『市民主催のTPP意見交換会 政府の本音ぽろり?』|日本農業新聞5月24日

 22日に東京都内で行われた、TPP交渉参加問題をめぐる政府と市民との意見交換会。126の市民団体などが主催・賛同し、公開の場で政府と市民が直接意見を交わす初の試みだった。

 200人以上が参加し、内閣府の大串博志政務官ら政府の担当者に、多くの疑問点や意見をぶつけた。議論の中で、普段は国会などでのしゃくし定規な答弁が目立つ政府側からも、率直な意見が垣間見えた。

 遺伝子組み換え(GM)食品の表示問題など、TPP交渉参加によって食の安全を損なう危険性を問われた大串政務官は「食の安全は国益だ」と説明。また「(交渉に参加するかどうかにかかわらず)農業が立ち行くようにしていく」「実家は農家で、兄も農業をやっている。私自身も(農業への影響は)リアルな問題として考えている」とも述べ、司会者らが「その言葉を忘れないように」とくぎを刺す場面もあった。

 経産省は、同省管轄の高関税品目である革製品や履物について「(仮にTPP交渉に参加した場合)皮革・履物も含め、全ての品目について交渉のテーブルに乗せていく用意はある。(具体的な扱いは)関係業界を含めて相談をしながら(交渉の中で)議論をしていく」とした。これまでは明言していなかった。

 とはいえ、「交渉に参加すると決めたわけではない」「交渉に参加していないので分からない」「外交交渉なので言えない」といった、いつも通りの“逃げ口上”も多かった。これには、TPP反対の有識者や会場から集中砲火を浴びたが、一方で会場からは勢い余ってヤジも飛び、司会者が注意を求めた。「冷静な議論を心掛けないと推進派を利することになる」(参加者)。

 3時間超に及んだ意見交換会。その様子を伝え聞いたある慎重派議員は「まさに国民的議論。こうした場を政府が全国各地で設けるべきだ」と指摘。別の慎重派議員は「これが初めてというのは、国民的議論ができていない証拠。交渉参加の表明は時期尚早だ」と政府をけん制する。

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