『TPP推進の声少数 東アジアとの連携に関心 民主・経済連携PT集中議論』|日本農業新聞5月10日

 民主党の経済連携プロジェクトチーム(PT、櫻井充座長)は9日も総会を開き、8日から始まった経済連携の基本方針作りに向けた集中議論を続けた。ここまでの議論では、中国、韓国など東アジアを中心とした枠組みを目指すべきとする意見が多く、環太平洋連携協定(TPP)推進の声は少ない模様だ。ただ6月のアジア太平洋経済協力会議(APEC)貿易担当相会議や主要20カ国首脳会議(G20サミット)を前に推進派の巻き返しも予想され、一進一退の攻防が続きそうだ。
 
 9日の総会は、自由貿易の定義や在り方について議論した。自由貿易そのものは否定しないが関税の完全撤廃は認めないとする考えが多く、「相手の国を開かせ、自分の国はなるべく守るのが世界標準の自由貿易の定義だ」(福島伸享氏)といった意見も出た。櫻井座長は「何でも競争すれば正しいというわけではない」との見解を示した。
 
 9日までの議論では、日中韓や、東南アジア諸国連合(ASEAN)プラス3(引用者注:日中韓)、同プラス6(引用者注:日中韓豪NZ印)などの枠組みを念頭に、成長著しい東アジアを軸とした経済連携を目指すべきという主張が多く出ている。世界貿易機関(WTO)中心の貿易体制や、外需より内需を重視すべきといった意見もあった。
 
 一方、TPPを推進するような意見はほとんど出ていないという。「懸念材料ばかりが明らかになる中、他の議員が納得するほどのメリットを論理的に説明するのは難しいのではないか」(慎重派議員)。ただ、「まだTPP推進派議員の出席が少ないだけ」(別の議員)との見方もある。
 
 昨年秋、同PTの議論では、終盤に推進派議員が多数押しかけて巻き返しを狙った経緯があり、慎重派は警戒している。

Reply · Report Post