「東日本大震災に係るインターネット上の流言飛語への適切な対応に関する要請」について

        総務省コンプライアンス室長  郷 原 信 郎

 平成23年4月6日付けで、総務省総合通信基盤局長名で「社団法人電気通信事業者協会」ほか3団体に対して行われた標記要請に関して、電気通信業者の監督官庁である総務省による情報統制を懸念する声が上がっていることに関して、当職に対しても複数の問い合わせ、問題の指摘があったことから、所管の総合通信基盤局電気通信事業部消費者行政課に同要請の趣旨、内容について確認したところ、同要請は、同22年1月に出されている「インターネット上の違法な情報への対応に関するガイドライン」や約款に基づき「適切な対応」をとるという「従前どおりの対応」を求めているに過ぎず、それを超えた措置を求めるものではない、とのことである。
なお、同ガイドラインは、わいせつ物、児童ポルノ、規制薬物等に関連するもの等違法又は公序良俗に反する情報提供に関するものであり、真実性が問題となる情報についての対応を内容とするものではない。したがって、「流言飛語」が同ガイドライン上問題となることは実際上考えられない。
 しかしながら、同要請において、「国民の不安をいたずらにあおる流言飛語が、電子掲示板への書き込み等により流布しており、被災地等における混乱を助長すること懸念されます」と述べた上で、「インターネット上の地震等に関連する情報であって法令や公序良俗に反すると判断するものを自主的に削除することも含め」、「適切な対応」をとることを求めていることから、あたかも、情報内容の真実性の観点から問題があると判断した特定の情報をインターネット上から削除すること等の「流言飛語」に対する特別の対応を要請するものであるかのように誤解される恐れがあることも否定できないものと思われる。
 同要請の趣旨は上記のとおりであり、地震等に関連するインターネット上の流言飛語に対して、「自主的な削除」等の従来の対応を超えた格別の措置をとることを求めるものではないことが十分に理解され、総務省による情報統制の意図によるものであるかのように誤解されることがないよう、格段の御留意をお願いしたい。

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