「個人会員で新聞社を退社したあと、今フリーで記者活動をして外務省などの記者会見に出ていますカミデと申します。いま、ウォルフレンさんの本を読ませていただいたりしています。岡田さんから前原さんに大臣が代わりましてずっとフォローしてますけれども、自民党時代からアメリカに対して本当にきちんとモノを言うというような姿勢が見られた事はありません。それはウォルフレンさんの仰るとおりです。ただ、司会者の方が言われたように日本はいま、中国との問題、ロシアとの領土問題などを抱えて、最近非常に日米安保に頼るということが出ております。特にハワイでのクリントンさんと前原さんの外相(会談)の時に『尖閣諸島は安保の対象になる』とわざわざ共同会見で仰られた事は非常に日本がアメリカのいいなりになっているという事を非常に強調したような、私は非常にそれを残念に思います。ただ、沖縄のように行動しない限りおそらく日本はおそらくアメリカと対決する姿勢などは持てないと思います。ウォルフレンさんはどうやったら今の問題を突破していけるのか_?ジャーナリストはジャーナリストとしての責任、メディアはメディアとしての責任があると思いますが、日本人に対して何をすべきかという事を、もしあれば。ただ、外国人の方が言った事を日本人が受け入れるという事が良い事かどうかは別にして、もしご意見があったらご指摘ください」



ウォルフレン氏
「対等な関係というのは相手方が出してくる命令にただただ従うというのは対等な関係であるとは言えません。ただ今のご質問の中でヒラリー・クリントンと前原外相との会談について触れられていましたけれども、私はそれをつぶさに追跡をしてみましたけれども、それをよおく見てみると、全く対等性と平等性というのは全くないという事に気が付かれることと思います。ヒラリー長官は前原大臣の事をあたかも彼女のモノの言いぶりからいたしますと、前原大臣は子供扱いをされていたという感じがいたします。ですから、あそこで何々が約束されたとか、言ったとしても私はそんなものに全く印象付けられてはおりません。また、日米安保条約というものは、北方領土にせよ、尖閣列島にせよ、領土問題にはなんのヘルプにはなっていないと思います。 


 これがまた冷戦の時だったら話は違ったと思います。しかしながら冷戦というのはもう終焉してしまったのです。私が言ったようなことが何故到来したのかと言えば、これはアメリカに対する強大なライバル、競争相手が存在しないということによって到来しているのです。ですから、世界に関する図式は劇的に大きく変わってしまった日本も劇的に変わりました。


 今日、アメリカが日本に対して関心を持つのはどういう意味においてかといいますと、ワシントンで日本対策、日本係をやっております本当に数少ない、本当に小さなサークルの人たちの目からみて、日本はこういう役割を果たすべきだという役割を満たす限りにおきまして、アメリカは日本に関心を持つのです。


 私がこれまで説明いたしましたように、また私が書きました今回の本の本質もそこにあるんですけども、この小人数の日本に関する政策を立案している、この小人数の人たちというのは一体なんのために仕事をしているかといえば、コントロールが効かなくなってしまったある制度、ある組織・制度、そのために仕事をしているわけです。彼らがサービスを提供している制度というのはアメリカの大統領もコントロールを効かすことが出来ないし、アメリカの有権者も出来ないし、全く誰の制御にも及ばない、誰も制御することが出来ない、そういうものに対して仕事をしている小人数の人たちによって、そういった事が決められているという事なのです。この小人数の人たちの行動というのはまさに自己保存、自らを保存するというためだけに行われている行動であり、これは誰の役にも立たないし、ましてや日本の役に立つものでもありません。


 そこで質問をされた方は、じゃあ何をすれば突破口が開けるのかという事を仰いました。殆どの方々はその手段を持っていると思います。見解を有する、あるいは自分が考えたこと、発見したこと、報告したこと、あるいは自分はこういう意見を持っているという事を大いに国民に対して語りかけるということです。とにかくこの問題について話す、書く。そういったことをすれば、多くの人が現実に目覚めるようになるでしょう。


 私が初めて日本に来たのは1962年なんですけども、その当時は日本人は世界平和という事を非常に真面目に語っておられました。そして世界平和を達成するために自分達はどういう事が出来るんであろうか、そういう事が良く議論されている時代でした。例えば、街を歩いていれば、子供たちに呼び止められて、世界平和についてどう思います?みたいなことを聞かれたりするような時代だったのです。ですから、日本人の方々が60年代70年代に持って取られたような、そういったセンティメントと言いますか、そういったものの感じ方を再度発見なさるという事が良い事なのではないでしょうか。そしてそのような事を再発見し、そしてワシントンに対して、なんで世界をめちゃくちゃにするような事をあなた方はするんですか?という事を申し述べるという事をなさるという事ではないでしょうか」
(続

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