を見ただけでもアメリカの行動の結果がどう出たかという事は良く分かります。


 オバマ大統領は本当の意味で日本という国を同盟だと非常に貴重な価値のある同盟国だというふうには見ていないのであります。オバマ大統領は日本という国をアジアにそして世界全体に秩序をもたらすという意味で手伝ってくれる大切な同盟国であるというような見方は全くしておりません。そんなことにオバマ大統領は関心も持っていないのです。


 50年にわたる自民党の支配の後で初めて民主党政権が生まれたというその中で初めて総理になった人と、そして2番目に大きな経済大国の総理と、それから一番目に大きな経済大国のしかも新しく大統領になった人と、この二人が本来ならばずっとパートナーだと言われていたし、また環太平洋の同盟関係の機軸の2国であるという事からすれば当然、数時間、時間をかけましてお互いに話し合い、そして将来について論じるという事であるというのは、これはあり得るべき当然の姿であったでしょう。
(続

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