『TPP自動車分野の調整案 外相に情報開示要請 鹿野農相』|日本農業新聞5月26日

 鹿野道彦農相は25日の閣議後の記者会見で、環太平洋連携協定(TPP)交渉参加問題をめぐって米国政府が自動車分野で日本市場の一段の開放を求める非公式な「アイデア」(調整案)を示していることについて、できるだけ情報を開示するよう玄葉光一郎外相に申し入れたことを明らかにした。鹿野農相は会見で「なあなあでは駄目だ」と述べ、徹底的な情報開示と国民的論議が必要との持論を強調した。外相への要請は、国民的議論が不十分なままでのなし崩し的な交渉参加表明にあらためて、くぎを刺すのが狙いだ。

 自動車分野での米国の「アイデア」を含む情報開示の徹底は鹿野農相が23日に電話で伝え、25日の閣議前に直接要請した。玄葉外相は「分かった」と答えたという。ただ外相は「米国から(正式な要求の)リストは提示されていない」と述べた。

 米国では自動車業界が日本のTPP交渉参加に反対している。米国政府の「アイデア」に基づき仮に合意しても同業界の反対姿勢は変わらず、米国政府は業界の意向を踏まえた要求を再提示するとの見方が強い。鹿野農相が非公式段階での情報開示を求めたのは、非公式協議、公式協議ともに情報を開示し、国民的議論も2段階で行うべきだとの考えからとみられる。

 会見で鹿野農相は「米韓FTA(自由貿易協定)のようなことはやらないよういつも申し上げている」と、今回の申し入れの背景を説明した。同FTAでは締結後、交渉段階では危険性が十分には分からなかった投資家・国家訴訟(ISD)条項の内容などが判明し韓国内で大きな混乱を招いており、このことを踏まえた発言だ。

 自動車分野での米国政府の「アイデア」については野田佳彦首相が、24日の衆院社会保障と税の一体改革特別委員会で「正式な要求ということではなく、非公式のアイデアの交換」とし、「適時適切に情報提供はしたいと思う」との考えを示している。自民党の橘慶一郎氏の質問に答えた。

※引用者注:農水省HP該当ページ⇒ http://www.maff.go.jp/j/press-conf/min/120525.html

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