東海原発、廃炉先送りへ 解体後のごみ処分場決まらず
2013年11月18日

 【松浦新】国内の商業用原発として初めて廃炉を決めた日本原子力発電東海原発(茨城県)が、来年度から予定している原子炉の解体作業を先送りし、廃炉が遅れる見通しになった。原子炉内の部品や制御棒など、解体後に出る「廃炉のごみ」を埋める処分場がいまだに決まっていないからだ。

 商業用原発では、2008年に中部電力浜岡原発(静岡県)の1、2号機、11年に事故を起こした東京電力福島第一原発(福島県)の1~4号機の廃炉が決まり、5、6号機も廃炉が検討されている。ほかに運転を始めてから30年以上の古い原発も15基あり、「原則40年」で運転を終えるなどして廃炉が相次ぐ見通しだ。だが、いずれも処分場のめどは立たず、廃炉の道筋はできていない。

 東海原発は66年に国内初の商業用原発として運転を始め、98年に運転を終えた。これを受けて政府は、廃炉のため、原子炉内の部品などを「低レベル放射性廃棄物」として50~100メートルの地下に埋める「余裕深度処分」の方針を示した。

 日本原電はその処分場が決まることを前提に原子炉の解体計画を出し、06年に経済産業省の認可を受けた。計画では、原子炉は11年度から6年間で解体▽低レベル放射性廃棄物は2万7800トンあり、このうち余裕深度処分が必要なのは約1600トン▽廃炉の費用は約885億円、とした。

 しかし、処分場が決まらず、日本原電は10年に「解体装置の準備が整わない」という理由で解体を14年度からに先送りした。その後も処分場のあてはなく、原子力規制委員会は「対象が存在しない」などとして処分場を審査するための規制基準も定めていない。このため、複数の関係者が「来年度に解体を始めるのは難しい」と明らかにした。

 政府内で処分場の候補に挙がっているのは青森県六ケ所村だ。原発の「使用済み核燃料」を再び使うため、電力各社が設立した日本原燃が再処理工場を造っている。日本原燃は02年から工場の敷地内で地下約100メートルまで掘って調査を始め、経産省の外郭団体の原子力環境整備促進・資金管理センターが引き継いだ。

 しかし、地元の六ケ所村は「調査のための試掘だと聞いている。再処理工場の協定書には想定されておらず、申し入れもない」という。青森県も「調査坑に放射性廃棄物を受け入れる話はない」(原子力立地対策課)と、処分場としての利用を否定している。

 国内では使用済み核燃料の最終処分の道筋も決まっていない。政府は、原発の使用済み核燃料すべてを六ケ所村の再処理工場で処理して再び燃料として使う「核燃料サイクル政策」を続けている。しかし、再処理工場はトラブルが続いて運転できず、再処理後に出る「高レベル放射性廃棄物」を埋める最終処分場のめども立っていない。

■東海原発の廃炉までの工程

1966年   商業用原発として国内で初めて営業運転開始

  98年3月 発電を停止

2001年3月 原子炉内の核燃料取り出しを終了(核燃料は再処理の予定)

    12月 廃炉のための工事

        原子炉周辺以外の設備の解体を開始

  14年度  原子炉周辺の解体を開始(当初の11年度から延期)→さらに延期へ

  19年度  原子炉周辺の解体を終了

  20年度  原子炉建屋を解体して廃炉の工程を終了

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