まことに嘆かわしいことは、長州で(外国の軍艦との)戦争が
 はじまり、先月から6回の戦いがありましたが、日本は敗色が
 濃厚です。

 あきれたことに、長州藩と戦った外国の軍艦を、幕府は江戸で
 修理してやって、それで、また長州藩との戦いに向かわせてい
 ます。

 これらのことは、すべて幕府の悪い役人たちが、外国人どもと
 内通してやっていることです。

 役人たちにはかなりの政治力があり、人数も多くいますが、私
 は、2つか3つの大名家と、緊密に連携し、同志を集め、天皇
 のもとにある朝廷から、まず神国・日本(原文「神州」)を維持
 する基本政策を発表したいと思います、そしてそのあと、江戸
 にいる心ある人々(旗本とか大名とか、そのほかにも、いろいろ
 な人々)と心をあわせて、先に言った幕府の悪い役人たちと戦争
 し、うち殺して、日本をもう一度洗濯したい・・・、

 私はそう神さまにお願いしています(原文「神願にて候)」


 (文久3年〔龍馬29歳〕6月29日付・坂本乙女宛の書簡)
                   ──『正論』11月号
                  現代語翻訳/松浦光修氏

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