right_droit4

原稿 · @right_droit4

29th Mar 2019 from TwitLonger

刑法ノート⑧/ 刑法序論,構成要件該当性 (22ヶ)


略号: ☆問題,〇判例,◇その他。R論文,Q設問,T短答。⇒ならば,∴なので(したがって,よって,ゆえに),∵なぜならば,⇔これに対し(て),orまたは,butしかし(もっとも),exたとえば。TB構成要件,Rw違法性(違法),S責任(有責性)
―――――
◇刑法論文の問題提起の書き方
動画/ https://youtu.be/7wWGQfOjLXM?t=2532
刑法の問題提起:行為識別,条文指摘。(1:09:19)長く書けば書くほど,減点ポイント出てしまう。あてはめから逆算し,論点があるから問題となるとのように見える。詳細な事実なければ,実行の着手時期は問題とならないという訳じゃない。問題提起部分長く書いていいことは全くない。
[YouTube動画,わかりやすかった。
答案例の部分(https://youtu.be/7wWGQfOjLXM?t=3746)]

―――――
◇法律主義(罪刑法定主義)
刑法103/ 808/ 罰則は法律で定めなければならない(法律主義,憲法31条,73条6号ただし書)。法律の具体的委任による場合,含む。その実質的根拠は,#何が犯罪かは国民が決定するという民主主義原理。地自法14条3項が条例に罰則制定を一般的・包括的に委任するのは,条例が住民代表機関たる議会により制定されるものだから。
[山口『刑法総論』3版10頁,12頁,憲法T21(18ウ),参照。
 憲法短答問題21年度第18問肢ウは,『憲法第31条により刑罰及びこれを科す手続は「法律」で定める必要があるが、この「法律」には、法律に限らず、その授権を受けた下位法令も含まれる。』としている点で,誤り。より限定され,法律により罰則の制定が,「特に」すなわち特定した具体的な委任に基づき,政令に委ねられている場合にのみ(憲法73条6号ただし書),憲法31条の「法律」に含まれ得るということであろう。]

☆公法系
〔第18問〕(配点:3)
条例と法律の関係に関する次のアからウまでの各記述について、それぞれ正しい場合には1を、誤っている場合には2を選びなさい。(解答欄は、アからウの順に[No.34]から[No.36])
ウ. 憲法第31条により刑罰及びこれを科す手続は「法律」で定める必要があるが、この「法律」には、法律に限らず、その授権を受けた下位法令も含まれる。そして、条例は住民の代表である議会が制定する自主立法として法律に類するから、法律が相当程度具体的に限定して授権している場合には、条例により刑罰及びこれを科す手続を定めることができる。[No.36]

―――――
◇行為者の結果回避義務
刑法130/ 866/ #行為者には_実行行為をそもそも行わないこと_構成要件的結果発生の回避が求められる。結果回避義務は,過失犯で問題とされるが,刑法の犯罪予防作用はこのような義務を通じ果たされるのだから,それを過失犯に限る理由なく,故意犯にも当然あてはまる。そして,結果回避義務の前提として結果回避可能性要。
[山口『刑法総論』3版53頁参照。山口先生の説かれる「実行行為」概念がまだ理解できない。実行行為とは「因果関係の起点となる行為」であり(同書52頁LL4),「正犯性の認められる行為者の行為」とされるが(68頁LL6),52頁では,「客観的に実行行為としての危険性が認められる場合であっても,行為者にその認識がなく,故意が認められないため,過失致死罪にはなりえても,殺人罪にはならない」という説明がある。それでも,「実行行為にあたるか,それ以前の段階にある行為」(予備行為)との違いは,行使者の認識に求めるわけではないのであろう? 行為者の認識に求めるならば,行為無価値の考え方になってしまうのではないかと思うからである。
 53頁~57頁から考えるに,もしかしたら,結果回避可能性を備えた客観的危険性ある行為,という感じの理解であろうか? 行為者の認識の問題ではなく,当該行為者の客観的な属性(その者に結果回避が可能か)をも考慮した上での行為の客観的危険性があれば,「正犯性の認められる行為者の行為」であり,「因果関係の起点となる行為」である「実行行為」(構成要件的行為)となるのであろうか?
 取り留めない考えを記したのみで,訳のわからないことを書いているしれません。すみません。もう少し勉強してから,また書きます(1/28/2019)。]

◇行為なければ結果なし公式と結果回避可能性
刑法129/ 865/ 因果関係は,まず構成要件的結果が結果回避義務違反に基づき発生したか,検討要。そして,#行為者に課される結果回避義務を尽くしても回避できない結果を生じさせたとして行為者を罰するのは不当(結果回避可能性要)。条件関係判断に用いられてきた,あれなければこれなし公式は,結果回避可能性判断である。
[山口『刑法総論』3版57頁(「行為なければ結果なしの公式,同書54頁以下」)参照。参考:内田『民法Ⅱ』3版386頁,平井宜雄『債権各論Ⅱ不法行為』(1992年)83頁]

―――――
◇危険の現実化説
刑法97/ 795/ 条件関係の存在を前提に,生じた結果が実行行為の危険を現実化したと評価できる場合,因果関係肯定。#実行行為の危険性_介在事情の結果発生への寄与度検討_実行行為が結果発生の直接の原因になった⇒因果関係肯定,そうでない場合,#行為の介在事情への影響(経験的通常性)高い(介在事情異常でない)⇒肯定。
[辰巳『趣旨・規範ハンドブック 刑事系』5版14頁-15頁(最決平15・7・16,最決平18・3・27,最決平22・10・26,最決平24・2・8)参照。参考:前田『刑法総論講義』5版197頁-198頁]

◇実行行為の危険の現実化
刑法98/ 796/ 実行行為の危険性は,#行為時に存在した事情を基礎に客観的に判断。また,#通常の因果経過をたどり結果発生したとはいえないが(介在事情の経験的通常性低い),実行行為の危険性が結果に実現したといえる場合あり。実行行為に認められる,結果惹起の現実的危険性の実現過程(#危険の現実化)を,端的に検討要。
[山口『刑法総論』3版60頁-61頁(最決平22・10・26刑集64-7-1019(日航機ニアミス事件),最決平24・2・8刑集66-4-200(トラック・ハブ脱落事件))参照]

◇実行行為の危険性の判断基底,(狭義の)因果関係の判断基準
刑法131/ 867/ 実行行為(構成要件的行為)の危険性は,#行為時に存した事情を基礎に客観的に判断。そして,因果関係が異常ではなく経験上通常ありうるか(因果経過ないし介在事情のの経験的通常性,相当性)を問うのではなく,端的に,行為の危険性の結果への現実化(#危険性の現実化)を,(狭義の)因果関係の判断基準とすべき。
[山口『刑法総論』3版59頁-61頁,51頁L15,参照]

☆被害者の行為の介入
Q:長時間にわたり激しい暴行を受け、すきを見て逃走した被害者が、追跡から逃れるために高速道路に侵入し、逃走してきた自動車に衝突、れき過されて死亡した場合(高速道路侵入事件)、Xらの激しい暴行行為と被害者のれき死との間に因果関係が認められるか。
1.問題の所在
 実行行為と結果との間に被害者の行為が介在しているため、因果関係が認められるか問題となる。
2.法的判断枠組み
 因果関係については、実行行為の危険性が結果に実現したといえるかによって判断すべきである。その場合、行為時に存した事情を客観的に判断する。また、介在事情の経験的通常性の低い場合も、実行行為の危険性が結果に実現したといえる場合があるので、端的に、危険の現実化の過程を検討すべきである。
3.事実の拾い出し、評価
 本件において、被害者が高速道路へ侵入したという介在事情は、極めて危険な行動であるが、Xらの激しい暴行により、Xらに対し極度の恐怖感を抱き、必死に逃走を図る過程でとっさに選択した行動であり、被害者の精神的な圧迫状態を考慮すると、被害者がそのような危険な行動に出ることも、Xらの暴行から逃れる方法として、著しく不自然、不相当であったとはいえず、介在事情の経験的通常性が低いとまではいえない。
 したがって、被害者が高速道路に侵入して死亡したのは、Xらの激しい暴行に起因するものと評価でき、実行行為の危険性が結果に実現したといえる。
4.結論
 よって、Xの暴行と被害者の死亡との間に因果関係が認められる。
以上

◇因果関係の法的判断枠組み
刑法99,100/ 797,798/ 因果関係は,#実行行為の危険性が結果に実現したといえるかにより判断すべき。その場合,行為時に存した事情を客観的に判断。また,介在事情の経験的通常性の低い場合も,実行行為の危険性が結果に実現したといえる場合があるので,端的に危険の現実化の過程を検討すべき。
本件の,被害者が高速道路へ侵入→

◇危険の現実化についての事実の評価
/ →という介在事情は, 極めて危険だが,Xらの激しい暴行で,極度の恐怖感を抱き,必死に逃走を図る過程でのとっさの選択で,精神的圧迫状態を考慮すると,そのような危険な行動に出ることも,暴行から逃れる方法として,著しく不自然,不相当であったとはいえず,介在事情の経験的通常性が低いとまではいえない。
[山口『刑法総論』3版62頁-63頁(最決平15・7・16刑集57-7-950),60頁-61頁参照]

◇被害者の不適切な行為の介入(山口・総論64頁)
[・行為者が被害者に傷害を加えたところ、被害者が医師の指示に従わず安静に努めないという被害者自身の不適切な行為の介入した結果、容体がさらに悪化して死亡した場合、当初の傷害行為に認められる危険が、医師の治療により妨げられることなく、死の結果へと直接現実化したとみることが可能である。したがって、行為者の暴行による傷害と被害者の死亡との間には因果関係がある。]

刑法62/ 構成要件5/ 581/ 行為者が被害者に傷害を加えたところ,医師の指示に従わず安静に努めないという被害者自身の不適切な行為介入の結果,容体がさらに悪化し死亡した場合,#当初の傷害行為に認められる危険が,医師の治療により妨げられることなく,#死の結果へと直接現実化したものであり,傷害と被害者死亡間に因果関係あり。
[山口『刑法総論』3版64頁(最決平16・2・17刑集58-2-169)参照。被害者自身の不適切な行為が介入した場合の因果関係の肯否]

―――――
◇不真正不作為犯の実行行為性
刑法92/ 790/ 作為と同価値の実行行為性の認められる不作為:#当該構成要件的結果発生を防止すべき法律上の作為義務ある者(保障人)が,#作為が可能・容易なのにかかわらず作為を怠る場合。∵構成要件的結果惹起の現実的危険性ある,正犯者の行為が実行行為だが,上記要件をみたせば,#規範的に現実的危険性ありといえる。
[辰巳『趣旨・規範ハンドブック 刑事系』5版8頁,山口『刑法総論』3版51頁,68頁LL6,参照。参考:R22旧①]

◇作為義務の体系,錯誤
刑法93/ 791/ #作為義務は構成要件要素。∵そう位置付けることで,構成要件の違法性推定機能が認められる。/作為義務について錯誤があるとしても,#素人的認識あれば_故意あり。∵裁判官と同様の法的評価能力を要求するのは無理だが,規範的構成要件要素たる作為義務の意味の認識なければ,規範に直面したとはいえない。
[辰巳『趣旨・規範男度ブック 刑事系』5版9頁参照]

◇保証人的地位
[・不真正不作為犯においては、何らかの不作為と構成要件的結果との間に、実行行為の危険性の現実化という意味での因果関係が存在するだけでは、構成要件該当性を肯定できない。一定の限定された不作為だけが作為と同視できる。そこで、不真正不作為犯の成立要件として、保証人的地位に基づく作為義務の存在を要する。この作為には、結果を回避するための作為が特に要求される(結果回避義務としての作為義務)。
 結果回避義務としての作為義務を基礎づける事情を保証人的地位と呼ぶ。それは、結果原因の支配のある不作為について、認められると解する。]

刑法95/ 793/ 不真正不作為犯は,何らかの不作為と構成要件的結果との間の,実行行為の危険性現実化という意味での因果関係だけでは構成要件該当性は認められず,結果回避義務としての作為義務(#保証人的地位に基づく作為義務)を要する。一定の限定された不作為,#結果原因の支配のある不作為だけが作為と同視可のため。
[山口『刑法総論』3版81頁-82頁(大判大13・3・14刑集3-285)参照。,構成要件的結果惹起の現実的危険性を支配する保障人的地位にある者の作為義務(結果回避義務)違反の不作為について,作為との同価値性が認められるということであり,辰巳趣旨規範本5版8頁も同じようなことを書いているのであろう。]

◇不作為による放火罪
刑法96/ 794/ #不作為の放火罪の構成要件要素たる作為義務(結果回避義務)は,過失による危険な先行行為,自家や残業職員としての地位(保障人的地位),などに基づき,#火源を自己の支配領域に置いていることにより基礎づけられる。#消火の容易性(結果回避可能性)は,因果関係の要件。#焼損を認容する意思は,放火罪の故意。
[山口『刑法総論』3版83頁-84頁(最判昭33・9・9刑集12-13-2882),79頁-80頁(最決平元・12・15刑集43-13-879)参照。R22旧①]

〇シャクティパット(治療)殺人事件
刑法判例23/ 最判平17・7・4参照:①入院中の患者を退院させ生命に具体的危険を生じさせ,②親族から患者の手当てを全面的にゆだねられた犯人が,生命維持に必要な医療措置を受けさせずに死亡させた事案:不作為による殺人罪成立。#先行行為による危険創出_患者に対する支配関係(患者の依存関係)から保証人的地位肯定。
[山口『刑法総論』3版85頁(刑集59-6-403,シャクティ治療殺人事件)参照]

◇不作為の条件関係,因果関係
刑法94/ 792/ 不作為の因果関係:#一定の作為がされていたなら_結果阻止できだろうというように_仮定的判断を取り入れ条件関係肯式を修正し判断。例:被害女性が,Xにより注射された覚せい剤で錯乱状態に陥った時点で直ちに救急医療を要請していれば,救命は十中八九可能,合理的疑いを超える程度に確実,⇒因果関係あり。
[辰巳『趣旨・規範ハンドブック 刑事系』5版9頁(最決平元・12・15)参照]

◇保証人的地位の要件
刑法186/ 986/ 保障人的地位(作為義務)の根拠・要件を画定するにあたり,#結果惹起の支配の観点から結果原因の支配の有無を問題とすべき。∵実行行為によって支配された結果発生の原因(#結果原因)に基づいてTB的結果が発生した場合,#実行行為の危険性の現実化(因果関係)が認められ,TB的結果惹起を理由として処罰可能。
[山口『刑法総論』3版90頁-91頁参照]

◇不作為犯における結果惹起の過程
刑法187/ 987/ 不作為犯における結果惹起過程は,不適切な措置により潜在的な危険限から危険が創出,増大し,それが結果へと現実化する場合(#危険限の支配,ex危険な装置運用),侵害されやすい法益の脆弱性が顕在化し,侵害の危険が増大し,それが結果へと現実化する場合(#法益の脆弱性の支配,ex親による子の養育)に区別可。
[山口『刑法総論』3版91頁,93頁参照]

―――――
◇間接正犯
刑法21/ 296/ 被害者の自宅に宅配便で毒入り饅頭を送り、知らない被害者に食べさせて殺害する場合など、行為者の行為後に結果を直接惹起する他人の行為が介入するにもかかわらず、行為者が結果を自ら惹起したと見うるときがある(#間接正犯)。直接正犯とは事実上の違い。非身分者に身分犯の間接正犯は成立しない。
[山口『刑法総論』3版44頁参照]

刑法22/ 297/ 正犯として構成要件的結果を惹起したと認めるためには、#構成要件的結果惹起の原因を支配したといいうること(#正犯性)が必要である。正犯性は基本的に、構成要件的結果についての十分な認識・予見をもちつつそれを直接惹起した者に認められる。#正犯性の認められる行為者の行為を実行行為という。
[山口『刑法総論』3版68頁参照]

刑法23/ 298/ 行為者の行為後、因果過程に介在する #他人の結果惹起に対する答責性(自律性)が、その他人の結果惹起行為への行為者の支配の限界を画する。そして、被害者の行為の介入、それと均衡する第三者の行為の介入事例解決のため、#故意行為の介入の有無(遡及禁止原則)が正犯性判断の重要な基準となる。
[山口『刑法総論』3版69頁,68頁参照]

刑法24/ 299/ 構成要件要素たる身分や目的のない第三者の行為により構成要件的結果を生じさせた場合、第三者の行為に構成要件該当性は肯定できない。しかし、#背後者に直接正犯が成立し第三者に共同正犯ないし幇助が成立しうるので、身分なき故意ある道具・目的なき故意ある道具を利用する間接正犯とすべきでない。
[山口『刑法総論』3版73頁参照。R21①参照,80万円の横領につき,背後者甲が直接正犯,占有という身分のない乙に幇助犯が成立しうる(?)。]

©2018@right_droit
ツイフィール: http://twpf.jp/right_droit
ツイッター: https://twitter.com/right_droit3 https://twitter.com/right_droit
ブログ: http://right-droit.hatenablog.com/archive

Reply · Report Post