『TPP 説明責任果たさぬ政府 なし崩し交渉に激怒』|日本農業新聞6月2日

 民主党と自民党が、TPPについて政府から情報を聴取する会合を開いた1日。だが政府は、米国から自動車分野での対応を求められていながら、民主党の会合では曖昧な答弁を繰り返し、自民党には資料も配布しなかった。説明責任を果たさずに事実上の交渉を進める政府に、議員の怒りが爆発した。
 
 午前11時からの民主党の経済連携PT総会。そこで政府は初めて、日本の自動車市場の一段の開放に向けた関心事項として米政府が示している6項目を明らかにした。
 
 PTの櫻井充座長は、政府がこの説明に入る前に「(米側とのやりとりは)事前協議なのか、入場料を支払うようなものなのか。位置づけを明確にしてほしい」と迫った。米国と事実上の交渉が始まっているのではないかと尋ねたのだ。
 
 対する内閣府の大串博志政務官ら政府側は「米側から明確な条件として出されているわけではない」としながら「(やりとりは)米国議会に得心(納得)してもらうためだ」などと答弁。「それは事前交渉だ」。出席議員の怒りは収まらず、結局、政府は文書の説明すらさせてもらえなかった。
 
 「政府と与党の間に溝があっては、議論する意味がない」。最も怒りに打ち震えていたのは櫻井座長だった。「今日は解散!」。1時間の議論を予定していた総会は45分で打ち切られた。
 
 これに先立つ午前8時。自民党の議員連盟「TPP参加の即時撤回を求める会」が開いた会合には、この文書は配られなかった。政府は「民主党のPTに間に合わせるため作業中」と説明。出席議員からは「資料ができていないわけがない」「民主党の会合に出ろというのか」と怒号が飛んだ。国交省は「あくまで意見交換。具体的に何かしているわけでは…」と繰り返した。
 
 民主党のPT終了後、文書の内容を知った自民党議員は「政府にうそをつかれた。なし崩し的な交渉入りだ」と大激怒。同会は来週にも再度、この件について政府から聴取する考えだ。

Reply · Report Post