『一概に拡大といえず 経済連携と雇用 意見を集約 民主PT』|日本農業新聞5月31日

 民主党は30日、経済連携プロジェクトチーム(PT、櫻井充座長)の総会を開き、環太平洋連携協定(TPP)など経済連携の雇用のへの影響とデフレとの関係について意見を集約した。雇用への影響については、拡大と喪失の両論があったことを踏まえて「経済連携の推進のみで雇用の維持・拡大が実現できるとは一概にいえない」と結論付けた。推進の最大の根拠となる雇用拡大論を封じ込めた格好だ。
 
 原案では「影響を一律に判断するのは困難」としていたが、各議員の意見を募集した上で役員会で文言を追加、修正した。修正は、推進派と慎重派双方が繰り広げた攻防の軌跡といえる。
 
 交渉に対する基本姿勢についても修正。原案では「取るべきものは取り」と前のめりな方針だけが盛り込まれていたが、「守るべきものは守り」との文言を追加した。雇用を維持・拡大するのは個々の経済連携に応じて、地域や業種などごとにきめ細かな政策を講じることが重要になることも明記した。
 
 経済連携とデフレの関係については、関税の引き下げ・撤廃による安価な商品などの流入が「供給過多、賃金低下、失業者増などを通じてデフレを加速させる」との見解と、「特定品目の価格低下と、物価全体が持続的に下落するデフレとは異なる」との意見の両論を併記した。
 
 経済連携の推進とデフレは「ニュートラル(中立)」だとし、「その推進が即ちデフレを加速させるわけではない」との見解が示されたことを紹介した。ただ関税引き下げ・撤廃の対象となる分野で、価格や賃金の引き下げ圧力が増大することに留意を求めた。
 
◆経済連携の雇用への影響に関する原案の主な修正点

・影響の評価
 [24日に示された原案]
 ・経済連携の雇用への影響を一律に判断するのは困難
 
 [30日に了承された修正案]
 ・左記を削除し、下記を追加
 
 ・経済連携の推進のみで雇用の維持・拡大が実現できるとは一概にいえない
 
 ・経済連携の雇用への影響は、経済モデルの分析の詳細を十分に検証し、参考にすることが重要
 
 ・適切な政策を講じない場合には、地域、業種によっては相当の影響が生じることが想定される

・交渉に対する基本姿勢
 [24日に示された原案]
 ・経済連携を推進する場合、各種の政策実施とあいまって、「雇用を増やす経済連携」とすることが重要。そのため、交渉において「取るべきものは取り」、また物品・サービス、地域に応じたきめ細かな政策を実施しなければならない。
 
 [30日に了承された修正案]
 ・左記の「経済連携を推進する場合、各種の政策実施とあいまって」の後に「国内の産業の多様性を守りながら」を追加。さらに「取るべきものは取り」の後に「守るべきものは守り」を追加

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