『戦略なき政府 批判 自民』|日本農業新聞5月10日

 自民党総合農政・貿易調査会(加藤紘一会長)と同党の議員連盟「TPP参加の即時撤回を求める会」(森山裕会長)は9日、日米首脳会議などについて政府から聴取した。議員からは、政府が具体的な方針や戦略なしにTPPなど経済連携への対応を進めているとして批判が相次いだ。
 
 加藤会長は、日米首脳会談でオバマ米大統領から保険や牛肉、自動車の3分野を名指しされたことや、日本郵政ががん保険参入を見送る方針であることを挙げ、「(米国の圧力で)三つのうち一つが取られた」と指摘。中国と韓国のFTA交渉開始合意や、日本がASEAN中心の経済連携を進めることにも合意したことを受け、「どう考えればいいか分からない」と、政府の経済連携への対応に疑問を呈した。
 
 小里泰弘氏(衆・鹿児島)は「TPPの一方で日中韓やASEANとも経済連携を進めると言えば、日本はどこからも信頼を失うのではないか」と、政府の姿勢を批判。宮越光寛政調会長は、オバマ大統領が3分野に直接言及したにもかかわらず、野田佳彦首相が具体的な答弁を避けたことを「(一方的な譲歩で)交渉にならない」と断じた。
 
 赤澤亮正氏(衆・鳥取)は9月8、9日のAPEC首脳会議で日本の交渉参加を了承してもらうため、5月中にも日米間の懸案事項の解決を目指すのではないかとの考えを示した。米国議会が日本の交渉参加を承認するには、米国政府の通報後90日間かかる。逆算すると、5月中に日米政府で合意しなければ9月に間に合わないためだ。
 
 政府側は「計算上はその通りだが、今後のスケジュールは決まっていない」と説明。日本郵政のがん保険参入見送りには「コメントする立場にない」とした。

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