『自動車開放触れず 議論は農業に限定 推進派のTPPシンポ』|日本農業新聞4月23日

 環太平洋連携協定(TPP)推進派の論拠が乏しい上、限られた範囲でしか議論していないことが表面化してきた。有識者でつくる「TPP交渉への早期参加を求める国民会議」が19日に開いたシンポジウムでは、米国が 日本の自動車市場の開放を求めていることなどには触れず、農業に限定した議論を展開した。慎重派の国会議員からは「工業製品にもメリットがなく、推進論の根拠の乏しさがにじみ出ている」との指摘が挙がる。

 シンポに参加した日本経団連の大橋洋治副会長は「とりわけ、日本農業が壊滅的な影響を受けるとの指摘がある」と強調。自動車市場の開放については言及しないまま「まずは交渉に参加することが重要」とまとめた。

 慶應義塾大学の渡邊頼純教授は「日本がどれだけTPPに本気で取り組むかによって、(日本が経済連携を模索する)欧州連合(EU)や中国を動かすことになる」と指摘したが、EUや中国が日本との経済連携に動く具体的な根拠は示さなかった。

 こうした議論について慎重派議員からは「TPPのメリットが論理的に説明できていない」「推進論の苦しさの表れだ」との声が出ている。

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