clear_wt

cwt · @clear_wt

7th Apr 2011 from Twitlonger

http://togetter.com/li/119437 ”@hayano 氏による連続tweet - 福島で 3/15に何が起きたか?”と,その補遺を読んで整理した福島県内の親戚に伝える私的指針のメモ(+私が読み取った意味)(ver. 0.11)

!注意!【当方は専門家でないため,以下,重大な誤りを含む可能性があります.批判的な目で読み,真偽は自ら判断してください.】

前半は一般的知識も加味して作った福島県内,避難エリアの外側に住む親戚に伝える指針のドラフト.状況に応じ結論の部分だけ要約して伝えることを想定しています.
後半は今回のシミュレーションが行われた意味を私なりに解釈したものです.

1.何よりまず風向をチェック.
シミュレーションからも,これまで言われている一般的な説からも,放射性物質は風(空気の流れ)に乗って運ばれる.予報を見て,風下にいる時間がある場合はニュースに特に注意する.ただし, http://bit.ly/eJT2WD に示されているように,空気塊は単純ではない動きをする可能性がある.どこかの別の場所で高線量が検出された場合には状況が明らかになるまで予防的に屋内退避することが望ましいかもしれない.
(コメント)
原発近く(~50km程度)に住んでいるのであれば原発周辺の一日の風向の傾向をチェックすることが自衛につながると思われる.
日本気象協会 大熊町の天気 http://tenki.jp/forecast/point-421.html

2.原発近傍のモニタリングポスト(MP)のデータを見るだけでは放射性物質を含む空気隗の放出をすぐに感知できない可能性があるのではないか?福島県災害対策本部の情報の更新が早いのでチェックする(福島県では今もテレビの字幕で地方ごとの放射線量情報が流れているのだろうか?).
(そう考える理由)
http://plixi.com/p/89997074 を見ると,空気隗が最初に流れたと思われる市街地であるいわきの線量率が3/15の1時から上昇し始め,2時から4時の間に高い値を示している.これより前に高線量空気隗の放出があったはずであるが,福島第一正門付近のデータには顕著な変化は見られず,福島第二のMP-4(いわきより第一原発よりに位置する)のデータが急激な立ち上がりを示しているのもいわきでの線量率の上昇より後である.
(コメント)
現在は故障したモニタリングポストが復旧し,測定点は増えているようだが,リアルタイムデータ http://www.tepco.co.jp/fukushima1-np/monitoring/monita2.html は停止中.しかし,先の理由により,リアルタイムデータ復活後もMPの値のみ見ず周辺観測点のデータも広く見る方が良いのではないか.後だしでデータを示されても原発の近くに住む人にとっては役に立たない.それよりまだ有用なのは以下.
福島県災害対策本部 http://www.pref.fukushima.jp/j/index.htm の【測定結果・検査結果:福島県発表資料】「県内各地方 環境放射能測定値(第○報)について」では1時間毎にデータが更新されている.
twitterの @azak39 では情報を自動更新でツイートしてくれている.

3.雨が降っていない状況かつ,空気隗の放出時間が限定的であった場合,自分のいる場所を空気隗が通り過ぎれば線量は下がる.
(そう考える理由)
http://plixi.com/p/89997074  いわき,北茨城市,高萩市のデータ等を参照.
(コメント)
線量率上昇を知った場合,かつ,詳細状況がわからないときは,あわてずにまず窓を閉めた建物の屋内に退避をするのが良いのではないか.先に述べたように,空気塊は単純ではない動きをする可能性がある.やみくもに移動すると空気隗と一緒に移動しかねない.風上に逃げたとしても,次により高濃度の空気隗がきていれば逆効果.屋内でやり過ごすほうが結果的に被曝量を減らせる可能性がある.但し,長時間の放出がある場合,または非常に高線量の場合はまた別の判断が必要かもしれない.

4.雨が降っている場合,空気中の放射性物質が雨とともに降下・定着して,その後高線量状態が続く
(そう考える理由)
各種報道,原発北西部で高線量状態が続いているデータ(多数あり)から.
(コメント)
一般論からも,雨天中,体を雨にさらしての移動は避けたほうが良いと思われる.まずこの場合もまず屋内退避.降雨なしの場合と違うのは,その後も線量率が高い状態が続く可能性があるので,現在地と周辺の放射線量の発表を待ち,退避が必要なレベル,かつ,他地方の線量率が低い場合は雨があがった後に移動することを検討するほうがよいかもしれない.半減期の短い核種I-131等のことを考えると,地上に放射性物質が落ちてきて,高線量状態が続く場合は早めに退避し,時間が経ってから(例えば10日や20日のオーダーで)戻った方が同じ時間その場にいたとしても受ける放射線量は下がる.

5.(注意!専門外であるためこの項目の信頼性は低い)
原子炉のドライベント時には注意が必要ではないか?<間違いかもしれない
(そう考える理由)
@hayano 先生は2号機のサプレッションチャンバー破損( http://www.pref.fukushima.jp/j/monitoring.xls の表の下の記述によれば 「3月15日(火) 6:14 1F2号機 原子炉建屋で爆発音」)を高線量空気隗の原因と考えられ,3/15 06:00を放出時刻としてシミュレーションをされている.しかし,それより前,3/15 02:00~04:00にいわきでは高線量率となっている.これに対応しそうな現象として3/15 0:00からのドライベントが実施されている(先のファイルに「3月15日(火) 0:00 1F2号機 格納容器ベント再度開始(小弁) 放射性物質放出開始」との記述あり)このことより,ドライベントが実施された場合,線量の高い空気隗が生じるのではないかと推測した.(但し,同時並行に他事象が起こっていてたまたまそう見えた可能性もある).
(コメント)
仮にドライベント時の放射性物質放出が各地(いわき,北茨城市,高萩市等)で観察された高線量率の原因であるとするならば,圧力容器の内圧の高まってきている1号機の状況に注意が必要であると考える.
原子炉内圧や温度のパラメータ推移は http://toofuya.blogspot.com/ を参照.1号機圧力はhttp://toofuya.blogspot.com/2011/03/blog-post.html に示されるが,上昇を続けているのが気になる.ちなみに,2号機でベントが実施された時には内圧が1.72MPaあった.また,ウェットベントでは放出される線量は1/100程度の模様(例えば,http://togetter.com/li/113890でまとめられている保安院会見等からの情報).
原子炉プラントパラメータ最新情報は経済産業省のWeb参照 http://www.meti.go.jp/earthquake/nuclear/kinkyu.html#unclear
(以下は私の推測が多く,さらに確度は低い)
15日午前の一時的な線量上昇についてはドライベントが原因の可能性が高いように思われる.
一方, http://togetter.com/li/119437 に対する @jun_makino 先生の反論 http://jun-makino.sakura.ne.jp/Journal/journal-2011-04.html#4 や, @hayano 先生ご自身の【補遺4】【補遺6】の記述での言及, http://plixi.com/p/89997074 の福島第一正門MPのデータからも,他の大量放出があった可能性がある.そうであれば,原発の北西方向に伸びる高線量エリアはドライベントで放出された放射性物質のせいでないと考えられる(総合すると北西方向の土壌汚染についてはここで述べた別の放出があった可能性が高いという感触を持っている).

以下はシミュレーションの意味について

6.今回のシミュレーションの初期条件は現実を反映していないかもしれない.
今回の早野先生のシミュレーションは,【補遺 結】で述べられているように,「線量データ解析や大気流シミュレーションを行える人達に何ができるか,その方向性を探るのが,4/3以来の投稿の本旨です.」と述べられているように,厳密性を追うものではない.そのため,6時に放出されたことを仮定したデータで議論を進められている.一方,
それに対応する実測データのプロットはhttp://plixi.com/p/89997784であるが,いわきで放出仮定時刻より前に高線量が検出されているため厳密な意味では比較はできないと思われる.しかし,そのズレを意識した上で大枠の議論は有効であるし,早野先生が当初意識された目的は達せられているように思う.この後の厳密な議論は「線量データ解析や大気流シミュレーションを行える人達」に委ねられたのだろうと思う.

7.大気流シミュレーションがかなり有効かもしれない.
今回行われたシミュレーションは様々な可能性を見せてくれたように思う.初期の放出線量が明確でないため,他のシミュレーションでは,一定の放射性物質がコンスタントに出続けているという仮定のもと行われている(先日,意味を理解しないまま読売新聞に掲載されたものもそのようなシミュレーションである).しかし,15日に短時間に大きな放出があり,それが各地の空間線量測定にピークを持つデータとして引っかかり,また,北西方向に線量の高いエリアを作ったことが実測により明らかになっている.すなわち,ある特徴を持つ入力と,その結果が比較的クリアなのでシミュレーションの精度を検証することが可能になっている(公表されていないだけで既にされているものかと思うが).今回は後からの検証であるが,もし,精度の良い予測が可能であれば,次に大きな放出があった場合に危険な空気隗が近づく前に注意を呼びかけられることになる.
(以下,素人考え)
15日0時から数時間の間に大きな放出があったことはhttp://plixi.com/p/89997784のいわき,北茨城,高萩のデータから推測できる.また,それとは別に,http://plixi.com/p/89997784の福島第一正門のMPで高線量を記録している時間にも別の大きな放出があったと考え,両者を適度な重み付けをして重ね合わせることで各地の実測データ(特に北西方向)を合理的に説明できないかと考える.
もし,これが可能であれば,一定量放出の仮定での予測を常時走らせておき,原発のMPまたは周辺観測点で放出を検知したときには重み付けをして計算結果を修正すれば警戒エリアの予報(または,事後に早期に対策すべきエリアの推定)につながらないだろうか?(重ね合わせ時に線形性があるかどうかは素人なのでわからないが.非線形性が比較的低いのであれば概算はできる?).

以上,あくまで専門家*ではない*者の意見であるので,誤りもあると思われる.誤りを見つけられた方はご指摘ください.

Reply · Report Post