2019年2月(1日~20日)ツイート:23,判例(刑訴法1);その他(憲法10,行政法2;刑訴法10)


2019年2月17日(その他1)
行政法57/ 902/ 代執行:本人でなくてもできる義務(代替的作為義務)に係る行為を,行政庁自らが代わってなし,or第三者にさせ,義務者(本人)から費用(強制)徴収する制度。#不作為は対象外,一定の場所の不法占有者を立ち退かせるなど,本人しかできない作為型(明渡)なども対象外(司法的執行では,直接強制対象(与える債務))。
[『LEGAL QUEST行政法』3版177頁-178頁参照]


2019年2月16日(その他1)
行政法56/ 901/ 発達した(民事)法秩序の下では,自力救済の禁止原則が妥当。∴たとえば,お金を返してくれない相手を被告とし,裁判所に貸金返還請求訴訟(給付訴訟)を提起し,勝訴判決(債務名義,民執法22条)獲得と執行文付与(同25条・26条)手続を経て,強制執行を行う(#司法的執行)。#これと自力救済禁止原則と表裏の関係。
[『LEGAL QUEST行政法』3版173頁参照]


2019年2月15日(その他1)
憲法98/ 900/ 第三者所有物没収に関し,当該所有者に何ら告知,弁解,防御の機会を与えることなく,所有権を奪うのは,著しく不合理。∵憲法29条1項は財産権を保障,同31条は適正手続,罪刑法定主義を定めており,前記第三者所有物没収は,被告人に対する付加刑で,第三者に効果及ぶから。⇒#被告人は没収違憲を理由に上告可。
[最大判昭37・11・28刑集16-11-1593『判例プラクティス 憲法』増補版〔175〕参照]


2019年2月14日(その他5)
憲法97/ 899/ 財産権制限が社会生活上一般の受忍限度を超え,特定個人に,特別の犠牲を強いる場合,直接憲法29条3項を根拠に請求可。また,#憲法13条後段_25条1項に照らせば_財産上の犠牲と生命_身体に対する特別の犠牲との場合で_後者を不利に扱う合理的理由ない。⇒憲法29条3項類推適用し_直接同条項に基づき_請求可。
[東京地判昭59・5・18判時1118-28『判例プラクティス 憲法』増補版〔170〕参照]

憲法96/ 898/ 憲法35条,38条は,刑事手続だけでなく,行政手続にも及ぶ。but,質問検査権は,刑事責任追及目的でなく,#実質上_刑事責任追及のための資料の取得収集に直接結びつく作用を一般的に有するものでもなく,強制度合も低く,租税の公平な徴収等の公益目的実現のため実効性ある検査制度が不可欠であり,違憲でない。
[芦部『憲法』5版(最大判昭47・11・22刑集26-9-554,川崎民商事件)参照]

憲法95/ 897/ 郵便物の輸出入の簡易手続(関税法76条)が刑事責任追及目的でないことのみで,一切の強制が当然,憲法35条の保障外とはいえない。but,国際郵便物税関検査は国際社会で広く行われており,プライバシー等への期待,もともと低い。#具体的状況下_実効性確保のため必要_相当限度の検査方法許容は_不合理でない。
[最判平28・12・9刑集70-8-806『平成29年度 重要判例解説』〔憲法11〕参照]

憲法94/ 896/ 補償の要否? #財産権のはく奪ないし本来的効用の発揮を妨げるような侵害の場合,権利者側(個人,団体)に受忍すべき理由ある場合でない限り,当然,補償要。その限度に至らない規制は,財産権に内在する社会的拘束といえる場合,補償不要。財産権の本来の社会的効用と無関係に偶然課されたものの場合,補償要。
[芦部『憲法』5版230頁-231頁,R29予備参照]

憲法93/ 895/ 補償の要否(憲法29条Ⅲ)? 相隣関係上の制約,財産権に内在する社会的制約の場合,不要だが,#特定の個人に特別の犠牲を加えた場合_補償要。特別の犠牲かは,対象が広く一般人か,特定の個人,集団か,#財産権に内在する社会的制約として受忍限度内か_それを越え財産権の本質的内容を侵すほど強度か,総合判断。
[芦部『憲法』5版230頁-231頁,R29予備参照。有力説のポイント,よくわかりません。どの先生が唱えておられる見解でしょうか?]


2019年2月13日(その他3)
憲法91,92/ 893,894/ 憲法上の権利の中心は自由権であり,その内実は,国家の侵害に対する防御権。国家に不作為が求められる(原則)。憲法と法律が競合する場合,憲法上の権利(原則)に対し法律が制限(例外)を加え,憲法上の自由を縮減する原則-例外関係があり,#正当ないし重要な目的のための必要・合理的な制限でない限り,違憲。
[小山『「憲法上の権利」の作法』新版(2009年)113頁-114頁〔502〕参照]

/ 積極的権利(生存権,他の受益権):防御権とは逆に,#国に対し一定の作為_要求。自由権的基本権にも,知る権利のように,作為請求の内実,含むものあり。プライバシー権,環境権など,新しい人権は,複合的。私人間効力:作為請求の内実の問題。自由権的基本権規定から作為義務たる基本権保護義務を導く国もある。
[同書114頁〔503〕参照]

憲法90/ 892/ 許可制は,職業の自由に対する強力な制限だから,合憲性肯定のためには,原則,#重要な公共の利益のために必要・合理的措置たること要。政策,積極目的措置でなく,#自由な職業活動がもたらす弊害防止のための消極_警察的規制の場合_許可制よりゆるやかな職業活動の内容_態様規制では目的を十分達成不可,要。
[最大判昭50・4・30民集29-4-572『判例プラクティス 憲法』増補版〔154〕参照]


2019年2月11日(その他1)
憲法89/ 891/ 営利的表現(広告等)も,#国民一般が消費者として様々な情報を受るため重要なので_表現の自由保護に値する。自己統治価値乏しく,非営利,政治的言論より保障程度低い。当該言論:合法的活動に関する真実,人を誤解させない表現か,実質的規制利益か,それを直接促進するか,必要以上に広汎規制でないかで審査。
[芦部『憲法』5版186頁参照]


2019年2月6日(その他2)
刑訴法99/ 890/ 被疑者の現行犯逮捕が許容されるためには,被疑者が現に特定の犯罪を行いor現にそれを行い終わった者であることが,逮捕の現場における客観的外部的状況から,#逮捕者自身においても直接明白に覚知しうる場合たること要。緊急逮捕しうる実体的要件具備,but現行犯or準現行犯逮捕しうる実体的要件具備なし。
[京都地決昭44・11・5判時629-103『刑事訴訟法判例百選』10版〔11〕参照。参考:辰巳『趣旨・規範ハンドブック 刑事系』5版200頁]

刑訴法98/ 889/ 捜査機関が捜査目的達成のため,承諾なしにエックス線を照射し内容物の射影を観察する検査は,#射影により荷物の内容物の形状や材質をうかがい知ることができる上_内容物によっては品目等を相当程度具体的に特定可能で,荷送人や荷受人のプライバシー等を大きく侵害するから,検証の性質を有する強制処分。
[最決平21・9・28刑集63-7-868『刑事訴訟法判例百選』〔29〕参照。参考:辰巳『趣旨・規範ハンドブック 刑事系』5版197頁]


2019年2月4日(判例1;その他5)
刑訴法97/ 888/ #外部的付随事情によらず_検面調書内容から相対的特信情況を認める判例もあるが,供述内容が理路整然としているor客観的事実と合致するから,特信情況ありとの趣旨ならば疑問。これでは公判供述が信用できない理由にはらないばかりか,#要約的・物語的に作成される供述録取書が理路整然なのは当然だから。
[上口裕『刑事訴訟法』2版393頁(最判昭30・1・11刑集9-1-14),『刑事訴訟法判例百選』10版〔A38〕,参照]

刑訴法96/ 887/ 前科も一つの事実であり,前科証拠は一般的に犯罪事実につき様々な面で証拠価値(自然的関連性)あり。反面,#特に同種前科は_被告人の犯罪性向といった実証的根拠の乏しい人格的評価につながりやすく,事実認定を誤らせるおそれ,争点拡散のおそれあり。∴自然的関連性のみでなく,#事実認定のおそれ払拭要。
[最判平24・9・7刑集66-9-907『刑事訴訟法判例百選』10版〔62〕参照,R19②Q2]

刑訴法判例21/ 最決平12・7・17参照:本件MCT118DNA型鑑定は,科学的原理が理論的正確性を有し,具体的実施方法も技術習得者により,科学的に信頼される方法で行われた。∴その後の科学技術発展により解明された事項等も加味し慎重に検討さるべきだが,なお証拠価値あり。⇔宇都宮地判平22・3・26:証拠能力否定,再審無罪。
[『刑事訴訟法判例百選』10版〔63〕(刑集54-6-550,判時2084-157)参照]

刑訴法95/ 886/ 伝統的筆跡鑑定方法は,多分に鑑定人の経験と勘に頼るところがあり,性質上証明力には自ら限界があるとしても,直ちに非科学的で不合理とはいえないのであって,#筆跡鑑定のこれまでの経験の集積_経験により裏付けられた判断は_鑑定人の単なる主観にすぎないものではない。∴証拠採否:事実審裁判所の専権。
[最決昭41・2・21判時450-60『刑事訴訟法判例百選』10版〔64〕,辰巳『趣旨・規範ハンドブック 刑事系』5版254頁,参照]

刑訴法94/ 885/ 警察犬による臭気選別は,#専門的知識と経験を有する指導手が_臭気選別能力に優れ選別時に_体調良好で能力がよく保持されている警察犬を使用し実施したもので_臭気の採取_保管過程や臭気選別方法に不適切な点がないことが認められれば,経過・結果記載の報告書に証拠能力を付与しうる(#刑訴法321条3項)。
[最決昭62・3・3刑集41-2-60『刑事訴訟法判例百選』10版〔65〕,辰巳『趣旨・規範ハンドブック 刑事系』5版254頁,参照]

刑訴法93/ 884/ #同種前科の立証は原則不可。∵同種前科から被告人に犯罪を行う悪性格あることを推認し,それから当該犯罪を被告人が行ったことを推認という,不確かな二重の推認過程を経る。例外:#犯行の客観的側面立証後_故意のような主観的要素を証明。#前科の顕著な特徴が_証明対象犯罪事実と相当程度類似する場合。
[辰巳『趣旨・規範ハンドブック 刑事系』5版255頁-256頁(最決昭41・11・22,最判平24・9・7,最決平25・2・20)参照。R19②Q2]


2019年2月3日(その他1)
刑訴法92/ 883/ 強制わいせつ被害を受けた児童の被害直後の言動に関する母親の供述は,非伝聞たり得る。∵知的プロセスや被害者の行為の媒介を伴わない,#直接_端的な肉体への侵害行為について_警察の捜査等をさしはさまない事件直後に母親が児童から感得した言動は_児童の原始的身体的反応の持続の母親の体験といえる。
[辰巳『趣旨・規範ハンドブック 刑事系』5版271頁(山口地萩支部昭41・10・19)参照]


2019年2月2日(その他1)
刑訴法91/ 882/ 意思,計画記載メモは,#その意思_計画立証のためには_伝聞禁止法則不適用。知覚,記憶,表現叙述を経る伝聞証拠と違い,知覚,記憶を欠くから,真摯な作成過程が証明されれば,原供述者への反対尋問不要。#共謀に関する犯行計画記載メモも同様。ただ,#共犯者全員共謀の最終的意思合致が確認されていること要。
[東京高判昭58・1・27判時1097-146『刑事訴訟法判例百選』10版〔79〕]


2019年2月1日(その他1)
刑訴法90/ 881/ 交通検問:警察法2条1項を根拠に,#事故の多発する地域で_違反の予防・検挙のため_短時分の停止を求め質問などすることは_相手方の任意の協力を求める形で行われ_自動車利用者の自由を不当に制約することにならない方法_態様で行われる限り適法。∵警察の責務,運転者は,合理的に必要な限度で協力すべき。
[辰巳『趣旨・規範ハンドブック』5版188頁(最決昭55・9・22)参照]

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