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2nd Apr 2019 from TwitLonger

刑訴法短文⑧-1/ 公判前整理手続など (12ツイート)


略号: ☆問題,〇判例,◇その他。R論文,Q設問,T短答。⇒ならば,∴なので(したがって,よって,ゆえに),∵なぜならば,⇔これに対し(て),orまたは,butしかし(もっとも),exたとえば。
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◇公判前整理手続の意義
刑訴法111/ 1004/ 裁判所は,#充実した公判の審理を継続的_計画的かつ迅速に行うため必要なときは_当事者の意見を聴いて_第1回公判期日前に,決定で事件を公判前整理手続きに付しうる(刑訴法316条の2第1項)。#争点・証拠の整理を行う。裁判員裁判では必要的(裁判員法49条)。#予断排除の原則との緊張関係を意識した運用要。
[上口裕『刑事訴訟法』2版249頁-250頁参照]

◇公判前整理手続
刑訴法15/ 公判5/ 56/ 公判前整理手続(#刑訴法316条の2 以下)とは、第1回公判期日前に事件の争点・証拠の整理を行う公判準備である。計画的で迅速・充実した公判審理を行うためのものである。この趣旨を没却するような訴因変更請求は認められず、同手続後の証拠調べ請求も、やむを得なかった場合を除き、できない。
[寺崎『刑事訴訟法』3版264頁、271頁参照]

刑訴法34/ 公判16/ 337/ 公判前整理手続に証拠開示規定がある。その特徴は、①開示すべき証拠を、#証拠調べ請求証拠(刑訴法316条の14、同条の18)、#類型証拠(同条の15)、#主張関連証拠(同条の17、同条の20)に分けていること、②証拠開示についての裁定規定(同条の25~27)を置いていることである。
[寺崎『刑事訴訟法』3版266頁・267頁、263頁参照]

刑訴法33/ 公判15/ 336/ 被告人・弁護人は、#証明予定事実を記載した書面の送付を受け、かつ、#刑訴法316条の14第1項・同条の15第1項2項の規定により開示すべき証拠の開示を受けた場合、被告人側の証明予定事実、事実上・法律上の主張あるときは、裁判所、検察官に対し明示要(刑訴法316条の17第1項前段)。
[刑訴法316条の17第1項前段、寺崎『刑事訴訟法』3版269頁、266頁・267頁、268頁、参照]

刑訴法16/ 公判6/ 57/ 被告人側は検察官請求証拠(#刑訴法 316条の13第2項)に対する証拠意見を明らかにし(同条の16第1項)、公判廷において証拠により証明を予定する事実上および法律上の主張があるときは明示し(主張明示の義務)、証拠取調べ請求をし(同条の17)、開示しなければならない(同条の18)。
[『刑事訴訟法講義案』四訂版222頁参照]

〇訴訟指揮権に基づく証拠開示
刑訴法判例11/ 最決昭44・4・25刑集248頁参照:証拠調べ段階後,具体的必要性を示し,一定の証拠を閲覧させるよう検察官に命ぜられたい旨,申出がされた場合,事案の性質,審理状況,証拠の種類・内容,時期等,諸般の事情を勘案し,被告人の防御のため特に重要で罪証隠滅等のおそれなく,相当なとき,訴訟指揮権に基づき命令可。
[『刑事訴訟法判例百選』10版〔A27〕(刑集23-4-248)参照。参考:辰巳『趣旨・規範ハンドブック刑事系』5版248頁。
 この決定は,証拠調べ段階後の,訴訟指揮権に基づく証拠開示命令を認めたもののようであるが,平成16年改正により,公判前整理手続・期日間整理手続における証拠開示制度が採用されたため,事実上その役割を終えたともいえる(前掲,刑訴法判例百選10版245頁参照)。]

〇証拠開示命令の対象は検察官手持ち証拠に限られるか
刑訴法判例10/ 最決平19・12・25参照:公判前整理手続・期日間整理手続における証拠開示制度の趣旨が争点整理と証拠調べを有効・効率的に行うためにある点にかんがみると,刑訴法316条の26第1項の証拠開示命令の対象は,#検察官が現に保管中の証拠に限らず_捜査過程で作成・入手した書面で_入手が容易なものも含まれる。
[辰巳『趣旨・規範ハンドブック刑事系』5版248頁-249頁参照。参考:『刑事訴訟法判例百選』10版125頁(刑集61-9-895)]

〇取調べメモ等の証拠開示の可否
刑訴法判例9/ 最決平20・9・30参照:公務員が職務過程で作成するメモのうち,専ら自らが使用するため作成したもので,公開を全く想定していないものは開示命令対象でない。しかし,#警察官としての職務を執行するに際しその職務の執行のために作成した公的性質を有するもので_職務上保管するものなら,開示対象とできる。
[辰巳『趣旨・規範ハンドブック刑事系』5版249頁参照。参考:『刑事訴訟法判例百選』10版〔54〕(刑集62-8-2753)]

〇公判前整理手続における証拠開示
刑訴法31/ 公判13/ 334/ 本件メモは、警察官としての職務執行に際しその執行のため作成したもので公的性質を有し、職務上保管するものといえる。したがって、本件メモは、本件捜査過程で作成され、#公務員が職務上現に保管し・かつ・検察官に入手が容易なものなので、証拠開示命令(刑訴法316条の26第1項)対象となる。
[最決平20・9・30刑集62-8-2753(『刑事訴訟法判例百選』10版〔54〕124頁)参照。参考:辰巳『趣旨・規範ハンドブック』刑事系5版249頁。]

刑訴法32/ 公判14/ 335/ A供述の信用性判断につき、当然、#Aが従前取調べで新規供述についてどのように述べていたか問題になるから、当該供述に係る検察官調書等の信用性を争う弁護人主張と本件メモとには、一定の関連性がある。開示の必要性もある。開示に特段弊害もない。したがって、開示相当(刑訴法316条の20)。
[最決平20・9・30刑集62-8-2753(『刑事訴訟法判例百選』10版〔54〕124頁)参照]


◇公判前整理手続後の訴因変更
[・公判前整理手続を経た後の公判においては、充実した争点整理や審理計画の策定がされた趣旨を没却するような訴因変更請求は許されない。言い換えれば、検察官の権限濫用・信義則違反の問題であり、検察官の帰責性という観点が重要となる。
 すなわち、公判前整理手続において検察官が訴因変更請求を検討する契機があり、予備的にでも訴因変更を請求しておくべきであったにもかかわらず、そのような対応を怠って公判段階で訴因変更を請求し、それを許可すると公判前整理手続きの目的を害することになる場合、その請求は権限濫用・信義則違反と評価してよい。]

刑訴法43/ 400/ 公判前整理手続後の公判で、#充実した争点整理や審理計画策定の趣旨を没却するような訴因変更請求は許されない。#検察官の権限濫用・信義則違反_帰責性が問題となる。#訴因変更請求を検討する契機があり_予備的にでも請求すべきだったにかかわらず_怠っていた場合、権限濫用・信義則違反と評価できる。
[『刑事訴訟法判例百選』10版〔56〕130頁判旨(東京高判平20・11・18高刑集61-4-6)、タテ2、131頁タテ3前半参照]

◇最決平成27・5・25刑集69-4-636参照
[・被告人質問において、被告人が、「その日時には、自宅でテレビを見ていた。知人夫婦と会う約束があったことから、午後4時30分頃、西成の同知人方に行った」との供述をし、弁護人は、更に詳しい供述を求めて質問し、被告人もこれに答えようとした(本件質問等)ことは、被告人が公判前整理手続で明示していた「本件公訴事実記載の日時において、大阪市西成区の自宅ないしその付近にいた。」旨のアリバイの主張に関し、具体的な供述を求め、これに対する被告人の供述がされようとしたものにすぎない。したがって、このような本件質問等が、刑訴法295条1項所定の「事件に関係のない事項にわたる」ものでないことは明らかである。また、公判前整理手続の経過および結果、被告人が公判期日で供述しようとした内容に照らすと、主張明示義務に違反したとも、公判前整理手続を行った意味を失わせるとも認められない。よって、本件質問等を刑訴法295条1項により制限することはできない。]

刑訴法45/ 442/ 同日時,自宅でテレビ視聴,約束通り,その1時間20分前頃,西成の知人方に行った旨の供述に,更に詳しい供述を求めた本件質問等は,#公判前整理手続で明示の,同日時,西成区の自宅,付近にいた旨のアリバイ主張に関する具体的供述要求等にすぎず,刑訴法295条1項に該当しない。316条の17第1項義務違反でもない。
[最決平成27・5・25刑集69-4-636(平成27年度『重要判例解説』〔刑訴法3〕)参照]

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