『TPP問題 医療への影響議論 米国の狙いなど解説 東京でシンポ』|日本農業新聞5月20日

 農業協同組合研究会は19日、東京都中央区で「いま改めて環太平洋連携協定(TPP)を考える」をテーマにシンポジウムを開いた。米国の医療の実態や米韓自由貿易協定(FTA)の情勢を踏まえ、TPPに潜む問題の本質を会場を交えて議論した。米国が日本の医療制度に対し、薬価制度の見直しを求めてくる危険性などを話し合った。
 
 研究者やJA役員ら60人が参加。日本文化厚生連の武藤喜久雄理事長は、TPPで米国は日本の医療の何を狙っているかについて分かりやすく解説。米国は高い価格で薬を販売するために、薬価制度の見直しを求めてくるとして「日本の薬価制度で米国資本の医療品会社が期待した収益を得られなければ提訴もあり得る」と指摘した。米国が問題視する日本の医療制度については①新薬の認定方法②価格決定時のルール③ワクチンや血液製剤の導入④ジェネリック薬品開発―などを挙げた。
 
 この他、武藤理事長は民間保険会社が病院と契約を結び、治療にも介入する米国の医療を詳細に説明した上で「市場原理主義に基づく医療制度になれば、日本の医療は根本から激変する」と強調した。
 
 大妻女子大学社会情報学部の田代洋一教授は、「日本や韓国はTPP、FTAの一方的な被害者としてではなく、構造的に問題を捉えることが重要だ」と呼び掛けた。
 
 立教大学の郭洋春教授は「ミニTPPとされる米韓FTAは単に産業問題ではなく、米国の企業の論理によって国家の主権を脅かす条約だ」と主張した。

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