石井 紘基 構造改革のための25のプログラム
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プログラム二三
「公務分限法」を制定する

 行政は権力であり、出過ぎてはならない。行政の使命は社会の公正と安全を保持すること、つまり、必要かつひかえ目に税金を使って福祉、医療、教育、治安、外交、防衛の事務にあたることである。
 教育は健全に進んでいるか、福祉の行き届かないところはないか、治安に欠落や行き過ぎはないか、法は守られているかをチェックし、その事務を遂行することである。
 また、行政担当者は自ら姿勢を正し、公に奉仕し、間違っても私利私欲を追求するなどあってはならないし、不必要なところに国民の金を使ってはならないのである。こうした趣旨を「公務分限法」として定めるべきだ。
 憲法八六条は税金の使い途について厳しい態度をとっている。すなわち「内閣は、毎会計年度の予算を作成し、国会に提出して、その審議を受け議決を経なければならない」「予見し難しい予算の不足に充てるため、国会の議決に基づいて予備員を設け、内閣の責任でこれを支出することができる」と規定している。
 つまり、憲法は、国の会計は各会計年度ごとに完結するもので、かつ年度当初に金額が予定できなければならないことを定めているのである(単年度主義)。
 これによって、儲かるか損をするかわからない事業、長期短期の投資活動などを排除しているのである。
 裏を返せば、この国の経済活動の担い手は民間であり、経済、すなわち、市場の活動に行政が立ち入ることを予定していない。今日のわが国の財政運営は明らかに憲法違反の疑いがある。
 行政が民間事業に補助金を出したり、行政事業と称してビジネスに手を出したりすれば、市場の資源が経済活動から行政事務のものとなり、たちまち経済を壊し、市場を狭め、負担を増やす結果を招く。
 事実、行政がやっている年間数百兆円のビジネスの中で、どの事業・業種をとってみても採算の合っているものはない。子会社・孫会社は座っているだけでお金が入ってくるが、国から見れば際限のない借金の山が築かれているのだ。
 憲法の定めるところに従って、政府は中央・地方にわたって原則として投資事業を止め、それらを経済の領域に戻さなければならない。
 憲法をはじめとする基本的法律に照らして、行政の範囲と権限、責任を明確にすべきである。いかなる形をとろうとも税金が政治家、公務員に直接間接に流用されたり、儲かるか損をするかわからないビジネス(各種投資等)に用いられたりしてはならない。
 しかも、一年単位で見て一円たりとも不明であってはならない、そういうものだということを、はっきりさせる必要がある。
 また、政治家、公務員は国家国民のため、未来のために奉仕し、仕事をするという重い使命を持った誇りある存在であると同時に、重い責任を負うべき存在であることを明確に規定する必要がある(ちなみに、政治家と行政官がお手盛りでやっている叙勲制度などは、業界への褒章も含めて即刻廃止した方がよい)。天下りや二重退職金などはもってのほかである。
 同様の主旨で「行政監査院」と「政治監察院」を設けるべきである。いま行政監査は総務省が行っているが、行政自身が行うのではなく、権威と権限をもった国民の機関が必要である。
 また、政治家自身が多数決で選挙法を決めたり、報酬や政治資金を決めたりするのではなく、厳正な国民によって作られる政治監察院によるべきである。
 そして、政治家や政党は企業や団体から金をもらうのではなく、国政に献身することと引き替えに政策調査と立法活動のための必要な費用を保障され、言論の自由を侵されること無くその使途を監察されるべきである。
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