【書評】『TPPはいらない! 篠原孝・著』|日本農業新聞4月29日

 環太平洋連携協定(TPP)交渉をめぐる議論がなぜ巻き起こったのか。前農水副大臣として民主党の政権運営に携わってきた著者が、苦悩といら立ちを込めて野田佳彦首相による昨年11月の協議入り表明や党の議論の実態を描き出す。
 
 政権運営に不慣れな民主党。発言力を増す官邸に送り込まれた財務省、外務省、経済産業省の官僚。官邸と党の風通しが悪くなり、現場からかい離していく政策決定の不透明さを浮き彫りにする。
 
 「グローバリゼーションからジャパナイゼーションへ」。副題に掲げたのは、多様性を容認する日本やアジアの伝統・文化に立脚した原点から答えを見つけ出す姿勢だ。幕末から明治にかけて「開国」を迫った米海軍提督ペリーらは、日本に何を感じたのか。回答を探る模索はペリーらの本当の目線にたどりつく。
(日本評論社、1680円)
(整理部 野村和志)

※引用者注:日本評論社HP該当ページ⇒ http://www.nippyo.co.jp/book/5884.html

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