『TPP交渉参加是非で攻防 推進派が巻き返し 民主』|日本農業新聞4月28日

 TPP交渉参加の是非をめぐり、民主党内で推進派と慎重派が一進一退の攻防を繰り広げている。野田佳彦首相は30日に予定するオバマ米大統領との首脳会談での交渉参加表明を見送る見込みで、これに焦った推進派が巻き返しているためだ。5月の連休明けも予断を許さない状況が続く。

 「(会議の)進め方に異議あり」。26日に開かれた民主党の経済連携プロジェクトチーム(PT、櫻井充座長)の総会で、山田正彦前農相が議論の進め方に強く異を唱えた。福島伸享氏(衆・茨城)も「こういうことをやると、これまで積み重ねた(党PTの議論の)ルールを根底から変えることになる」とかみついた。

 当日は政府の情報収集や党PTの訪米調査団報告を踏まえた論点メモ案をまとめる予定だった。それにも関わらず、内閣府の石田勝之副大臣がTPP交渉参加に前のめりとも受け取れる政府の考え方を説明し、櫻井座長が論点メモ案を読み上げるにとどめたことに山田氏らは憤ったのだ。

 山田氏らが、論点メモ案にこだわったのには理由がある。櫻井座長は山田氏らの抗議を受けて結局、27日の総会で論点メモ案を文書で示したが、メモ案は交渉参加の是非を判断する条件として、さらなる情報収集や十分な国民的な議論などを挙げ、現時点では「国民の間の十分な議論、合意形成が図られている段階に達していない」との見解を明記。「論点メモ案は、連休明け以降の議論で推進派の攻勢を食い止める“楯”と成りえる」(福島氏)ためだ。

 とはいえ、連休明け以降の議論の行方は不透明だ。推進派は26日の総会で議員を動員し、「首相に早期の交渉参加表明をさせようと再び動き始めた」(慎重派議員)。論点メモ案は「精力的に議論を進め、可及的速やかに一定の成案を得る」ともした。TPPをめぐる攻防は正念場を迎える。

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