……ちょっとね。昨日の新大久保デモで言いたい事が有る。
まぁ、差別的言動だったことは一旦脇に置いておこう。それよりも、だ。何はさておいてでも追求しなきゃならない行動界隈の『甘ったれた、他人任せな、自己責任を取りたがらない精神性』が、シュプレヒコールで明らかになった。

彼らが最も叫んでいたコールはこうだ。
   『竹島から韓国人を叩き出せ!』
……何処が問題か?日本語に堪能な方や労働争議デモをやられた方なら、解説するまでもないと思う。そうでない方であっても、何か違和感を覚える人もいらっしゃるだろう。
考えてみて欲しい。

以下に解説する。
問題はこの『語尾』だ。『叩き出せ』というのは『命令形』だ。誰に命令しているのか?自分ではない(自分への命令など無意味だ)し、相手でもない(竹島を占拠している当人に当人を叩き出せと命令するとは何たる矛盾か)のだ。つまり『自分や相手以外の第三者に命令している』事になる。その第三者とは?『警察』『自衛隊』『海保』等だ。つまり、問題の解決を『第三者』に丸投げしている事を意味する。
自分達は声を張り上げて『要求』するだけだという『当事者意識の欠落』が如実に現れている。
もし仮に当事者意識があるならば、一体どんなコールになる筈なのか?回答は『叩き出せ』ではなく『叩き出そう』となる。主体が『自分』ならば『未然形』(出そ[『出す』の未然形]+う[推量・意志・勧誘の助動詞])になる筈だ。直接上陸や衝突はしないまでも、運動の先頭に立ち議員に陳情・請願する等の『実質的な働き掛け』を考えているならば、だ。
最悪でも、相手(韓国人)に対して『竹島から出て行け!』という『命令形』――つまりは退去勧告だ――になる筈なのだ。これであっても『自分達が主体的に呼び掛け命令している』形になっている。この二点の共通項は、飽く迄も問題を解決するべく動く主体が『自分である』という事だ。

労働争議デモをやった事がある方なら首肯されると思う。
相手側に要求を飲ませる為に行なうコールに於いて『自分や相手以外の第三者に命令する』事など有り得ない。例えば『賃上げを勝ち取ろう!』(自分主体の未然形)『賃上げをしろ!』(自分主体で相手に対する命令形)なら有り得る。
だが、このコールが『賃上げを勝ち取れ!』(自分は要求するだけで第三者へ命令)になったら、相手(雇用側)はどう思うだろう。『労基に訴える気か』『裁判でもする気か』と思うだろう。『何言ってんだ?』と首を捻るかも知れない。第三者に『丸投げ』するなら『デモ』の意味は無い。

今回の新大久保のデモで、一番問題なのがここだった。ヘイトスピーチやエスニッククレンジングを推奨するかのようなコールにも『苛立ち』『腹立たしさ』と同時に『恥ずかしさ』を覚えたが……
それより何より『口では御大層なこと言っておきながら、実際には第三者に「俺達の希望を叶える為に命懸けで戦ってこい」と要求してるだけ』という甘えた態度が腹に据えかねた。

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