札幌ドームでの日本シリーズ第3戦観戦記


                                     2016.1026
          札幌ドームでの日本シリーズ第3戦観戦・カープ応援を終えて

                                   郷 原 信 郎

10月25日、午後の大阪での仕事を終え、伊丹空港からの直行便で千歳空港に着陸したのが午後5時過ぎ、ターミナルホテルにチェックインし、JR、タクシーを乗り継いで札幌ドームに着いたのは、6時40分を過ぎていた。
一回裏、黒田が、大谷に二塁打を打たれ、一死2、3塁の場面で、一塁側(札幌ドームは一塁側がビジター側ベンチ)の座席に着いた直後に、中田のショートゴロの間に先制点を許す。しかし、2回表、四球の鈴木誠也を一塁に置いて、エルドレッドの2ランホームランで一気に逆転、カープ応援席は沸き立つ。
札幌でもカープファンのパワーは、すさまじい。ライト外野席のビジター応援席は、マツダスタジアムとほとんど同じファンファーレと、パフォーマンス応援。一塁側スタンドは、7割方が真っ赤なユニフォームのカープファンで埋まっている。
そのカープファンの熱い応援を背に、2回から立ち直った黒田の力投が続く。大谷以外は、日ハム打線を完璧に抑えていたが、6回二死、その大谷をレフトフライに打ち取ったところで、不調が発生したのか、残念ながら降板。
しかし、急きょ登板したヘーゲンスは、簡単に4番中田を打ち取る。後は、7回今村、8回ジャクソン、9回中崎の継投という「勝利の方程式」で今日も勝てると期待したが、8回、ジャクソンが、「ファウル男中島」に粘られ、四球を出したところから、「方程式」に狂いが生じ始める。二死二塁で迎えた大谷を敬遠気味の四球で、中田と勝負。レフト前に飛んだライナー、松山が必死に前進して捕球しようとしたが及ばす後逸、一塁ランナーの大谷まで返って2点をとられて逆転された。
 しかし、9回表、鈴木誠也が目の醒めるようなライトフェンス直撃の三塁打で同点のチャンス、エルドレッド、松山は凡退したが、安部がしぶとくライト前ヒットで同点。次の打者石原は粘って四球で歩き、1、2塁のチャンスだったが、一番の田中が凡退。田中にはCSの時のような勢いがない。
 同点となって9回裏から「中継ぎ」の大瀬良が登板、9回を三者凡退、10回も一死を簡単に取る。ここまで大瀬良は全く危なげない投球。しかし、その後、西川にファウルで粘られて四球、二死後大谷の打席で盗塁され2塁にランナーを置き、大谷の打球がライト前に抜け、サヨナラとなった。
 黒田の最後の先発試合を勝利で飾り、3連勝で優勝へ王手をかけることを期待していた私を含むカープファンにとっては大変残念な結末だった。しかし、中盤までが息詰まる投手戦、終盤は1点を争う緊迫した点の取り合いという、大変素晴らしいゲームだった。
 今、朝8時千歳発東京行きの飛行機の中、11時近くまで札幌ドームにいて、空港内のホテルに戻ったのは、12時近かったのでさすがに眠いが、今日は、東京に戻ってからは、講演も含め、仕事がびっしり詰まっているので、昨日のゲームの余韻にひたっているのは、この飛行機の中しかない(それにしても、よく、仕事の間隙を縫って札幌に行けたと思う。)。この時間に、昨日の第3戦を振り返り、今後のシリーズの展開を考えてみたい。
 何と言っても、最大のヤマ場は、8回に、二死2塁で大谷を敬遠気味に歩かせて1、2塁となって中田を迎えた場面だった。中田の打ったレフト前のライナーを松山が捕球しようとして後逸したのが痛恨だった。その後、松山に交代してレフトの守備に野間が入ったが、守備の良い野間であれば、楽に捕球していたように思える。中田を歩かせた段階で、守備固めに入るという手もあったと思うが、まだ一点差であり、同点になった場合のことを考えると、9回で打順を迎える松山を引っ込める判断も難しかったのだろう(スポーツ紙の記事によると、緒方監督は8回、10回、大谷との勝負についての判断を誤ったと言っているようだが、スタンドで観戦していた私には、その点にはあまり違和感がなかった。)。
しかし、松山には、無理をして前に突っ込まず、後逸だけは避けてほしかった。結果論だが、同点で9回を迎えていたら、カープが1点をとって、9回中崎投入で逃げ切れた可能性が高い。
 しかし、昨日の黒田は、とにかく素晴らしかった。日ハム打線を6回二死まで1点に抑える気迫の投球だった。
 昨日の試合前には、この第3戦で、黒田が打たれて負けると、地元札幌ドームで日ハム打線が勢いづき、カープが投手の谷間になる第4戦、大谷が登板する5戦で連勝し、3タテの恐れもあるので、第3戦はカープとしては何が何でも勝たなければならない試合だと思っていたが、カープはその第3戦に負けてしまった。第5戦が、札幌ドームでの大谷先発となると、160キロを超える速球を打ち崩すのは容易ではない。それを考えると、今のところ、カープ2勝1敗だが、両チーム、タイに近いと言ってよいだろう。
 しかし、昨日の日ハム打線は、大谷以外は、黒田に手も足も出ず、その後出てきたカープの投手にも、ほぼ完全に抑えられた。問題はその大谷だが、明日、先発するのであれば、先発での投球に備えて、本来であれば、前日の今日は、じっくりコンディションを整えることに集中するはず。昨日の試合は、広島での初戦でのカープに打たれたリベンジもあり、打撃に相当気合いが入っていたが、明日の先発のことを考えると、今日の第4戦では、「打」の方には、それ程集中はできないのではないか。もし、今日も打ちまくり、明日は、先発して完璧な投球をしたとしたら、それこそ「化け物」だ。
 そういう意味で、今日の第4戦は、これまで「打者大谷」に頼ってきた日ハム打線と、ジョンソン、野村のような先発の柱がいないカープ投手陣の戦いが最大の焦点になるように思う。
 それにしても、初めて訪れた札幌ドームは素晴らしい球場だった。スタンドの通路は縦中心で、横の動きがないので、ゲーム観戦に集中できる点はマツダスタジアムと同様。しかも、バックネット以外、内野スタンドとグランドを隔てるネットがなく、ゲームを鮮明に見ることができる。敵ながら、日ハムはチームカラーもカープと似ていて好感がもてる。ファンの応援もすばらしい。
 カープサヨナラ負けという悔しい結果でも、オレンジのタオルを振り回す巨人ファンに囲まれる東京ドームのような不快感もなく、本当に日本シリーズ観戦を堪能したという充実感を持って球場を後にすることができた。
 今日の第4戦は、優勝の行方に大きな影響を与える重要な試合になる。
 カープ頑張れ!!!32年ぶりの日本一をめざして!

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