『日中韓FTA慎重に議論を』|日本農業新聞5月16日

 自民党外交部会(小野寺五典部会長)は15日、会合を開き、日中韓首脳会談の概要について政府から報告を受けた。議員からは日中韓FTAのメリットやデメリットを検証するなどし、慎重に議論すべきとの意見が相次いだ。
 
 首脳会談の成果として政府は、年内交渉開始で一致したFTAをはじめ、幅広い分野で日中韓の枠組みで協力が進展しつつあることを挙げた。
 
 これに対し、山田俊男農林部会長は「日中韓FTAは関税に言及していない」と指摘、政府の方針と併せて質問。政府側は「高いレベルの経済連携を目指すが、TPPのように原則関税撤廃という言及はない」と答えた。政府の方針では2010年11月に閣議決定した「包括的経済連携の基本方針」に沿って進める点を重ねて強調した。
 
 3国間の投資協定で稲田朋美氏(衆・福井)が「外国人が日本の土地を取得しやすくなったりし、国内規制が制約を受けたりするのではないか」と指摘すると、政府は「そうした弊害はないと整理している」と回答。佐藤正久氏(参・比例)は「3国間のFTAと2国間のFTAは同時並行に進めるのか」と、政府の姿勢をただした。
 
 小野寺部会長は「日中韓の関係が密接になる一方、TPPを目指している米国が新たな火種を生む可能性がある」と懸念を示し、今後も議論することを確認した。

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