2019年3月(25日~31日)分ツイート:32,その他(刑法24,刑訴法8)


2019年3月分ツイート:80その他(民法1,商法11,民訴法10;刑法50,刑訴法8)
2019年3月31日(その他8)

刑訴法107/ 999/ 被疑事実との関連性を確認しない包括的差押えは,原則不許。∵無差別的な捜索,差押えによる不当な人権侵害防止。but,#パソコン等に被疑事実に関する情報が記録されている蓋然性あり_それをその場で確認すれば情報損壊の危険あるとき,内容を確認せず差押え可能。∵捜索の実行性確保。/印刷は必要な処分。
[辰巳『趣旨・規範ハンドブック 刑事系』5版214頁(最決平10・5・1)参照]

刑訴法106/ 998/ #検察官の不起訴処分に付する旨の約束に基づく自白は任意になされたものでない疑いのある自白と解すべき。∴このような自白を罪証に供することは採証則に違反する。
本件のように,検察官の,自白すれば起訴猶予する旨のことばを信じ,期待してした自白は,#任意性に疑いがあるものとして_証拠能力を欠く。
[最判昭41・7・1刑集20-6-537『刑事訴訟法判例百選』10版〔70〕参照。参考:辰巳『趣旨・規範ハンドブック 刑事系』5版260頁,R27予備,R26②]

刑訴法105/ 997/ 場所に対する令状で,その場に居合わせた者の身体は捜索できないのが原則。∵条文上,「身体」「物」「住居その他の場所」を分類し(刑訴法222条1項,102条),令状にもこれに従った記載を要求(219条1項)。#隠匿を疑うに足る十分な理由ある場合,例外。∵捜索の実行性確保。具体的挙動,被疑者との関係等考慮。
[辰巳『趣旨・規範ハンドブック 刑事系』5版213頁(東京高判平6・5・11)参照]

刑訴法104/ 996/ 令状(刑訴法219条)記載場所の範囲:#住居における管理権の範囲内。目的物:原則,捜査機関,被処分者が令状と対象すれば誤りなく識別できる程度の明確性要。∵無差別な捜索,差押えによる住居の平穏,プライバシーの不当侵害抑止。例外,具体例付の概括的記載。#捜索_差押えは捜査の初期段階が多く,特定困難。
[辰巳『趣旨・規範ハンドブック 刑事系』5版211頁(最大決昭33・7・29)参照]

刑訴法103/ 995/ 事件単位の原則の趣旨から,被疑者が取調べ受忍義務を負うのは当該逮捕・勾留の基礎とされた事実の場合のみ(例外:余罪との密接関連性ある場合)。⇒#余罪の内容を明らかにした上_その取調べに応ずる法律上の義務なく_いつでも退去する自由ある旨_告知し,取調べ開始後も,退去希望あらば直ちに帰房させる。
[浦和地判平2・10・12判時1376-24『刑事訴訟法判例百選』10版〔16〕参照。参考:辰巳『趣旨・規範ハンドブック 刑事系』5版226頁]

刑訴法102/ 994/ いまだ重大な甲事件につき被疑者を逮捕・勾留する理由と必要性が不十分なのに,#主としてそれを取り調べる目的で,甲事件が存在しなければ通常立件されないと思われる軽微な乙事件につき被疑者を逮捕・勾留する場合,#令状主義の実質的潜脱で,一種の逮捕権の濫用。⇒重大な違法⇒自白調書は証拠能力欠く。
[浦和地判平2・10・12判時1376-24『刑事訴訟法判例百選』10版〔16〕参照。参考:辰巳『趣旨・規範ハンドブック 刑事系』5版208頁(本件基準説,実体喪失説)]

刑訴法101/ 993/ 逮捕・勾留の効力は,#令状記載の被疑事実にのみ及ぶ(事件単位説)。被疑事実の同一性の有無により判断。∵令状記載の被疑事実に限定することで,#身柄拘束の理由を明確にし,被疑者の人権保障を図るべき。#被疑事実の同一性は刑罰権の及びうる範囲である公訴事実の同一性により判断。∵刑罰権行使の一環。
[辰巳『趣旨・規範ハンドブック 刑事系』5版204頁参照]

刑訴法100/ 992/ 「罪を行い終わってから間がない」(刑訴法212条2項)とは,#時間的・場所的近接性あることを要するが,要求される程度は異なりうる。同項2号のように犯罪と犯人との結びつきが強くない場合,厳格に。他方,各号が重複該当する場合,犯罪と犯人の結びつきが強いので,時間的場所的近接性の要件は緩和されうる。
[辰巳『趣旨・規範ハンドブック 刑事系』5版201頁参照]


2019年3月29日(その他9)
刑法191/ 991/ 「保護する責任のある者」(刑法218条)は,単純遺棄罪で不作為による遺棄,故意の不真不作為犯の可罰性を基礎づける保証人的地位(作為義務)と異なるもの。#保護責任は_より重い処罰を基礎づけるものなので_作為義務要件と解される結果原因の支配よりも強度の支配関係_排他性など_のある場合に限定すべき。
[山口『刑法各論』2版35頁-36頁参照]

/ (不作為犯における)#作為義務 = #結果回避義務 > #保護責任(刑法218条。単純遺棄罪における不作為による遺棄の可罰性を基礎づける保証人的地位よりも重い処罰を基礎づけるものなので,より限定されたものでなけれならない。山口・各論2版36頁参照) 😮
18:53 - 2019年3月29日
https://twitter.com/right_droit/status/1111567124617551872

刑法190/ 990/ 過失犯の共同正犯は,#共同者による結果原因の共同支配に基づく共同の結果回避義務違反が認められれば,共同者の結果回避義務違反行為の促進・助長によるTB該当事実(結果)の共同惹起肯定でき,その予見可能性を前提に成立。結果回避義務は,他の共同者の行為からもTB的結果が生じないようにする配慮,含む。
[山口『刑法総論』3版387頁参照。参考:辰巳『趣旨・規範ハンドブック 刑事系』5版59頁]

刑法188,189/ 988,989/ 違法性に関わる義務たる,過失犯の結果回避義務,不作為犯の作為義務の発生根拠は,#ともに結果原因の支配(危険限の支配,脆弱性の支配)であり,過失犯では,作為犯と不作為犯との区別に特に意味はない。行為の危険性をTB的結果が生じることが通常ありえない程度にまで減少させることが,結果回避義務の内容。
[山口『刑法総論』3版248頁参照]

/ 結果回避義務を尽くさず結果発生した場合も,#危険性を減少させる義務としての結果回避義務を履行したとしても_結果発生を回避できなかったときは(あれなければこれなしとはいえない),結果発生は結果回避義務違反に基づくとはいえず(因果関係なし),結果惹起を理由とする処罰不可,過失犯のTB該当性なし。
[同書同頁参照]

刑法186,187/ 986,987/ 保障人的地位(作為義務)の根拠・要件を画定するにあたり,#結果惹起の支配の観点から結果原因の支配の有無を問題とすべき。∵実行行為によって支配された結果発生の原因(#結果原因)に基づいてTB的結果が発生した場合,#実行行為の危険性の現実化(因果関係)が認められ,TB的結果惹起を理由として処罰可能。
[山口『刑法総論』3版90頁-91頁参照]

/ 不作為犯における結果惹起過程は,不適切な措置により潜在的な危険限から危険が創出,増大し,それが結果へと現実化する場合(#危険限の支配,ex危険な装置運用),侵害されやすい法益の脆弱性が顕在化し,侵害の危険が増大し,それが結果へと現実化する場合(#法益の脆弱性の支配,ex親による子の養育)に区別可。
[同書91頁,93頁参照]

刑法185/ 985/ A強盗目的で,B強制性交等目的で,相互に相手の目的を知らず,共同しXに暴行したが,いずれも目的を達しなかったとき,#Aは強盗未遂_Bは強制性交等未遂で_暴行の限度では共犯。∴自分の暴行結果だけでなく,相手が加えた暴行の結果たる傷害にも責任を負い,A:強盗(未遂)致傷,B:強制性交等(未遂)致傷で処罰可。
[平野龍一『刑法 総論Ⅱ』(1975年)364頁参照]

刑法183,184/ 983,984/ 共同実行(法益侵害の共同惹起)の対象? 特定の犯罪の共同実行とし,共同正犯を数人一罪と解する犯罪共同説と,#行為を共同し各自の犯罪を実行するとし,共同正犯を数人数罪と解する行為共同説あり。後者は,法益侵害共同惹起が肯定される範囲内で,各共同者の故意に応じ異なった犯罪(罪名)間の共同正犯肯定。
[山口『刑法総論』3版315頁,317頁参照]

/ #各共同者が行為を共同することにより各人の故意に応じた犯罪を実現する場合に共同正犯成立(行為共同説)。⇒共同正犯成立のためには共同者間に意思の連絡が必須としても,故意の共同までは不要。共犯規定は,正犯or他共同者により惹起された結果についても,#共犯の因果性ある限り,共犯者を拡張処罰する。
[同書317頁-318頁参照]


2019年3月27日(その他5)
刑法181,182/ 981,982/ 刑法65条1項は,#犯人に身分があることによって初めて犯罪行為となる構成的身分犯(真正身分犯)について身分の連帯作用を定め,非身分者の共犯の成立を肯定する。同条2項は,#身分の存在により刑が加重される場合である加減的身分犯(不真正身分犯)の身分について個別作用を定め,非身分者に通常の刑を科す。
[山口『刑法総論』3版343頁参照]

/ 身分は,#実質的にRwに関わる違法身分とSに関わる責任身分に区別可。Rw身分(刑法65条1項):#当該犯罪の法益を侵害しうる地位。ex.収賄罪の公務員。S身分(同条2項):ex.業務上横領罪の業務(上占有)者という身分,堕胎罪の妊娠中の女子。#責任判断の個別性から_それを持つ者のみ責任の加重減軽を基礎づける。
[同書345頁-346頁参照]

刑法180/ 980/ 従属性(二次的責任性)が妥当しない共同正犯(一次的責任類型)では,Rw阻却事由適用,個別検討。#共同正犯における過剰防衛の成否は_共同正犯者各人につきそれぞれの要件をみたすかで決すべき。一人につき過剰防衛が成立したとしても,当然に他の者に過剰防衛が成立する訳ではない。正当防衛の場合も同様。
[山口『刑法総論』3版360頁(最決平4・6・5刑集46-4-245),326頁,307頁参照]

刑法178,179/ 978,979/ 正犯にRw阻却事由あるが,教唆者,幇助者にはない場合? 被害者の同意を援用できない場合,共犯に侵害の予期に加え積極的加害意思があるため,侵害の急迫性が否定される場合など。#教唆_幇助は二次的責任類型だから_正犯につきRw阻却される場合_教唆_幇助は不成立。/適法行為利用の間接正犯のみ問題となる。
[山口『刑法総論』3版359頁参照]

/ 正犯にはRw阻却事由の適用が否定されるが,教唆犯,幇助犯には肯定される場合,自分ではTB該当事実を違法に惹起できない共犯(教唆犯,幇助犯)でも,それが可能な正犯を介することで可能になるから,#正犯がTB該当事実を違法に実現することについて認識_予見がある限り,正犯とともに,共犯も成立すると解する。
[同書359頁-360頁参照]


2019年3月26日(その他1)
刑法177/ 977/ #遺棄と不保護は場所的離隔の有無で区別した上,要扶助者の場所的移転を伴う狭義の遺棄(#移置)と,#置去り(不真正不作為形態)のような要扶助者の場所的離隔を生じさせるすべての場合を含む広義の遺棄に区別し,単純遺棄罪の遺棄は狭義の遺棄,保護責任者遺棄罪の遺棄は広義を指すと解する(通説,判例同旨)。
[山口『刑法各論』2版33頁-34頁(最判昭34・7・24刑集13-8-1163)参照。参考:辰巳『趣旨・規範ハンドブック 刑事系』5版92頁]


2019年3月25日(その他9)
刑法176/ 976/ 遺棄と不保護は,要扶助者と保護責任者or扶助者との場所的離隔の有無で区別。要扶助者と保護責任者or扶助者との場所的離隔作出たる遺棄に,#単純遺棄罪_保護責任者遺棄罪に共通し_作為による場合と保障人的地位にある者の不作為の場合を含む。but,扶助者自身による置去りは作為だが,保護責任者のみ処罰。
[山口『刑法各論』2版35頁参照]

刑法175/ 975/ 凶器準備集合罪の予備罪的性格を基本とすれば,①終了時期:#加害行為の実行段階に至れば_凶器準備集合罪不成立。②罪数:一般に予備罪は未遂・既遂に吸収されるが,公共危険罪に性により,#牽連犯とすべき。③凶器:公共危険罪性から,判例と同様。④迎撃形態の場合に,相手方の襲撃の可能性なければ,不成立。
[山口『刑法各論』2版60頁参照]

刑法174/ 974/ 判例によれば,凶器準備集合罪の保護法益は,個人の生命,身体,財産ばかりでなく,公共的な社会生活の平穏も含み,抽象的危険犯。①犯罪終了時期:#凶器準備集合状態が継続する限り継続。②罪数:本罪と加害行為たる罪とは併合罪。③凶器:社会通念上人をして危険感を抱かせるに足るもの。④迎撃形態でも成立。
[山口『刑法各論』2版58頁-59頁(最決昭45・12・3刑集24-13-1707(清水谷公園事件),最判昭58・6・23刑集37-5-555(アドセンター事件),最決昭48・2・8刑集27-1-1)参照]

刑法173/ 973/ 凶器準備集合罪は,#生命_身体_財産に対する傷害罪の単なる予備罪ではなく_公共危険犯としての性格あり。but,それは,#予備罪性の枠内で考慮すべき。∵公共危険罪との理解は,小型騒乱罪との理解といえるが,#暴行_脅迫を成立要件とする騒乱罪と比べ_本罪は集合だけで成するし,法定刑がかなり重く,不均衡。
[山口『刑法各論』2版59頁参照(刑法の危険運転致死傷の規定(旧208条の2)が,自動車の運転により人を死傷させる行為等に関する法律となったため,凶器準備集合罪は繰り上がって,208条の2となっています。)]

刑法171,172/ 971,972/ 他人の事務処理者が,自己が占有する他人の物につき不法な処分を行った場合,委託物横領罪or背任罪? #法益侵害は一つだから両罪は法上競合関係であり_重い方の犯罪のみ成立(横領罪)。⇒まず,委託物横領罪の成否検討。否定された⇒次に背任罪の成否検討。結局,委託物横領罪がどの範囲で成立するかが問題。
[山口『刑法各論』2版333頁-334頁参照]

/ 委託物横領罪成立には,物の所有権侵害要。他人の事務処理者が,自己占有の他人物を不法処分した場合,自己のために利益を図れば委託物横領罪。もっぱら本人の利益を図れば不成立,図利加害目的なく背任罪も不成立。第三者のために自己の名義,計算⇒#不法領得肯定⇒委託物横領罪,本人の名義,計算⇒背任罪。
[同書335頁(大判大6・12・20刑録23-1541,大判大3・6・10刑録20-1174,大判昭9・7・19刑集13-983,大判昭10・7・3刑集14-745最判昭33・10・10刑集12-14-3246,判例の立場)参照。参考:辰巳『趣旨・規範ハンドブック 刑事系』5版145頁]

刑法170/ 970/ 背任罪のTB該当行為は,「その任務に背く行為」。一般に,#誠実な事務処理者としてなずべきものと法的に期待されるところに反する行為。委託関係の侵害をもたらす行為。事実行為も含まれる。その判断に際し,法規,内規などの形式的基準とともに,実質的な考慮(本人とって実質的に不利益な行為か)を要する。
[山口『刑法各論』2版325頁-326頁(大判大3・6・20刑録20-1313(帳簿への虚偽記載),高松高判昭27・9・30高刑集5-11-1864(第三者が保管品を搬出することを阻止しない事例),東京地判昭60・3・6・判時1147-162(総合コンピューター事件,コンピュータープログラムを不正に入力した事例))参照]

刑法168,169/ 968,969/ 背任罪の主体は,他人のためにその事務を処理する者(事務処理者)。その他人(本人)からの事務処理の委託を要し,それは契約,慣習,事務管理によっても生じる。契約当事者が自ら負担する義務(目的物引渡し義務,代金支払義務等)は自己の義務であり,#他人の事務ではないから,債務不履行は背任罪を構成しない。
[山口『刑法各論』2版321頁-322頁(大判大3・4・10刑録20-498,大判大3・9・22刑録20-1620)参照]

/ 債務不履行一般については背任罪を構成しないが,二重抵当は背任罪を構成する。∵#抵当権設定者の抵当権者に協力する義務は主として他人である抵当権者のために負うものといえる。また,∵不動産二重売買に委託物横領罪成立との均衡,委託物横領罪より軽い背任罪の主体の範囲を狭く解する必要がないこと。
[同書322頁-323頁(最判昭31・12・7刑集10-12-1592)参照]

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2019年3月(11日~24日)分ツイート:20,その他(民法1,商法11;刑法8)
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