スクープ!  コレが尼崎市における「官製談合」の実態だ!
 本サイトで、何度も取り上げている、法務・検察の裏金である「チョーカツ」こと、「調査活動費」の実態を実名で内部告発しようとした寸前に、身内である検察当局に「口封じ逮捕」され、その刑事事件で、現在、上告中の元大阪高検公安部長、三井環氏(高知、高松両地検の次席検事も歴任)が、この3月21日、兵庫県尼崎市役所発注のごみ処理事業に関して、業者が市の担当者と共謀して、談合を行っていた事実を把握したため、その内容を告発状にまとめ、同県警尼崎北署に提出しました。これを受けて、同署では捜査に乗り出したということです。
 
 三井氏が把握した談合の具体的な事実は、平成15年(2003年)3月から平成19年(2007年)の3月にかけての4事案、計8件で、いずれも尼崎市が発注したごみの収集・運搬事業に関して、公正な価格を害する目的で、業者が市の入札担当者と共謀の上、談合していたというものです。
 なお、三井氏が刑事告発をしたのは、この3月21日ですが、告発したことを受けて、マスコミの取材にも応じ、この日の夕方、NHKが関西ローカル枠で、「尼崎市の発注した清掃事業の入札に、業者が市の担当者と共謀して談合を行っていた疑いが浮上し、警察が捜査を始めた」と報道しています。以下、告発状の全文を、ここに掲載します。

 
       告発状

 尼崎北警察署長殿

                                          平成20年3月21日

1 告発人 三井環

2 被告発人
 ①下地一正(株式会社摂津代表取締役 入札担当者・野田幸男)
 ②福本義夫(株式会社阪神衛生代表取締役)
 ③青山早苗(有限会社松川衛生)
 ④荒木勇二(有限会社清菱代表取締役 入札担当者・遠田昌史)
 ⑤宮城幸弘(有限会社宮城衛生代表取締役 入札担当者・浜田清)
 ⑥川内憲冶(有限会社森衛生代表取締役 入札担当者・川内隆)
 ⑦飯尾和子(株式会社飯尾代表取締役)
 ⑧沖田富安(有限会社沖田実業代表取締役)
 ⑨荒木基博(有限会社荒木衛生代表取締役)
 ⑩野田幸男(株式会社摂津取締役)
 ⑪尼崎市役所入札担当者(氏名不詳)

3 告発事実
 (1)上記①、②、③、④、⑤、⑥、⑩、⑪は共謀の上、平成18年3月6日、尼崎市役所発注にかかる中央卸売市場内塵芥搬送等事業務等委託事業の入札に際して、公正な価格を害する目的で談合したものである。

 (2)上記①、②、③、④、⑤、⑥、⑦、⑩、⑪は共謀の上、平成19年3月28日、尼崎市役所発注にかかる中央卸売市場内塵芥搬送等業務委託事業の入札に際し、公正な価格を害する目的で談合したものである。

 (3)上記①、②、③、④、⑤、⑥、⑦、⑧、⑨、⑩、⑪は共謀の上、平成19年3月14日、尼崎市役所発注にかかる尼崎市モーターボート競艇場塵芥収集等業務委託事業の入札に際し、公正な価格を害する目的で談合したものである。

 (4)ア 上記①、②、③、④、⑤、⑥、⑦、⑨、⑩、⑪は共謀の上、平成15年3月28日、尼崎市役所発注にかかる市内一円公園等のごみ回収業務委託事業の入札に際し、公正な価格を害する目的で談合したものである。
 
 イ 上記①、②、③、④、⑤、⑥、⑦、⑨、⑩、⑪は共謀の上、平成16年3月30日、尼崎市発注にかかる上記委託事業の入札に際し、公正な価格を害する目的で談合したものである。

 ウ 上記①、②、③、④、⑤、⑥、⑦、⑨、⑩、⑪は共謀の上、平成17年3月28日、尼崎市役所発注にかかる上記委託事業の入札に際し、公正な価格を害する目的で談合したものである。

 エ 上記①、②、③、④、⑤、⑥、⑦、⑨、⑩、⑪は共謀の上、平成18年3月28日、尼崎市役所発注にかかる上記委託事業の入札に際し、公正な価格を害する目的で談合したものである。

 オ 上記①、②、③、④、⑤、⑥、⑦、⑨、⑩、⑪は共謀の上、平成19年3月29日、尼崎市役所発注にかかる上記委託事業の入札に際し、公正な価格を害する目的で談合したものである。

4 罪名及び罰条

 談合 刑法第96条3の2項

5 犯行の状況等
 (1) 昭和54年10月17日設立の大栄環境株式会社(いわゆる大栄環境グループという。代表取締役金子文雄、本社・大阪府和泉市テクノステージ2丁目3番28号)の代表取締役会長は下地一正である。同社は大阪府、三重県、兵庫県において一般廃棄物及び産業廃棄物等の事業を幅広く展開し、急成長を遂げている。
 株式会社摂津は、尼崎市東塚口町2丁目4番27号に本社があり、代表取締役は大栄環境会長の下地一正である。同社取締役の野田幸男は元は大栄環境にいたが、摂津に入社してからは、いわゆる談合の仕切り役として活動している人物である(資料①参照)。また、株式会社摂津は大栄環境グループの一員である。

 (2)尼崎市大高洲町8━9に清和事業協同組合という、いわゆる談合組織がある。協同組合設立の経過及び組合員は、別添清和事業協同組合概要(資料②)及び清和事業協同組合名簿(資料③)の通りである。上記被告発業者は、有限会社沖田実業を除いて、いずれも清和事業協同組合の組合員である。なお、有限会社沖田実業は正式な組合員ではないが、清和事業協同組合の準構成員である。
 尼崎市発注にかかる廃棄物等に関する委託契約については、上記野口幸男が談合の仕切り役として采配をふるい、組合員をどの落札者とするかの振り分けをしている。野口幸男が談合の仕切り役であることは、すでに業界内部では公知の事実である。

 (3)上記告発事実の(1)、(2)の事実については(資料④、⑤参照)毎年株式会社摂津が落札している。過去、他の業者が落札したことは、1度もない。自由競争であれば、毎年、同じ業者が落札することは絶対にありえないし、毎年落札している事実が談合であることを端的に物語っている。
 上記(1)の告発事実は、すべて清和事業協同組合の組合員ばかりが入札しているが、(2)の告発事実の業者のうち、入札した尼崎商業事業協同組合は組合員ではない。尼崎商業事業協同組合は、17,590,526円で入札したが、この入札額から明らかなように、いわゆる談合破りの金額である。清和事業協同組合所属の他業者の入札額と対比すれば、それは明らかである。本来であれば、尼崎商業事業協同組合が落札者となったのであるが、平成19年の上記委託事業に関しては、尼崎市役所が最低制限価格を設定したのである。
 すなわち、20,230,314円が最低制限価格である。その金額は契約予定金額の97・75%と極めて異常である。わずか、2・25%の間に入札価格を入れなくては落札できないのである。そのため、尼崎商業事業協同組合は失格となり、従前どおり株式会社摂津が20,530,320円で落札したのである。その落札率は99・99%であった。
 本件委託事業以外で過去、最低制限価格が設定されたことは、1度もない。すべて、株式会社摂津が談合により、落札してきたのである。
 ところが、平成19年度は、清和事業協同組合員ではなく、談合体質に反発していた尼崎商業事業協同組合が入札の参加業者となったため、株式会社摂津の野田幸男及び尼崎市会議員が市当局に働きかけて、尼崎商業事業協同組合を落札させないよう、従前どおり株式会社摂津が落札するように、平成19年度に限って、最低落札価格を設定したよりみるほかはない。

 なぜなら、上記のようにその金額は契約予定価格の97・75%と極めて異常であって、わずか2・25%の間の金額で入札しなければ失格となるのであって、それは神業でしかないからである。それは、市当局(担当者)による入札妨害であると断じていいだろう。
 また、市当局は毎年、同じ業者が落札している事実から、談合の事実は充分認識しているものといえる。それは他の委託事業の毎年の落札状況を見れば、さらに明らかである。すなわち、市当局の担当者は、談合の共謀者なのである。

 上記告発事実(3)は(資料⑥参照)、従前から毎年、阪神衛生が落札している委託事業である(資料⑧参照)。入札参加業者のうち、清和事業協同組合の組合員以外の業者(有限会社沖田は準構成員であるので、組合員に含む)は、尼崎商業事業協同組合と尼崎市環境整備事業公社のみである。公社は平成19年3月14日付で辞退している。協同組合は市当局から見積もり合わせの通知が送付されなかったため、入札に参加することが不可能となったのであるが、入札後、市当局から、平成19年3月14日にさかのぼって、辞退届けを書かされたのである(資料⑥ 平成19年3月14日付尼崎商業事業協同組合理事長・山田義雄作成の辞退届け参照)。

 同協同組合は、上記の通り、談合破りをしたが、市当局が最低制限価格を設定したため、落札できなかった業者である。市当局が見積もり合わせの通知を発送しなかったことは、最低制限価格の件も併せて考慮すると、意図的としか思えないし、市当局には入札妨害の疑いがあることを指摘したい。

 (4)上記告発事実(4)(資料⑦参照)は、従来から毎年、株式会社飯尾が落札している。入札参加業者は、いずれも清和事業協同組合の組合員である。平成15年度から平成19年度まで、いずれも飯尾が落札しているが。これが談合であることも明らかである。また、平成15年度以前も飯尾が落札している状況にある。
 市当局も飯尾が毎年、落札しているので、談合の事実は充分、認識しているものといえる。また、告発事実(1)の摂津の落札率は99・99%、(2)の落札率は99・20%、(3)の阪神衛生の落札率は100%となる。(4)の飯尾も関係資料を取り寄せ捜査すれば、落札率は100%に近い数字になることは、間違いないであろう。市当局の契約予定金額が業者に漏れているか、場合によっては、摂津や阪神衛生から出された見積書を見て、市当局は契約予定金額を決定した可能性もある。その事実が明らかとなれば、市当局による入札妨害罪となる。

 (5)さらに他の委託事業の落札状況を検討したい。
 「市有施設のごみ収集運搬業務委託の状況」と題する資料⑨の一覧表を検討すれば、談合の仕組みがさらに明らかになる。

 ア  企画財政局所管の委託事業では、園田支所につき、平成17年度からすべて荒木衛生が、園田東会館については宮城衛生が、園田地区会館については摂津が落札している。
 また、平成17年度、18年度はそのほとんどを尼崎市環境衛生事業公社が落札していたが、平成19年度は阪神衛生、飯尾、清菱、松川衛生等、清和事業協同組合の組合員が落札するという変化を見せている。尼崎市環境整備事業公社の理事長は尼崎市役所の助役の江川隆生である。市役所の助役が公社の理事長になっていることに、注目されたい。

 イ 環境市民局所轄の委託事業については、そのほとんどを尼崎市環境整備事業公社が落札している。塚口組合センター、旧塚口青少年会館、旧老人センター塚口分館は、松川衛生が毎年、落札している。

 ウ 水道局所管の委託事業については、水道局庁舎、量水器試験所、園田配水場は、摂津が毎年、落札している。

 エ 交通局所管の委託事業については、すべて阪神衛生が毎年、落札している。

 オ 教育委員会事務局管轄の委託事業については、清和事業協同組合の組合員である業者が落札し、他は尼崎市環境整備事業公社が落札している。すなわち、開明分館他1施設、市尼高他2校・園、臨時ごみの委託事業については、阪神衛生が毎年、落札し、城内分館、尼崎東高他1園の委託事業については、飯尾が毎年、落札し、武庫北分館の委託事業については、森衛生が毎年、落札し、杭瀬分館他1施設の委託事業については宮城衛生が毎年、落札し、竹谷分館他2施設、塚口幼他2園の委託事業については、摂津が毎年、落札し、富松幼の委託事業については、清菱が毎年、落札し、大圧南分館他1施設、明坂小他47校・園の委託事業については、松川衛生が毎年、落札しているのである。すなわち、清和事業協同組合の組合員でないと、落札できない仕組みになっている。毎年、落札していることから、これも談合であることも明らかである。 
 また、尼崎市環境整備事業公社が落札した委託事業も談合であることも明らかである(これについては、追告発予定)。
 市当局は、毎年、同じ業者が落札している事実から、談合であることは充分、認識していたといえる。同公社の理事長が市役所の助役であるので、清和事業協同組合の仕切り役・野田幸男と調整することは、いとも容易であろう。また、尼崎市会議員・小柳久嗣が清和事業協同組合の顧問となって、市当局との橋渡しをするなどして暗躍しているようである。

 カ 健康福祉局所管の委託事業については、そのほとんどを毎年、尼崎市環境整備事業公社が落札し、長安寮、鶴の巣園、老人福祉センター等の委託事業は摂津が毎年、落札し、厚生福祉センターの委託事業については、阪神衛生が毎年、落札し、他は尼崎市環境整備事業公社が毎年、落札している。

 キ 産業経済局所管の委託事業については、尼崎市モーターボート競艇場(告発案件)の委託事業では、阪神衛生が毎年、落札し、公設地方卸売市場の委託事業については、摂津が毎年、落札している。他は尼崎市環境整備事業公社が落札している。

 ク 健康福祉局所管の委託事業では、築地保育所、母子福祉センターの委託事業については、阪神衛生が毎年、落札し、大圧保育所他3所の委託事業については、松川衛生が毎年、落札し、富松保育所の委託事業については、清菱が毎年、落札し、南杭瀬保育所他1所の内親子サロンの委託事業については、宮城衛生が毎年、落札し、園田保育所の委託事業については荒木衛生が毎年、落札し、元浜保育所他1所の委託事業については、森衛生が毎年、落札している。

 ケ 都市整備局所管の委託事業では、尼崎農業公園、都市公園、子供広場等の委託事業については、飯尾が毎年、落札し、戸ノ内開発事務所、北部浄化センターについては宮城衛生が毎年、落札し、他は尼崎市環境整備事業公社が毎年、落札している。

 コ 消防局所管の委託事業では、中消防署三和分署の委託事業については、阪神衛生が毎年、落札し、西消防署大圧出張所・整備工場の委託事業については、森衛生が毎年、落札し、北消防署園田分署の委託事業については、摂津が毎年、落札している。
 
 平成17年度以前の落札状況については、一覧表にはないが、ずっと毎年、同じ業者が落札している状況にある。これを見ても、すべて委託事業が談合であることが明らかである。もちろん、市当局(入札担当者)は談合であることを充分、認識していることも明らかである。

 (6)尼崎市東海岸町1━120所在の財団法人・尼崎市環境整備事業公社(理事長・江川隆生、尼崎市助役)は、上記のとおり、毎年ずっと多額の委託事業を落札している。上記公社は尼崎市役所の外郭団体であって、尼崎市役所が66・7%を出資している。また、同公社の職員の大半は尼崎市役所天下りのOBであって、理事長は尼崎市役所の助役である。特に尼崎市教育委員会発注の委託事業については、清和事業協同組合の組合員と上記公社が落札している。公社を巻き込んだ談合であると断ぜるを得ない。
 公社の事業内容は、し尿収集等事業、駅前広場等清掃事業、資源リサイクルセンター事業、施設ごみ収集事業等、尼崎市役所発注の委託事業を落札している。平成16年度の収入は、472,998,000円、同17年度の収入は655,152,000円、同18年度の収入は463,710,000円となっている。いわゆる談合によって得た収入である。上記公社についても、資料が揃った段階で、追加告発する予定である。

 (7)自由競争をした場合と、談合をした場合の最低入札価格(落札価格)を比較すると、一般的には約2割、自由競争をした場合の方が低価格で落札されるのが、実情である。
 上記(2)の告発事実で、尼崎商業事業協同組合が談合破りをして、17,590,526円で入札したが、失格となったが、他方、摂津の落札額は20,530,320円であった。約300万円の差があることがわかる。
 上記(1)、(2)の告発事実についてみると、約30年前から摂津が落札しているとすると、300万円×30=9000万円を摂津が利得し、反面、市民の血税が9000万円侵害された計算となる。
 談合罪とは、市民の血税を業者が侵害する犯罪である。尼崎市役所の上記の委託事業のみでも、過去にさかのぼって計算すれば、談合することによって、約数十億円の税金が無駄にされた計算になると思われる。その分、業者が利得し、他方、血税が侵害されたのである。それも本件は市当局が談合の事実を認識しているのであって、いわゆる「官製談合」なのである。警察は徹底した捜査を遂行し、官製談合の実態を解明されたい。業者の談合であることは、入札状況から明らかである。
 問題は、市当局がいかなる関与をしているかにある。最低制限価格の設定も、市当局が関与した事例であろうが、業者が談合していることは明らかなので、まず、業者を逮捕、勾留の上、取り調べ、市当局との関与の実態を明らかにされることを、切に望むものである。
 余りにも奥の深い広がりのある事件ではあるが、この際、徹底した捜査を遂行されたい。談合は「市民の血税を侵害する犯罪」であるということを、決して忘れてはならない。市民のためにも、早急に真相を解明されたい。

6 資料(証拠)
 ①大栄開発グループと題する資料2通
 ②清和事業協同組合概要
 ③清和事業協同組合名簿
 ④上記告発事実(1)の関係資料一式
 ⑤上記告発事実(2)の関係資料一式
 ⑥上記告発事実(3)の関係資料一式
 ⑦上記告発事実(4)の関係資料一式
 ⑧競艇場の清掃業務について(平成9年度から平成18年度過去10年間)と題する資料
 ⑨市有施設のごみ収集運搬業務委託の状況と題する資料一式


古川利明の同時代ウォッチング
http://toshiaki.exblog.jp/6933248/

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