【解説】『農業守る姿勢貫け』|日本農業新聞5月14日

 政府が一昨年11月に決定した包括的経済連携に関する基本方針は、「高いレベルの経済連携の進展と我が国の食料自給率の向上や国内農業・農村の振興とを両立」することを掲げた。日中韓FTAも例外ではない。政府は農業や地域経済を守る姿勢を貫くべきだ。
 
 日本はWTOドーハ・ラウンドで、「多様な農業の共存」を主張してきた。日中韓FTAの交渉開始に際しては、各国の関心事項に十分に配慮しながら、食料安全保障の観点から世界的な食料危機に備えられる枠組みを目指すべきだ。
 
 基本方針は、経済連携の推進に当たって農業分野で適切な国内改革を先行的に推進し、「安定的な財源を確保」する方針をも示した。しかし2012年度の農林水産関係予算は震災復興対策を除くと12年連続で減少した。これでは高いレベルの経済連携と食料自給率向上との両立以前の問題で、農業や農村は疲弊してしまう。
 
 若い担い手農家が将来を見通し、安心して営農できるよう、農業予算を増やし、持続可能な農業を実現することが最優先課題だ。

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