【解説】『参加表明止める方針を』|日本農業新聞4月28日

 民主党の経済連携PTが経済連携の方針づくりに向け議論を始める。同PTが検討する方針の柱の一つに、TPPだけでなく、日中韓の自由貿易協定(FTA)や東南アジア諸国連合(ASEAN)中心の枠組みも合わせて検討することが明記されたことは重要だ。

 政府内では、アジア太平洋地域のルールづくりについて「TPPのルールが地域標準になる」というTPP一辺倒の考えがほとんどだった。今後の議論によっては、TPP以外の枠組みで日本がルールづくりを主導するといった別の道を探る余地もできる。

 一方、「EPAの自由化度」の議論はもろ刃の剣になりかねない。重要品目に配慮した自由化水準を方針に盛り込めれば、「全品目の90~95%を即時関税撤廃し、残る関税も7年以内に段階的に撤廃する」との主張が多数派を占めるTPPに入ることが事実上困難になる。

 だが、もし推進派の主張が通り「日本もTPPの自由化水準を満たせる」と解釈できる書きぶりになれば、政府に交渉参加表明を許すことになりかねない。

 これまで締結したEPAで、日本が自由化したのは全品目の9割以下。この割合を高めることは、関税で守る品目と国内対策で守る品目を線引きすることにつながる。「これまで(公式には)議論したことのない領域に党のPTが踏み込む」(政府関係者)という危険を冒してまで、「交渉参加阻止を勝 ち取りに行く」(TPP反対派の民主党幹部)ことを選んだからには、覚悟を持って議論に臨む必要がある。

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