『推進論に反発相次ぐ 総会で「メリット」議論 民主・経済連携PT』|日本農業新聞5月18日

 民主党は17日、経済連携プロジェクトチーム(PT、櫻井充座長)の総会を開き、TPPに関する議員間の議論を本格的に始めた。今週のテーマはTPPのメリットで、推進派の吉良州司事務局長や慎重派の福島伸享氏(衆・茨城)らが激しい論戦を繰り広げた。党PTは18日もTPPのメリットで討論し、来週は懸念事項について議論を行う予定だ。
 
 吉良事務局長は「交渉参加に向けて、日本は(昨年11月の野田佳彦首相による事前協議入り表明で)0.6歩、0.7歩進んだ。しかし、今の9カ国では魅力が少ない。日本が東南アジア諸国も入れるような枠組みに変えればいい」と述べ、持論の参加論を展開した。
 
 これに対し福島氏が「それならば、日本が(関税撤廃を原則とする)TPP交渉の枠組みを根本から変えると宣言すべきだ。それでも米国などが日本の交渉参加を認めるなら議論する余地はある」とすかさず反論し、交渉次第で日本の主張を大幅に反映できるとする推進派の希望的観測にくぎを刺した。
 
 福島氏は「安全保障論と経済連携とは切り離すべきだ」とも述べ、日米安全保障論を絡めたTPP推進論にも異議を唱えた。
 
 山岡達丸氏(衆・比例北海道)も「米国などは。新規参入国の交渉入りをいつから認めるかも含めて生殺与奪の権限を握っている。日本の主張を通すどころか、公平で公正な環境とは言えない」と述べた。
 
 近藤洋介氏(衆・山形)と篠原孝前農水副大臣は、繊維をめぐり激論を繰り広げた。近藤氏は「相手国の繊維関連の関税を引き下げさせて、付加価値の高い国産の衣類を輸出すべきだ」と繊維論を語った。これに対し、篠原氏は「繊維はかつて日本の花形産業だったが、貿易自由化を進めた結果、自衛隊の服すら国内で作れなくなった。もし戦争が始まったら自衛隊は裸で戦わないといけない」と反論し、国内産業を守る防波堤として関税を守る必要性を強調した。
 
 PT総会には約40人の議員が参加した。推進論としては資源エネルギーの獲得などの利点を述べる意見などもあった。

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