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22nd Jun 2012 from Twitlonger

★なぜ民主党政権はTPPに突き進むのか、その阻止に向けて★
                 大妻女子大学 田代洋一教授

◎はじめに- 差し迫るTPP参加決定の危険
 民主党政権が消費税と原発再稼働に目途をつけた場合には、支持率が決定的に落ちているなかで、破れかぶれのTPP参加決定に突き進む危険が大。しかし日本の政局は国の進路を決められる状態にない。


〇民主党菅政権は、経済的な利害損失を考慮したうえでTPP参加の道を選んだのか?

①TPP参加で食料自給率は13%に落ち、安定在庫水準17~18%を下回る食料不足の21世紀に対処できない。
②GDPの引き上げ効果も対アジアFTAよりはるかに低い。
③日本の最大の貿易相手国は米国ではなく中国。TPP関係国との貿易より非関係国との貿易の方がはるかに大。
④ISDSによる海外投資権益の確保は、日本の海外直接投資⇒国内産業空洞化⇒内需縮小⇒デフレ強化をもたらす。経済的にTPPは得な選択にあらず。


〇米国のTPPにおける対日要求は二段構え=バイとマルチ、繋ぐのはISDS

 第一は、各国との事前協議というバイラティラル交渉。ここでは、米国は11月の大統領選をひかえて、日米の日米構造障害以来の長年の懸案事項を、「TPP参加」をエサ(人質)にとって一挙に解決すべく、自由貿易の建前は棚上げで、むきだしの個別産業・企業の利害を要求。牛肉・保険・車が当面の焦点だが、車は日本の輸出規制で落着か。

 第二は、TPPという準マルチナショナル交渉。アメリカ流資本主義の環太平洋化。すなわち米多国籍企業が米国内とまったく同じように環太平洋でふるまえる「親米経済圏」の構築。米国はGDPで中国に追い抜かれても、海外からの所得収支を含むGDPで中国に拮抗。そのためには海外投資権益の確保、すなわちISDS(投資家国家間紛争解決)条項が決定的。各国が国民・国内産業のために行う優遇措置や規制は全て「間接収用」(企業の国家収用と同じと見なす)として禁止(補償要求)(禁煙、給食への有機農産物使用、環境・労働保護、混合医療制限etc)。

 その根本思想は、自由貿易というより、個別企業の利益の自由な追求を全て優先すること。第一のバイと第二のマルチを繋ぐのもISDS条項。


〇ISDS条項はアメリカの専売特許ではない、日本も加害者になりうる

 ISDS条項は日本が結んだ事実上全てのFTA、韓国が結んだほとんどのFTAにも入っている。日本は今や貿易赤字国化、経常収支も大幅減で、海外投資からの所得収支に依存。「通商国家」日本はTPPが必要と言われたが、現実は「投資国家」化。その投資利益を守るためにはISDS条項。米日韓の違いは、米国がISDSを頻用しているのに対して日韓は伝家の宝刀化している点。しかしこれからは日本もアジア諸国に対してISDSを使用し、加害者になる危険性。日本の財界がTPPにのめりこむ理由の一半はそこにある。


〇TPPはアジア共同体か

 このところ日本は消費税と原発問題、アメリカは大統領選で手一杯。日本は事前協議において牛肉、かんぽで次々と米国の要求をのみつつ、車ではなお対立。アメリカの腹は、日本を絶対にTPPに参加させる。ただしルール作りが終わった後で。
 日米がもたついている間に、アジアではASEANを中心に「東アジアの包括的経済連携協定」(RCEP)が提起され、日本は最初に賛意。日中韓FTAも年末には交渉開始。
 今や日本にとって、TPPは唯一の選択肢ではない。TPPは相対化された。日本は10年で関税ゼロ、米多国籍企業の営業自由優先のTPPか、それとも「多様な農業の共存」「持続性ある関係」をめざす漸進的な「東アジアの共同体」か、の岐路に立たされている。
 米国が一方的にアメリカ流資本主義を押し付けるのでなければ排除する必要はいわれはない。日米安保に反対の人も賛成の人も冷静にTPPの経済的損失を判断すべき。
 やぶれかぶれTPPとなった場合は国会批准が最後の手段。衆議院での過半数が必要。

★国民と議員の選択の問題。
★日本農業はいずれにしても関税引き下げの方向。
★土地利用型農業での低コスト化、園芸作農業での新鮮・安全・美味しい・健康追求が不可欠。


(引用終わり)

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