韓国の口蹄疫・鳥インフルエンザ対策で、有毒なアルデヒド類を含む消毒薬が不十分な防護で使用され、中毒を起こした可能性があることが問題になっている。



「口蹄疫防疫に発ガン消毒薬を使用」(5/17 韓国農政新聞)
http://www.ikpnews.net/news/articleView.html?idxno=14003#

 口蹄疫防疫に、全国的に発がん性成分が入った消毒薬が大量に散布されたことがわかったと国民日報が6日(金)報道した。高敞(コチャン)郡でも、発癌物質であるホルムアルデヒドと有害物質のグルタルアルデヒドが使用されたことが分かった。 政府はこれまで、人体に有害な成分が入った消毒薬は、口蹄疫防疫に使用していないと明らかにしてきた。

 郡の担当者は「当然、食品医薬品安全庁の許可を受けた消毒薬であり、使用説明書、緊急の指針等を遵守するように措置した」と話した。

 国立獣医科学検疫院は、5月6日(金)「アルデヒド消毒薬は、少なくとも100倍以上に希釈して密閉空間ではない屋外で、保護具を着用して使用する場合、人体には問題がない」と明らかにした。

 しかし、ホルムアルデヒドは、発ガン性物質であり、グルタルアルデヒドが緊張緩和、眠気、反射作用の鈍化、筋肉運動縮小、めまいを誘発する有毒物質であることも明らかな事実である。

 国民日報は、「口蹄疫防疫時に、市民・官・軍の防疫要員のうち合計193人(死亡10人)が死亡または負傷した。特に、死亡者のうち防疫所に勤務している最中に胸が苦しいと訴えてから倒れた事例は、代表的な急性毒性中毒の症状と似ている。負傷者の中にも嘔吐、めまいなどの急性中毒の典型的な症状が多く含まれている」と主張した。

 また、検疫院は、「ホルムアルデヒドは、家畜に直接触れてはいけない」と勧告したが、ホルムアルデヒドハイドロ消毒薬の使用説明書では、家畜の体に使用しても良いとされている。

 環境部は、アルデヒド消毒薬を扱うときに、保護眼鏡、手袋、空気呼吸器、化学物質用防護服などを着用することを勧告している。しかし、防疫要員らは簡単なマスクだけを着用したまま現場に投入され、保護メガネを外したまま、薬品を散布したりもした。

 専門家たちは、消毒薬の大量散布が人体や周辺環境に害をもたらすことがあると憂慮した。 5月6日(金)、口蹄疫·鳥インフルエンザ(AI)市民調査団の報告会で、ソウル大学保健大学院のチェ・ギョンホ教授は、「防疫要員らが健康被害を受けていないかどうか追跡管理が必要であり、上水道未普及地域の地下水を徹底的に
管理しなければならない」と注文した。

 検疫院は、「今後は移動統制制御所での車両の消毒の時に、人体の露出を最小限にするように、口蹄疫緊急行動指針の改正を進めている」と話した。 また、「現在は、移動制御所に消毒装置を設置し、すべての車両に対して消毒を実施しているが、今後、制御所は制御だけを担当し、防疫帯別の主要拠点地域に別途、消毒場所を設置して、畜産車両のみ消毒を実施するようにする計画だ」と明らかにした。 消毒場所には、消毒薬による環境汚染の防止施設を必ず整備するように義務化する計画だ。

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【口蹄疫の消毒薬ブーメラン】口蹄疫「発癌消毒薬」でたらめに散布...相当数の中毒症状(5/5 国民日報クッキーニュース)
http://news.kukinews.com/article/view.asp?gCode=all&arcid=0004927364&code=11132000

防疫要員達は形式的教育だけ受けずに投入

 去年冬、口蹄疫の防疫作業中に発ガン物質などの毒性が強い物質が大量に使われたことが、5日確認された。それでも政府は防疫要員達に適切な保護措置を取っていなかったことがわかった。確認された死傷者の中には、相当数が毒性物質による中毒を疑うような症状を発症していたことが明らかになった。

 本誌が全国16市道の基礎自治体230ヶ所に情報公開を請求して入手した、口蹄疫・鳥インフルエンザ(AI)消毒薬の使用状況を分析した結果、昨年11月から今年3月まで口蹄疫・AI防疫のために、全国に散布された消毒薬は総計3515tとなった。20万リットルの大型タンクローリーで175台を越える量だ。有史以来、最も短い期間に、最も多い量の化学物質が全国に散布されたわけだ。

 このうち、発ガン物質に分類されるホルムアルデヒドは4.8tが使われ、環境部が有毒物に指定しているグルタルアルデヒドは63tが散布された。

 中央災害安全対策本部の発表によれば、口蹄疫の防疫活動の最中に亡くなったりけがをした民・官・軍の防疫要員は総計193人と明らかにされている。この内10人が死亡し、重傷者も43人に達する。

 死亡者の中には防疫警戒所に勤務している最中に、胸が苦しいといって帰宅した後倒れた事例などは、代表的な急性毒性中毒の症状に似ている。防疫作業後に帰宅して脳出血、心筋梗塞で倒れて死亡した事例も急性中毒を疑える症状だ。ケガ人の中にも嘔吐・目まいなどの急性中毒の典型的な症状を示す事例が相当数含まれている。防疫要員らは個人の保護対策や薬品についての注意事項などについて、適切な教育を受けていないことが確認された。

 全国公務員労働組合が慶尚北道、忠清南道、忠清北道、京畿道などの主要な口蹄疫発生地域に確認した結果、防疫作業に参加した職員たちは「形式的な教育だけを受けた」と回答した。

 専門家は、消毒薬の大量散布が健康・環境被害を招くことがあると警告した。口蹄疫の消毒薬の場合は、防疫の基礎である有効希薄倍率も決まっていない状態だった。現場では確実な消毒効果を上げる為に、推奨倍率より高濃度に薬剤を希釈して使用した場合が多く、被害への懸念はますます一層大きくなっている。
(ソン・ジョンス記者)

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