【東電に努めている友人の日記の転載】
※文章を書いた本人は友人の同期

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3月16日(水)

皆さん節電のご協力ありがとうございます!計画停電については、いろいろ不備があって大変申し訳ないです。多少説明不足な部分もあると思うので補足します。

よく聞くのが
①「グループの地区割りがわけわからん」
②「消すのか消さないのかはっきりしろ」
という声。よく「需給バランスを見て決めている」ということが言われてますが、これはホント。

二つの疑問に答えるために、まずここを説明します。

電気は溜めておけないので、常に需要と供給が釣り合っていなければ安定して電気を送ることができません。もし釣り合わなくなったらどうなるかというと、電源の周波数が変化して系統が不安定になり、大規模停電を起こす可能性があります。電気は足りなくなっても足りすぎてもダメということです。
つまり「停電」というのは需要を無理矢理切るので、安定していたバランスを崩す行為であり、はっきり言って「事故」と同じです。

①と②の要望にお応えすると、「広い地域」を「いっぺん」に停電させることになりますが、これをやるとたぶん系統がとびます。これは50万ボルト級の重要な変電所に巨大な落雷か何かがあって全部壊れた、ってのと同じ状況です。こういう大きなアンバランスがおこると、それ以外の地域まで及ぶ大規模停電になります。だから「細かい地域」を「少しずつ」停電させるしかないわけです。(系統は少しのアンバランスならば勝手に元に戻る性質があります)
供給が足りている状況で計画停電を見送るというのも、安定している状態でわざわざ事故を起こして、系統を不安定にしないためです。「時間通りに停電しない」というのも、同一時刻にいっぺんに切ると危ないので同じグループ内で少しずつ時間差を持たせているからです。もし停電時間になっても停電しない、ということが起こっても、ちょい遅れで停電する可能性があるので気を付けてください。

まあそんな感じで系統の一部を停電させるというのは、家の電気のスイッチを切るように簡単にはいかないので、「需給バランスを見ながら検討する」という回答にならざるを得ないわけです。停電するのかしないのかでイライラするかもしれませんが、そういう事情もあるので、なにとぞご理解ください…。

しかし①や②のような苦情は多いらしいけど、停電自体には文句言う人があんまりいないみたいで、有難い話です。

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3月17日(木)

実は明日は苦情対応の応援に行かなくてはならない。これを読んだ方は周知して苦情を減らすご協力をw

福島がんばれ!俺もがんばる!

停電についてご説明2

会社の外に出るのが恐くなるぐらい叩かれてきました…。
だいたい苦情の原因が掴めたので、問題の計画停電についてもっと分かりやすくご説明します。これは本当に分かりにくくて、詳しい資料見ても理解するのに苦労しました。こんなの一般の方がわかるわけがない。苦情も当然です。全てはうちの情報の出し方が悪いせいです、本当に申し訳ないです。

まず根本的に計画停電がどういう仕組みになっているかについて。

外の電線を見てもらえれば分かると思いますが、電力系統は網の目のように張り巡らされています。イメージとしては路線図みたいな感じだと思ってください。そして、ある一定の地域を受け持つ変電所という基地みたいなのがあります。計画停電はこの「変電所」単位で電気を止めています。この変電所から出ている電線のつながっている先が停電になります。
電線は当然、地上の市区町村、丁、番地を意識して造られているわけではありません。そうなると、1丁目の中でもA変電所からきている家と、B変電所からきている家があるという状況が必然的に起こります。
すると停電リストを作ったときに、
八千代市大和田新田 2グループ(A変電所系統)
八千代市大和田新田 5グループ(B変電所系統)
というように、同じ地域でグループが重複するという状況が生まれます。これはどうしても仕方ないことなのでなんとかご理解下さい。

ここで、誤解が生じます。
「大和田新田は2グループの時間も5グループの時間も停電するのか?」
→NOです。ある1件の家が属しているのは必ずどちらか1つのグループ(変電所)です。
この場合、自分のグループはどうやって確認すればいいかですが、電話で聞くとカスタマーセンターの担当者が間違った認識をしていると、誤った案内をされる場合があったようです。
さらに、実際には住所→名義→お客さま番号→系統と辿って調べるので非常に時間がかかります。今は「自分が停電した時間がどのグループの停電時間だったか」で判断可能であり、実際これが最も正確かつ速い方法です。各グループの停電時間割は東電のHPに載ってますし、テレビでも言うと思います。(HPは混んでるかもしれないです…)
例えば今日の2時ぐらいから5時ぐらいまで停電した方々は確実に5グループに属しています。(5グループに属する変電所の電線の先にあなたの家があります)
ここで大事なのは、計画停電が変電所単位で行われている以上、一度5グループと分かったら今後もずっと5グループだということです。

ここからが非常にややこしいのですが、同じグループの中でも日によって停電させる場所(変電所)としない場所(変電所)があるんです。
仮に
2グループにはA,B,C,D変電所が属していて
5グループにはE,F,G,H変電所が属している
という構造になっているとします。
停電計画は
3月15日 2グループのAとB、5グループのEとFを停電させる
3月16日 2グループのCとD、5グループのEとFとGとHを停電させる
という感じになっているんです。(本当にそんな感じです)東電HPの停電リストには、実際に停電させる予定の場所が載っています。

つまり「八千代市大和田新田 2グループ」という表示がA変電所系統を指しているものであれば、3月15日のリストには載りますが、3月16日のリストには載りません。
そして「八千代市大和田新田 5グループ」という表示がE変電所系統を指しているものであれば、3月15日のリストにも3月16日のリストにも載ります。
そうなると停電リストは以下のように表示されます
3月15日 
八千代市大和田新田 2グループ
八千代市大和田新田 5グループ
3月16日
八千代市大和田新田 5グループ
こうなった場合に当然誤解が起きるわけです…。これは大和田新田のグループ分けが変更になったわけではありません。「八千代市大和田新田 2グループ(A変電所)」においては、3月16日の停電実施予定がありません、という意味です。自分の地域が2グループでも停電リストにない場合は停電予定がないことになります。

要するに、自分の地域が明日いつ停電になるかを知るには
①まず自分の所属するグループを知る。
 今日は停電多かったと思うのでその時間で判断できると思います。
②翌日の停電実施リストを見て、自分の場所と所属のグループがセットで載っているかを確認する。
 (場所があっても、違うグループなら停電予定はありません)
という手順でいけます。

以上が、基本になります…。まだ続きます。

今日から急遽実施している、午後からの2グループ同時停電ですが、これは臨時で行われているため停電リストに載っていない場合があります。ただし午後から臨時停電行うことになった場合に 、それをどのグループで実施するかはHPに公開されています。今日の感触からすると、臨時停電の場合はグループに属する変電所を全て止めている感じだったので、自分のグループが臨時用グループとなっていた場合は、実施された場合にはほぼ確実に止まると考えていたほうがいいようです。臨時停電を行うと1日に2回止めるグループが出てきますが、不公平にならないようグループで持ち回りにしてあります。
なお、市役所から停電を知らせる広報カーが出ているようですが、これが「今から停電します」としか言わない場合があります。自分のグループが今日の臨時グループでなかった場合は、それが聞こえても停電しません。あれは車で対象地域をざっくり回っているだけなのでPRが聞こえた範囲で停電が起こるわけではありません。

あと、ずっと停電していない場所がある(不公平だ)というご指摘を受けました。
これに関しては確実なことは言えませんが、おそらくその場所の電源になっている変電所が、何らかの理由で停電できない場所に繋がっていると思われます。
例えば鉄道は計画から外すという話があったと思いますが、鉄道に送ってる変電所は他の場所にも送っています。鉄道を止められないとなれば、その変電所以下は全部止められません。その他、うちの制御所、給電所やその他のインフラ施設、あるいは被災地など、止めた場合に社会的影響が大きい場所は止めることができません。
その他、うちの設備の構成上止めるとまずい(系統の安定上良くない)場所、というのもあるようです。その影響で電気が止まらない場所というものがどうしても出てきてしまいます。決して意図的にえこひいきしたり、議員から金をもらったり、田舎だからといって軽視している、なんてことはありませんのでなにとぞご理解ください。えこひいきなどしている余裕がそもそもありません。

ここまでが大前提…

ここのところ寒くなってきて、需給が追いつかなくなりつつあります。こうなると今までの前提が全て崩れて、突然の停電を実施する可能性が出てきます。この場合急すぎてほとんど情報がいかないと考えられます。よって、自分のグループが停電予定にない日、あるいは時間帯でも、しばらくはいつでも「停電する可能性がある」と考えてください。「今日は絶対停電しないんですよね?」と言われても、「はい」と答えることができないのが現状です。申し訳ありません。
なお、昨日書いた順々に停電させるという話ですが、やはり変電所単位で5~10分間隔で切っているようです。最初に切る変電所から最後に切る変電所まで最大で45分程度あるようです。そして最初に切った変電所から順番に復旧させているようです。停電予定時間になってから45分以内に停電が開始される感じです。

長くなりました…。ややこしくてすみません。

どうやら今日の大規模停電は回避できたようです。みなさんのご協力のおかげです、本当にありがとうございます。

なんでこんなにややこしいことをやっているかというと、全てはこの大規模停電回避のため、そしてお客様を平等に扱うためです。計画停電というのは、とてつもなく難しい技術で危険も伴っています。給電所は福島と同様に戦場と化しているはず。やろうと思えば特定の地域をずっと停電させることもできるし、そっちの方が安全だし遥かに楽です。この計画停電が今東京電力が示すことのできる精一杯の誠意なのだと思います。

ちなみに、カスタマーセンターや事務系職場も電話対応で戦場でした。今日は俺を含め設備系の人間も応援に駆り出されています。地震の影響で脆くなった設備で事故が増えてきているのに…。このままだと、本当に必要な仕事ができない状況になります。なにとぞ、本当に必要な電話以外は控えて頂きたいと思います。
周りに計画停電がよくわからないという人がいたら教えてあげてください。
よろしくお願いします。

分からないことがあればメッセージでください、分かる範囲でお答えします。

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以上、友人の同期の説明でした。

不平不満を言わずに協力しましょう。私たちが普通に過ごせるのも彼らのおかげです。

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よろしくお願いいたします。

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