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18th Mar 2019 from TwitLonger

会社法ノート③/ 取締役,取締役会,代表取締役 (15ヶ)


略号: ☆問題,〇判例,◇その他。R論文,Q設問,T短答。orまたは,∴なので,⇒ならば,∵なぜならば。
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◇取締役
商法44/ 会社法44/ 199/ 法人や、他人の財産を預かるのにふさわしくない者は、#取締役 になれない(会社法331条1項)。
取締役会設置会社では取締役は3人以上必要である(同条5項)。
任期は、原則2年で、定款または総会決議で短縮可能(332条1項)。非公開会社では、定款で10年まで伸長できる(同条2項)。
[『LEGAL QUEST会社法』3版169頁参照]

商法21/ 会社法21/ 137/ 累積投票制度では、取締役選任決議について、株主が株式1株につき選任される取締役の数と同数の議決権を有し(#会社法342条3項)、その議決権全部を特定の候補者に集中して投票できる。少数派株主も持株数に応じた数の取締役を選出できるが、制度自体が定款で排除される場合も多い(同条1項)。
[『会社法判例百選』2版66頁解説1(最判平10・11・26金判1066-18)参照]

会社法72/ 399/ 解任の #正当理由(#会社法339条2項)は、取締役の職務遂行上の法令・定款違反行為、心身の故障、職務への著しい不適任等をいうが、#経営判断の失敗は含まない。#経営に冒険は不可避で_萎縮的な事後的評価は株主利益にならないし、#契約責任として原則_賠償範囲は残り任期報酬額に限られるからである。
[江頭憲治郎『株式会社法』3版369頁,434頁,『会社法判例百選』2版〔46〕(最判昭57・1・21判時1037-129)96頁・97頁タテ2等,R28②設問2(1),参照。江頭教授の見解を参照⇔近藤光男教授,『経営判断』の失敗も解任の正当理由になるとする。]

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◇取締役会の権限
[・取締役会が独占する権限は、①#重要な財産の処分・譲受け、②#多額の借財、③支配人その他の #重要な使用人の選任・解任、④支店その他の #重要な組織の設置・変更・廃止、⑤#社債の募集、⑥#内部統制システム(子会社から成る企業集団の業務の適正を確保するために必要なものを含む)の概要、⑦#定款規定に基づく取締役等の責任の一部の免除、⑧その他の重要な業務執行の決定である(会社法362条4項)。その他重要でないものは、取締役に委任できる。業務執行者の専横を防止し、取締役相互のけん制を働かせるためである。]

会社法113/ 670/ 取締役会は,①#重要財産の処分・譲受け,②#多額の借財,③重要な使用人の選・解任,④重要な組織の設置・変更等,⑤社債募集,⑥#内部統制システム(企業集団含む)概要,⑦#定款に基づく取締役等の責任の一部免除,⑧その他の重要な業務執行の決定(会社法362条4項)は,専横防止等の理由から,取締役に委任不可。
[『LEGAL QUEST会社法』3版180頁参照]

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◇内部統制システムの整備
商法19/ 会社法19/ 96/ 内部統制システム整備は、大会社である取締役会設置会社で義務づけられ(#会社法362条5項、4項6号、施行規則100条1項)、具体的にどのような内容のリスク管理体制を整備すべきかは経営判断の問題となる。各取締役は取締役会の一員としてその大綱の決定義務、履行についての監督義務を負う。
[『基本から合格答案を即効で書けるようになる本』民事系(平成26年1月)139,141頁参照]

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◇取締役会の招集手続
[・取締役会は各取締役が招集するのが原則であるが、定款または取締役会決議により特定の取締役を招集権者と定めることができる(会社法366条1項)。招集権者を定めた場合であっても、他の取締役は招集を請求することができ(同条2項)、一定の場合には自ら招集することもできる(3項)。
 会日から1週間前に各取締役に対して招集通知を発しなければならない(368条1項)。取締役会の場合には様々な事項が付議されることは当然に予想されるべきであるから、通知に議題を示す必要はない。]

会社法112/ 669/ 取締役会は各取締役が招集するのが原則だが,定款・取締役会決議で特定の取締役を招集権者と定め得る(会社法366条1項)。#その場合も_他の取締役は目的事項を示して招集を請求でき_一定の場合_自ら招集可(2項3項)。2項の場合以外通常,取締役会で様々な事項の付議が当然予想されるべきで,通知に議題不要。
[辰巳『趣旨・規範ハンドブック』6版272頁,『LEGAL QUEST会社法』3版183頁L 11,144頁L2(議題=目的となる事項),参照]

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◇取締役会決議の瑕疵
[・取締役会の決議に手続き上の瑕疵がある場合について、会社法は規定を置いていないが、原則として無効と解され、誰でも主張でき、無効確認の訴えも提起でき、他の訴訟の中で理由として決議の無効を主張することもできる。無効確認判決には、画一的確定の要請から会社法838条類推により、対世効が認められると解する。
 瑕疵の例としては、招集ルールの違反、定足数不足、特別利害関係人の参加などがある。
 もっとも、無効決議に基づく代表取締役の行為は、直ちに無効になるわけではない。
 判例は、一部の取締役に対する招集通知が欠けていた場合であっても、その取締役が出席してもなお決議の結果に影響がないと認めるべき特段の事情があるときには、その瑕疵は決議の効力に影響がない旨、判示している。]

会社法73/ 414/ 株主総会と異なり,取締役会の瑕疵ある決議の効力は,会社法に規定がない。一般原則に従い,#このような決議は原則無効で,いつでも,誰から誰に対しても主張でき,決議無効_不存在確認訴訟を提起でき,他の訴訟中で理由として決議無効の主張可。画一的確定の要請から判決に対世効を認めるべき(838条を類推)。
[『LEGAL QUEST会社法』3版185頁参照]

会社法71/ 397/ 一部の取締役に招集通知(会社法368条1項)を欠いた取締役会の決議は、原則無効だが、#その取締役が出席してもなお決議の結果に影響を及ぼさないと認めるべき特段の事情あるときは有効である。また、#代表取締役の解職について_当該取締役は_特別利害関係を有する者にあたる(369条2項)。
[R28①出題趣旨7頁(最判昭44・12・2民集23-12-2396,最判昭44・3・28民集23-3-645)参照]

☆取締役会決議の瑕疵
会社法問題3/ 即効本民事系商法U2:X社は,定時株主総会で決議すること等の決定のため,取締役会招集。①名目的取締役Dへ招集通知を欠いたが_ABCDEF取締役6人全員出席。②代表取締役Aの解任決議(#Aは反対の議決を投じた)。③剰余金配当の決議,可否同数で,議長Aが反対をして否決と扱われた。この取締役会決議の効力如何?
[『基本から合格答案を即効で書けるようになる本』民事系〔商法U2〕参照]

〇取締役会決議の瑕疵
会社法判例15/ 最判昭44・3・28参照:#代表取締役の解職に関する取締役会決議につき_当該代表取締役は特別利害関係人に当たる。その者が取締役会決議に参加した決議には瑕疵があり(会社法369条2項),無効。公正な決議が期待できないから。#特別利害関係人たる取締役は_決議につき意見陳述権なく_議長ならば権限を失う。
[『基本から合格答案を即効で書けるようになる本』民事系116頁参照]

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◇代表取締役
会社法123/ 738/ 代表取締役は株式会社を代表する取締役(会社法47条1項),1人でもよい。氏名・住所は登記事項。取締役会により選定・解職(362条2項3号)。欠員につき351条。#職務を行うにつき第三者に損害を加えたときは_会社も不法行為責任を負う(350条)。会社の業務に関する一切の裁判上・裁判外の行為をする権限あり。
[『LEGAL QUEST会社法』3版186頁-187頁(会社法911条3項14号,349条4項)参照]

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◇会社法362条4項1号2号
[・会社のなんらかの財産の売却が、「重要な財産の処分」(会社法362条4項1号)にあたるか否かは、当該財産の価額、総資産に占める割合、そもそもの保有していた目的、処分行為の態様、会社における従来の取扱い等の事情を総合的に考慮して判断される。
 「多額の借財」(同条項2号)にあたるか否かについても同様に、当該借財の額、総資産・経常利益等に占める割合、借財の目的・方法、会社における従来の取扱い等の事情を総合的に考慮して判断される。
 なお、取締役会の決議を経ていない(不存在)、362条4項違反の重要な取引の無効、の主張権者は原則として当該会社のみであると解される。なぜなら、同条項の趣旨は、#業務執行の意思決定を慎重にさせることにより会社の利益を保護するものと考えられるからである。もっとも、取締役会がすでに #無効の主張をする旨の決議を行ってるなど特段の事情のある場合には、会社以外の者も、当該決議の無効を主張できると解する。]

会社法114/ 671/ 財産売却が,重要財産の処分(会社法362条4項1号)にあたるかは,#当該財産の価額_総資産に占める割合_そもそもの保有目的_処分行為態様_従来の取扱い等の事情を総合考慮し判断。多額の借財(2号)かも,#当該借財額_総資産・経常利益等に占める割合_借財の目的・方法_従来の取扱い等の事情を総合考慮し判断。
[辰巳『趣旨・規範ハンドブック』6版272頁,273頁(最判平6・1・20)参照]

会社法115/ 672/ 取締役会決議を経ていない重要取引の無効(会社法362条4項違反),を主張できるのは原則,当該会社のみ。同規定は,#業務執行の意思決定を慎重にし会社利益保護を図るものだから。もっとも,#取締役会が既に無効の主張をする旨の決議をしているなど特段の事情ある場合,会社以外の者も,当該決議無効を主張可。
[辰巳『趣旨・規範ハンドブック』6版273頁(最判平21・4・17)参照]

◇取締役会決議を欠く行為の効力
商法135/ 954/ 取締役会決議を欠く代表取締役の行為も直ちに無効となるわけではない。重要財産の処分,多額の借財(会社法362条4項1号2号)などが取締役会決議なしに行われた場合に,#判例は_原則_有効だが_相手方が決議を経ていないことを知りor知りえたときは無効とする。⇔相手方の悪意・重過失を要求する学説もある。
[『LEGAL QUEST会社法』3版189頁(最判昭40・9・22民集19-6-1656)参照]

商法134/ 953/ #重要な業務執行決定を取締役会決事項とするのは会社利益保護の趣旨なので,取締役会決議欠缺を理由とする取引の無効は,#原則_当該会社のみ主張可。当該会社以外の者は特段の事情(取締役会が無効の主張をしている等)なき限り取引無効を主張不可。例:取締役会決議を欠く債権譲渡の債務者による無効主張。
[『LEGAL QUEST会社法』3版190頁,189頁(最判平21・4・17民集63-4-535)参照]

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