『感染牛発生受けて米国「BSE対策強化を」 消費者ら要求拡大』|日本農業新聞4月30日(共同通信)

 6年ぶりの牛海綿状脳症(BSE)感染牛が公表された米国で、牛の個体管理の徹底などBSE対策の強化を求める声が消費者団体などの間で広がっている。だが、追加の費用負担に難色を示す業界は反発、財政赤字拡大で連邦予算にも余裕はなく、実現のハードルは高そうだ。
 
 米国は日本と違い、牛の出生記録などによる個体管理を義務付けておらず、食肉用に出荷される子牛は必要な月齢データを歯の形で判断している。24日、感染を公表した乳牛は高齢のため歯の形で年齢を調べられず、10歳7カ月と判明するのに時間がかかった。
 
 2003年に米国初のBSE感染牛が確認されて以来、管理の徹底を求める声はあるが、1頭ずつ識別するシステムの導入に畜産業界が抵抗している。米農務省は、妥協案として州をまたいで取引する牛に個体管理を義務付ける仕組みを検討、ビルサック農務長官は「最終案をまもなく発表する」という。
 
 だが、連邦政府が負担する予算額は1400万㌦(約11億円)に上る見通し。歳出削減圧力が強まる議会で認められるかどうかは不透明だ。
 
 米国で出荷される年約3400万頭の牛のうち、BSE検査の対象は約4万頭(0.1%)。日本が事実上の全頭検査を続けていることなどを引き合いに「検査数を増やすべきだ」との声が広がっている。
 
 こうした意見に対し農務省は26日、報道機関宛てに反論メールを送付。BSEの原因物質がたまりやすい危険部位の除去や厳格な飼料規制と併せて効果を挙げているとし「米国のBSE対策は世界で最も成功している」と主張した。(ワシントン共同)

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