『TPP交渉 米側、車や牛肉 関心 首脳会談 事前協議前進で一致』|日本農業新聞5月2日

 【ワシントン千本木啓文】野田佳彦首相と米国のオバマ大統領は30日(日本時間1日未明)、ワシントンで会談した。環太平洋連携協定(TPP)について両首脳は、日米間の事前協議を前進させることで一致。野田首相は、交渉参加は表明しなかったが、日米協議の進展に向けて「お互い努力していきたい」と述べ、自動車問題など両国の懸案について歩み寄りへの期待を示した。一方、オバマ大統領は自動車と保険、牛肉の3分野について「国内の関心が高い」と説明。特に、自動車産業が日本の交渉参加に反対するなど国内で意見が分かれていることを指摘した。国内の意見を紹介する形で、事実上、3分野での日本の対応を迫った格好だ。

 TPPについては、首脳会談に引き続き開かれた昼食会の冒頭で、オバマ大統領が切り出した。日本政府は大統領の発言を明らかにしていないが、外務省幹部によれば「日本が参加することの意義を高く評価しているような印象を受ける内容だった」という。

 野田首相は「日米が協力し、地域の貿易、投資に関する高い水準のルールを作る意義は大きい」「昨年11月にTPP交渉参加に向けた交渉参加国との協議開始を決めた際、表明した自分の考えは変わらない」と述べ、交渉参加に前向きな姿勢をあらためて示した。

 これに対しオバマ大統領は、自動車、保険、牛肉について国内の関心が高いことを説明したが、3分野で具体的な要求は示さなかった。昼食会後の共同記者会見でも「今後も協議を続けるよう(担当者らに)指示した」と述べるにとどめた。

 日米協議の今後の進め方や日本の交渉参加時期などについては議論しなかった。

 また共同声明を発表し、TPPについて「2国間協議を引き続き前進させ、どのように2国間の経済調和と地域経済統合を推進していけるのかをさらに探求する」とした。両国で、アジア太平洋地域の貿易・投資に関する高い水準のルールを築き、地域統合を推進することも盛り込んだ。

 両首脳の公式会談は昨年11月のハワイ以来。ハワイでの会談で野田首相は、TPP交渉参加に向けて関係国との協議を始めるとの方針を伝えた。

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