「フリーランスの内藤と申しますが、中国についてお伺いしたいと思います。中国は近い将来、世界の全GDPの40%ぐらいになるだろうと言われております。アメリカは過去最大で28%ぐらいだと思うんですが、とにかく巨大な国になっていくと。しかも軍事力を航空母艦を持ったり、潜水艦を持ったり、もちろん原爆は持ってる訳ですから、そういう国が台頭してくると。それに対して日本はどういうふうに対処するかということについて、色んな考えがあると思うんですけど、日本人は日本人としての考えを持ってると思いますけど、あなたはどういうふうに中国の台頭について、世界、あるいは日本は対処すべきだとお考えですか?」




ウォルフレン氏
「私は既にもう言っておりますけれども、中国にとってもそして日本にとっても、そして万人にとっても良いという関係は安定的で相互に裨益するような関係、それが一番良いという事を言っております。要するに両方ともがお互いに理解するという関係です。


 私は中国が目覚ましい驚くべき経済発展をしているということに関して、ちょっとパニックにでも感じているようなそういったような統計数字というものはあんまり真面目に取り上げません。確かに中国と言うのは信じられないような産業構造を作ってきました。でも、それはある意味で戦後日本がやってきたことにも対応・比較し得るものです。


 皆さん方からの考え方からすると、とにかく中国というのは嵩が大きいと。しかも土地があれだけ広いと、ものすごい人口がいると、とんでもなく大きな存在なので、中国というのは怖いと。だから、中国と言うのは懸念の材料であるというふうにお考えになるだろうと思いますけれども、それは正しいモノの考え方ではないと思います。日本というのは中国よりも遥かに高度な工業・産業体制を持っておられます。また、生産技術にしましても、中国は喉から手が出るほど欲しいけれども、どうしても手が出ないという生産技術を日本は持っていらっしゃいます。また、中国よりも先進国としては遥かに大切な存在であるのが日本です。中国というのは本質的には下請け工場的な存在であります。


 次に軍備増強ということについてですが、中国の。私もそれはそんなに心配は致しません。ワシントンなんかで聞いている事とも全然それは違う事だし、ただワシントンは、中国は軍事的に脅威だ脅威だという事を言いたてるようには致しますけれども、私は北京に友人がおりまして、この北京の友人というのは、まさにこの問題に関する世界一級のスペシャリストだというふうに言えるのですが、その友人からも色々な話を聞いておりますと、それは全然皆様方が恐れているような事ではないので、私はその事を彼にぜひ書いてくれと。そうすれば日本の友人たちにも示すことが出来るし、とにかく中国というのはとても怖いと思ってることに対する説明にもなるので、だからぜひそれを書いてくれとお願いしてるんですが、いずれの日にか、書いてくれるんじゃないかと思いますけれども、結局はワシントンがやろうとしているのは皆さま方が中国の事を怖がるように仕向けると。怖がらせたがっているだけの事だと思います。結局は恐怖の気持ちと嫌悪感を以ってこの状況を動かそうとしているんだと思います。全然、怖がる必要は私はないと思っています。


 最後の質問だという事は私の最後の答えにもなるということですので、追加的にちょっと申し上げたい事がございます。皆様方には私の本を読んでいただくのはありがたいのですが、私の本以外にもたくさんの本を読んでいただきたいと思います。


 私は、司会者の方が私を欧州の代弁者だと思われたかもしれませんけれども、私は欧州を代表しているわけではありません。私が今言っている考え方というのは、アメリカの中でも最も高度な非常に複雑な政治的な考え方を持っておられる何人かの方々が思っておられるような事を私の意見としてここで表明しているのです。


 こういう人たちはアメリカがここまで来てしまったのかという事で、大変なショックを受けております。そしてその人たちはそういったことについてちゃんと本を書いたりしています。何が原因でこう言うことになってしまったのかという事を書いております。皆様方に是非読んでいただきたいようなご本で、リストはものすごく長いんですけども、3つだけ申し上げます。


 先ず、軍産複合体、それがどのように成長していき、ペンタゴンというのはどうやって出来上がってきたのかということに関しましては【ハウス・オブ・ウォーズ】という本をお勧めいたします。【ジェームス・キャレル】という人が書いています。このスペルはRが二つ、Lが二つです。まるでスリラーのように読める本ですから、別に難しくないと思います。


 それからアメリカの軍事主義の台頭、それからまたアメリカの軍部というのがどういうふうに統合し、膨れ上がってきたかということについて書いているのが【アンドリュー・バッジェリッジ】という人です。この人はアメリカの軍隊でカーネルをやった人です。彼は最近3作、本を書いているんですけれども、そのどれもお勧めなんですけれども、彼は軍人というよりは言ってみれば、政治哲学者のような書きぶりでありまして、歴史という観点から、こういった軍事主義の台頭について述べています。


 次の著作は【ジェームス・ガルブレイス】という人が書いた本ですが、有名なジョン・ケネス・ガルブレイスの息子なんですけれども、彼が書きましたのが一番経済に関する良い本だと思います。すなわちアメリカの金融産業界がいかにもう手に負えない存在になってしまったかということについて書いている本です。彼はたまたま私の親しい友人なんですけれども、シュティグリッツが書いた本、あるいは他の誰が書いた本よりも彼が書いた本が内容が良いと、質の良い本だと思います。


 最後の名前ですけれども、アメリカ人で長い間、ニューヨークタイムズの戦争特派員をしていた人なんですが、この人も最近本を書いております【クリス・ヘッジス】という人ですけれども、彼の著作もいいんですけれども、彼が論評といいますか、色々と記事、あるいは論文を書いたりして、その論評しております。それもとても良いと思います。過去8年から10年にわたってのアメリカがどういうふうに展開をしてきたのかというのも、極めて洞察に富む中身の大変面白い本です。


 もっと著者の名前、もっと本の名前を教えてくれということでしたら、私にEメールをください。全部こういう本が良いということはお勧め申し上げます。リストを送ります。
 本当に皆さま方とお話が出来る事は名誉なことでありまして、ありがとうございました」

Reply · Report Post