『TPP 米国内は様子見 首相訪米、不快表す業界も』|日本農業新聞4月30日(時事通信4月29日)

 【ワシントン時事】米国内でTPP交渉参加に向けた日本の本気度をいぶかる声が強まりつつある。特に米側が事前協議で「強い関心」を伝えたにもかかわらず、日本郵政グループの民営化路線を見直す改正郵政民営化法が成立したことで、米国内の業界には失望感が拡大。野田佳彦首相の公式訪米に冷や水を浴びせた形となっている。
 
 「(TPP交渉参加問題で日本から)画期的な発表が行われるとは予期していない」。米政府高官は電話会見で、野田首相とオバマ大統領の首脳会談でのTPP事前協議進展への期待をあっさり否定した。日本政府が気をもむ交渉参加の承認のタイミングについても、「交渉参加のペースは、既存交渉国が示す高い基準に日本がどう対処するかによって決まる」と素っ気ない。

 背景には、昨年11月に野田首相がTPP交渉参加に向けて米国などと事前協議に入ると表明してから5カ月過ぎても、一向に収束の兆しが見えない日本国内でのTPP賛成派と反対・慎重派の対立がある。
 
 政局も絡み深まるばかりの混乱を前に米側は様子見姿勢を強めているもようだ。

 こうした膠着状況の中、米国内の業界が日本郵政と民間企業との公正な競争条件の確保に逆行すると批判してきた改正郵政民営化法が成立したことで、事前協議の行方は一段と複雑になった。

 日本のTPP交渉参加を原則として支持してきた米国の保険業界も「TPPは特定の国内産業への優遇を排し、全ての市場参加者を同一の規制の下に置くことを目指した協定だが、日本はまだその準備ができていないのではないか」(米国生命保険協会のブラッド・スミス国際担当チーフ)と不快感を表明。首相はオバマ大統領との首脳会談や米ビジネス界との朝食会で、日本の姿勢について釈明を迫られる可能性もある。
 
引用者注:最後の一文は時事通信の記事を優先した。

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