【消費税の問題点:仕入税額控除】

 消費税の一番の問題点は「消費税は、消費者が負担する税である」という基本コンセプトと、「実際の納税は、納税義務者が行う」という「税徴収に関わる実際の金の動き」に対しての、国民の「無知・無関心」によるところが大きい。

 そこに、一番深く関与しているのが「仕入税額控除」という制度だ。

 「事業者が国に納める消費税額は、売上時に受け取った消費税額から、事業に必要な物品購入など仕入れのために支払った消費税額を差し引いた額を納める。仕入れ時に支払った消費税額の方が多かった場合は、国から払い過ぎた分の還付を受けることができる。」

 という考えに基づく制度だが、ここに「大きな落とし穴」が存在する。「実際の価格に、全て消費税を転嫁可能か?」という問題である。
 実際は、売り上げの規模が小さくなればなるほど、「その力関係の弱さが原因で」一方的な負担を強いられている実態が良く分かる。消費税は事実上の「売上税」なのだ。中小零細企業は、消費税分以上の値引きを強いられ、それでも納めろと恫喝されている。

http://www.sasaki-kensho.jp/gijiroku/download.php?f=upfile/1190215991-2.pdf&n=050207siryou2.pdf

「トヨタ:国内部品メーカーに大幅値下げ要求、半額提示も」
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-LSO9JY0YHQ0X01.html

 結局、消費税を価格に転嫁可能なのは、経済取引で価格決定権を持つ「経済取引上強者」に限られ「経済取引上の弱者」は、貰ってもいない消費税を「自腹を切って支払っている」のが現実だ。
 だからこそ、「平成22年度租税滞納状況」をマスコミは報道しない。コンセプトとはかけ離れた納税の実態が、ばれると困るからだ。全滞納額6836億円のうち消費税は3398億円で約50%。源泉所得税10%、申告所得税19%、法人税15%…と他の税目に比べても不自然に多い。元々貰っていない消費税を自腹を切って支払うのは「納税の仕組みに元々無理がある」事を如実に示す結果に他ならない。

「国税庁:平成22年度租税滞納状況について」
http://www.nta.go.jp/kohyo/press/press/2011/sozei_taino/index.htm

 しかも、輸出取引に関して、消費税は免税である。これは「消費税は外国で消費されるものには課税しないという考えに基づくもの」だ。
 理屈の上では、輸出企業は仕入れの際に支払った消費税を取り戻したまでだ。
 …しかし実際に「価格支配力」を有しているのは、経済取引上の強者である輸出企業であり、値下げ圧力で、実際に消費税を負担しているのは下請け業者だ。1円も納付せずに輸出企業に還付される輸出戻し税は、「事実上の輸出補助金」に他ならない。

「輸出上位10社で戻し税1兆円:トヨタ1社で2,291億円 関東学院大学教授 湖東京至さんが試算」
http://www.zenshoren.or.jp/zeikin/shouhi/061106/061106.html

消費税には、この他にも色々な問題が存在する。

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