2019年2月(21日~28日)ツイート:17,その他(行政法8;民法9)


2019年2月ツイート:40,判例(刑訴法1);その他(憲法10,行政法10;民法9;刑訴法10)
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2019年2月25日(その他9)
民法140.141/ 918.919/ 交通事故における過失と,医者の医療ミスという過失が相まって被害者死亡の場合,共同不法行為(#民法719条1項前段)成立? 本来は,各人が与えた損害につき,それぞれ別個に責任を負うはず。それをまとめて共同責任を負うとした点,本条の意義。⇒本条は,#各人が不法行為要件具備を前提としていると解される。

/ 被害者保護の観点から,「共同」の意義を柔軟に解釈すべき。主観的関連共同まで要せず客観的関連共同(#社会的にみて数人の加害行為が一体とみられる関係)あれば足ると解する。
本件でも,交通事故と医療ミスの間に客観的関連共同が認められるから,各人が不法行為要件充足を条件として,共同不法行為成立。
[工藤・合格論証集2版178頁(最判昭43・4・23最判解民事篇平成13年度(上)236頁,最判平13・3・13),辰巳『趣旨・規範ハンドブック 民事系』6版159頁(大判大2・4・26),参照]


民法139/ 917/ 加害行為をした未成年者に責任能力ある場合,民法714条を根拠に監督義務者に責任追及はできない。but,#監督義務者の義務違反と未成年者の不法行為による結果の間に相当因果関係あるとき_監督義務者に709条に基づく不法行為成立。∵714条は立証責任を転換したにすぎず,監督義務者の709条責任否定しない。
[辰巳『趣旨・規範ハンドブック 民事系』6版156頁,内田Ⅱ402頁-403頁(最判昭49・3・22民集28-2-347),R27①,参照]

民法138/ 916/ 解除前の第三者は,民法545条1項ただし書の「第三者」となるが,#善意・悪意を問われない反面(取引安全),不動産の場合は,#権利保護資格要件としての登記を具備した者に限られる。解除後の第三者は,解除そのものの直接の効果でなく,#もっぱら177条の問題として_登記により決せられる(対抗要件,取引安全)。
[林俊夫『民法の条文を読む』212頁参照]

民法136,137/ 914,915/ 解除により,契約は遡及的に消滅する(直接効果説)。それに関する民法545条1項本文の原状回復義務の法的性質は不当利得返還義務,703条以下の特則。#本条に規定なき限り703条以下を補充的に適用。545条2項も,金銭受領により当然に利用できただろうから,受領時から利息を付すべしと,不当利得の特則を規定。

/ 民法545条3項は,本来,契約が遡及的に消滅したならば債務不履行による損害賠償は生じないはずだが,#事実上の債権者債務者関係にあったことを重視して,民法は特にその債務不履行の事実を存続させ,解除による契約関係の清算と共に,#一方に生じた債務不履行による損害だけは請求できるものとしたのである。
[林俊夫『民法の条文を読む』211頁以下参照]

民法135/ 913/ 債務不履行による契約解除制度の趣旨は,『契約の要素』をなす債務の履行がないため,当該契約をなした目的を達することができない場合の救済。当事者が『#契約をなした主たる目的の達成に必須的でない付随的義務』の履行を怠ったに過ぎないような場合,『特段の事情』なき限り相手方は契約解除できない。
[最判昭36・11・21民集15-10-2507『判例プラクティス 民法Ⅱ』〔151〕]

民法133,134/ 911.912/ 解除制度の趣旨は,#履行を果たさない不誠実な債務者との双務契約上の拘束からの債権者の開放。⇒#直接的に解除の効果が遡及し契約が消滅すると解すべき。民法545条1項ただし書の「第三者」とは,#遡及効により害される者_すなわち_解除前の第三者と解すべきで,その者との取引安全の保護が図られている。
[数年前の『受験新報』論証集(法学書院)p70-,趣旨規範ハンドブック6版129頁,内田・民法Ⅱ3版101頁]

/ 完全に有効な契約を事後的債務不履行により解除するのであり,かつ,債務不履行があっても解除されるとは限らないため,#債務不履行事実について悪意でも第三者は保護される。もっとも,何ら落ち度ない解除権者の犠牲による保護だから,第三者は,権利者としてなすべきこと(#権利保護資格要件,登記具備),要。
[同上]

2019年2月22日(その他1)
行政法65/ 910/ 建築主が行政指導に任意に応じている場合,社会通念上合理的な期間の確認処分留保は,直ちに違法な措置とまではいえない。もっとも,#留保のままでの行政指導に応じられないとの意思を真摯・明確に表明している場合_建築主の不協力が社会通念上正義の観念に反するといえる特段の事情なき限り,留保は違法。
[最判昭60・7・16民集39-5-989(品川区マンション事件,『LEGAL QUEST行政法』3版128頁-129頁),R29予備Q1,参照]


2019年2月21日(その他7)
行政法64/ 909/ 後続処分で損害を被るおそれある場合,補充性要件必要か? 読点の位置からそうも解せるが,立法上のミスであり,不要と解する。処分の効力を前提とする現在の法律関係に関する訴えとして,収容裁決無効を前提とする所有権確認訴訟など。#無効確認訴訟がより直截的で適切といえる場合,目的達成不能にあたる。
[『LEGAL QUEST行政法』3版257頁-258頁(最判昭62・4・17民集41-3-286(千葉県換地処分無効確認請求事件))参照]

行政法63/ 908/ 行政処分(行政行為)には公定力があり,違法でも私人は一応従う義務を負い,#重大かつ明白な瑕疵があり無効な場合に例外的に公定力が否定される。無効か否か争いある場合,無効確認訴訟,処分無効を前提とする民事訴訟(争点訴訟),公法上の当事者訴訟提起可。無効確認訴訟は補充的に認められる(行訴法36条)。
[『LEGAL QUEST行政法』3版256頁-257頁参照]

行政法62/ 907/ 代執行手続:㋐#代執行の戒告(相当の履行期限を定め,履行なきとき,代執行をなすべき旨,予め文書で告げる)→㋑#代執行令書発布(時期,執行責任者氏名,費用概算見積もり,通知)→㋒#実行行為としての代執行(代執法3条)。ただ,危険切迫等,緊急の場合,㋐㋑省略可。公告→代執行(簡易代執行)を定める場合あり。
[『LEGAL QUEST行政法』3版178頁-179頁参照]

行政法61/ 906/ 代執行要件(代執法2条):㋐法律(#委任命令含む)・条例から直接生ずる義務or法律・条例に基づく行政処分で課された義務で代替性あるものを義務者が履行しないこと。委任条例のみならず,#自主条例も含むと解する。㋑他手段で履行確保困難(司法的執行,行政罰除く)。㋒不履行放置が著しく公益に反すること。
[『LEGAL QUEST行政法』3版178頁参照]

行政法59,60/ 904,905/ 行政指導は,#相手方の任意の協力を前提とする(行手法32条1項)。∴強制力・拘束力をもたせることはできず,#相手方が行政指導に従わなかったことを理由として不利益取扱いをしてはならない(同2項)。教育施設負担金納付を求める行政指導は,水道給水契約の締結許否等の制裁を背景に行われれば,違法となる。
[『LEGAL QUEST行政法』3版(最決平元・11・8判時1328-16,最判平5・2・18民集47-2-574)127頁参照]

/ 許認可の申請取下げ,内容変更を求める行政指導は,申請者が,#従う意思なき旨_表明した場合_指導継続する等し申請者の権利行使を妨げてはならない(行手法33条)。そうした意思が表明されるまでは,行政指導中を理由とする留保も直ちに違法とはいえず,表明されても客観的状況によっては違法でない余地あり。
[同書同頁(最判昭56・7・16民集35-5-930(豊中市給水保留事件),最判昭57・4・23民集36-4-727,最判昭60・7・16民集39-5-989(品川マンション事件))参照]

行政法58/ 903/ 即時強制とは,#相手方私人に義務を課することなしに(義務履行の機会を与えず),いきなり(即時に)私人の身体・財産に直接実力を加え,行政目的実現を図る作用。私人の義務不履行を前提としその義務の強制的実現をはかる直接強制と違い,強制される行為自体の義務付け,先行せず。感染症に関する強制入院等。
[『LEGAL QUEST行政法』3版187頁-188頁参照]

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2019年2月(1日~20日)ツイート:23,判例(刑訴法1);その他(憲法10,行政法2;刑訴法10)

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