Take_J

武盾一郎 · @Take_J

29th Jan 2011 from Twitlonger

境遇に拘泥(こうでい)して人世を短くする事は抑(そもそも)愚(おろか)かなり。

小川芋銭(うせん)(1868〜1938)


 そんな芋銭の哲学は<古(いにしえ)抜群の人は決して境の為に纏縛(てんばく)されずして変通自在なり>。境遇に左右されるな、心の自由をもて、といった。自分の心の主人になれ。貧乏なら貧乏にしばられるな、金持ちなら金持ちであることにしばられるな、悠然とせよ、という哲学であった。
「時と境に催されて多忙。むしろ狼狽(ろうばい)の心地に彷徨(ほうこう)する場合がある。この時、いつ来たとも知らず、悠然として座っているものがある。これが心の主人である。この主人の指図にしたがえば間違いは起こらないですむ」(犬田卯『芋銭子名作集』)。


朝日新聞2011年1月29日(土)『磯田道史の この人、その言葉』より

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