makochan1969

浅野 真 · @makochan1969

30th Mar 2013 from TwitLonger

3月8日のロイターの記事は復興の進まない被災地の状況をよく書いています。

復興を阻む「ルール」との戦い
  藤田 淳子

東日本大震災から2年が経つが、目にみえる復興はなかなか進んでいない。被災地では未だに壊れた建物の解体が行われ、30万余の人たちが仮設住宅で暮らしている。海岸線を走る国道45号線沿いには壁のない無残な建物が点在する。

復興を進めるためのお金がないわけではない。むしろお金はたくさんある。

多くの自治体の予算は震災後に大幅に膨らみ、たとえば岩手県陸前高田市の場合、今年度予算は通常の6倍になった。復興が遅れているのは、そのお金が自由に使えないところにあると、陸前高田市の戸羽太市長は語る。市の予算執行率は約50パーセントだという。

国から復興交付金が支給された被災地は、この資金で災害復興住宅の建設や、津波の危険の少ない高台に移転するための土地整備ができる。陸前高田市は、津波で市役所を含め、図書館や博物館、プールなどを失った。市は、まず市営の体育館を建て直したいが、この計画が進まない。復興交付金は体育館を立て直すために使うことができないのだ。

「建物に予算がつかないから、都市計画の作成が止まっている」と戸羽市長。新しく建設する体育館は避難所としての役割も担う。今後のまちづくりにかかせない施設だ。

また、被災者の住宅確保が一番の課題と戸羽市長は言うが、新しい家を建てるにも平地の確保が難しい。そのためには山を削って平地を作ることが必要だが、その手続きに時間がかかる。

「木が切られている風景を被災された方々が見れば何かが始まるという気持ちが高まるだろう」と戸羽氏は語る。ただ実際には木を切るにも許可が必要、山を削るにも別の手続きを踏まないといけないという。被災者の家を建てるために、大型スーパーが店舗を建設する場合と同じ手続きを踏まないといけない。

国のビューロクラシーが復興の足を引っ張ってるという指摘はよく耳にする。平常時の基準や規則を被災地にもそのまま適用しているためだ。現場はそのためのペーパーワークに追われ、これが作業を遅らせている。

復興が進まなければ、安定した生活を求めて被災地を去る人たちが今後も増えるだろう。岩手県の沿岸12市町村の人口は震災直前から6.4パーセント減少した。実際の人口流出はさらに大きいとの地元からの声もある。新しいまちが出来上がっても、住む人が激減していたら、この地に残って生きていこうとしている人たちの心は砕けてしまう。

「なぜ私たちが前に進もうとするときに、人が作ったルールに阻まれないといけないのか。このルールを変えれば前に進めるではないか」と戸羽市長は訴える。

昨年末発足した安部政権は、東北の復興に力を入れているようにみえる。復興予算もこれまでの19兆円から25兆円に増額された。しかし今、東北が本当に必要としているのは、お金ではなく、それを自主的に使うことができる仕組み作りなのかもしれない。

(東京 8日 ロイター)

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