陸山会事件 


大久保元秘書の調書撤回

    検察側 前田元検事が作成

 小沢一郎・民主党元代表の資金管理団体「陸山会」の政治資金規正法違反事件で、虚偽記入罪に問われた元秘書の3人の公判前整理手続きで、元秘書、大久保隆規被告(49)が虚偽記入を認めた捜査段階の供述調書すべてを、証拠請求していた検察側が撤回したことが20日、関係者の話で分かった。同日の東京地裁(登石郁朗裁判長)での公判前整理手続きで取り下げたという。(以上リード)



 大久保元秘書は公判で無罪主張の方針。法曹関係者によると、否認している被告の調書撤回は異例。供述調書は大久保元秘書の関与を示す数少ない証拠の一つとされ、公判で検察側は難しい立証を迫られそうだ。

 関係者によると、大久保元秘書の調書は、大阪地検特捜部の捜査資料改ざん事件で、証拠隠滅罪で起訴された元主任検事、前田恒彦被告(43)が作成していた。大久保元秘書は「虚偽記入を認める供述調書に、無理やりサインさせられた」などと主張している。

 大久保元秘書は昨年9月の第1回公判前整理手続きで、起訴内容を争う姿勢を示し、弁護側も数通の調書の任意性を争っていた。

 弁護側が供述調書の証拠採用に同意せず検察側が撤回しなかった場合、公判で前田元検事が証人として出廷し、取り調べの実態を証言する可能性があった。このため今回の撤回について、「検察側には証人尋問を避ける狙いがあった」との指摘もある。

 大久保元秘書や元秘書で衆院議員、石川知裕被告(37)の初公判は2月7日の予定。7月まで月4回のペースで審理を進めていく。公判での争点は、大久保元秘書の供述調書の任意性や、小沢氏に虚偽記入を報告し、了承を得たとする石川議員の供述調書の信用性となる見通し。

 起訴内容によると、石川議員らは、陸山会が2004年10月に購入した東京都世田谷区の土地代金に充てた小沢元代表からの借入金4億円を、同年の収支報告書に記載していなかったなどとされる。

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石川議員の録音 証拠採用

 陸山会事件で、東京地裁は20日、元秘書で衆院議員、石川知裕被告(37)が東京地検特捜部の再聴取の様子を録音した記録や、勾留中に取り調べの様子を記した弁護士宛の手紙数通の証拠採用を決めた。石川議員を取り調べた検事の証人尋問も決定した。

 関係者によると、公判では、石川議員側は録音記録や手紙をもとに、小沢氏に虚偽記入を報告・了承したとする捜査段階の供述調書の任意性も争う。これに対して検察側は取り調べ検事の証人尋問で反証するとみられる。

 録音記録は、昨年5月17日に石川議員の約5時間の再聴取でのやり取りを書面化。1月7日に証拠申請した。「今回の再聴取で供述をひっくり返せば、小沢氏の圧力があったという印象を検察審査会に与え、議決に影響が出る」など誘導を疑わせる発言があったという。

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まずは大久保元秘書について。

そもそも大久保氏は一昨年3月、まだ小沢一郎が民主党代表の時代(総選挙前の野党時代)に、西松建設からの違法献金があったということで逮捕・起訴された。したがって、当時、この事件は「西松事件」と呼ばれていたわけである。

公判のポイントは献金をした政治団体に実態があったかどうかで、検察は大久保氏が西松建設のダミー団体であることを認識したうえで献金を受け取ったと主張したが、よりによってその検察側の証人が「実態はあった」と証言してしまった。これにより、検察が描いた事件の構図そのものが崩壊してしまい「西松事件」なるものは雲散霧消してしまった。

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2政治団体「ダミーと思わず」西松元幹部が証言
(2010年1月13日21時23分 読売新聞)

 準大手ゼネコン「西松建設」から小沢一郎・民主党幹事長の資金管理団体「陸山会」などへの違法献金事件で、政治資金規正法違反(虚偽記入など)に問われた小沢氏の公設第1秘書で同会の元会計責任者・大久保隆規被告(48)の第2回公判は13日午後も、岡崎彰文・元同社取締役総務部長(68)の証人尋問が行われた。

 岡崎元部長は、同社OBを代表とした二つの政治団体について、「西松建設のダミーだとは思っていなかった」と証言した。

 公判では、大久保被告が両団体を同社のダミーと認識していたかどうかが争点で、審理に影響が出そうだ。

 岡崎元部長は、裁判官の尋問に対し、「二つの団体については、対外的に『西松建設の友好団体』と言っていた。事務所も会社とは別で、家賃や職員への給料も団体側が支払っていた」と説明。前任者に引き継ぎを受けた際にも、「ちゃんとした団体で、問題はないと言われていた」と答えた。

 昨年12月の初公判で、検察側は、同社が信用できる社員を政治団体の会員に選び、会員から集めた会費を献金の原資にしていたと指摘したが、岡崎元部長は「入会は自分の意志だと思う。私自身は、社員に入会を強要したことはない」と述べた。

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日経社会面の記事
2011/01/21

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