『貧困者への影響懸念 WFP事務局長 農相を表敬訪問も』|日本農業新聞5月30日

 国連世界食糧計画(WFP)のアーサリン・カズン事務局長は29日、鹿野道彦農相を表敬訪問した。鹿野農相が「農業分野では女性の役割が重要。WFPも女性参画を促してほしい」と呼び掛けると、カズン事務局長は「途上国では子どもの支援にもつながる」と、女性支援に力を入れる考えを示した。同事務局長はこの後、東京都内で記者会見し、TPPのような貿易プログラムが世界の貧困者らに悪影響を及ぼすことがないよう訴えた。
 
 WFPは農水省のODAを活用し、アフリカで稲作生産基盤の復興整備事業を展開している。このため鹿野農相への表敬訪問でカズン事務局長は「継続的な支援に感謝している」と述べた。鹿野農相は「世界の食料安全保障につながる」とWFPの取り組みを評価した。
 
 記者会見は東京都千代田区の日本記者クラブで行った。カズン事務局長は2008年の世界的な食料高騰を例に挙げ、「食料の輸出規制がアフリカなどの貧困国の食料危機を招く」との考えを示した。また食料が高騰すれば、AFPが貧困国支援のために買える食料も少なくなるとした。
 
 TPPに日本が参加した場合、関税撤廃で日本の食料輸入が増え、世界の飢餓人口の増加を招くのではないかとの質問に、カズン事務局長は「政治にはかかわらない」とした上で「(TPPのような)貿易プログラムによって、貧困者や飢餓に苦しむ人に悪影響が出ないようお願いする」と述べた。

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