2019年4月(1日~19日)分ツイート:26,その他(憲法3,行政法5;会社法1,倒産法2;刑訴法15)


2019年4月19日(その他1)

商法145/ 1026/ 株主総会決議等取消しの訴えにつき,法律関係の早期安定を図り(提訴期間3か月),被告,#認容判決の効力が及ぶ者の範囲,判決の効力等も規定するのは,当該決議での,#新たな法律関係発生が前提。⇒#一般に_議案を否決する株主総会等の決議で新たな法律関係は生じないから,それに対する取消しの訴えは不適法。
[最判平28・3・4民集70-3-827『平成28年度 重要判例解説』〔商法5〕,R30②Q2(1)採点実感11頁,参照。訴えの利益がないからという理由ではなく,否決の決議の取消し訴訟なるものは,会社法831条は想定しておらず,同規定の対象とはならない,と考えているようである。
 取締役解任議案を否決する決議が取締役解任の訴え(854条)の要件とされている点については,千葉裁判官補足意見で触れられているとのこと。]
/ 最判平28・3・4民集70-3-827『平成28年度 重要判例解説』〔商法5〕,R30②Q2(1)採点実感11頁,参照。訴えの利益なしとの理由でなく,否決決議の取消し訴訟は,会社法831条は想定しておらず,対象外とのロジック。取締役解任議案の否決が取締役解任の訴え(854条)要件とされている点,千葉裁判官補足意見参照。


2019年4月11日(その他7)
行政法70/ 1025/ 差止訴訟の訴訟要件:①処分性,権力的事実行為も含まれ,#取消訴訟とは異なり継続的性質は不要。②一定性,裁判所の判断が可能な程度の特定要。③蓋然性。④重大な損害を生ずるおそれ,#後に取消訴訟_執行停止で容易に回避できる損害はあたらない。⑤補充性,#被告側に立証責任。民事訴訟等含まず。④ほか。
[『LEGAL QUEST行政法』3版270頁-271頁(最判平24・2・9民集66-2-183(東京都教職員国旗国歌訴訟),広島地判平21・10・1判時2060-3(鞆の浦訴訟))参照]

行政法69/ 1024/ #申請型義務付け訴訟の訴訟要件:①#法令に基づく申請等を実際に行った者,②申請等に対し相当期間内に何ら処分がない場合/申請等を却下or棄却する処分等がなされ,かつ,当該処分等が取り消されるべきか,無効or不存在な場合,③不作為の違法確認訴訟/拒否処分等の取消訴訟or無効等確認訴訟,#併合提訴強制。
[④被告適格,管轄,⑤狭義の訴えの利益。『LEGAL QUEST行政法』3版262頁-263頁参照]

行政法68/ 1023/ 非申請型義務付け訴訟の訴訟要件:①処分性,②一定性,#判断が可能な程度の特定。③重大な損害,損害回復の困難の程度考慮。#財産的損害でも重大な場合。④補充性⇔特別の権利救済手段が法律で設けられている,取消訴訟による救済可能,申請型義務付け訴訟提起可能。/#民事訴訟提起可能でも補充性要件欠く。
[⑤原告適格,狭義の訴えの利益,⑥被告適格,管轄『LEGAL QUEST行政法』3版266頁-267頁(東京地判平13・12・4判時1791-3,国立マンション除却命令事件)参照]

行政法66,67/ 1021,1022/ 違法な行政行為も,#権限ある機関が職権取消しをするまでは有効なものと扱われる(公定力)。名宛人その他の利害関係人は,短期の争訟提起期間内に不服申立て,取消訴訟を提起し取り消させなければ,#不可争力を生じ効力を保持し続けることになる。but,#無効原因を伴う行政行為は_取消訴訟の排他性適用なし。
[『LEGAL QUEST行政法』3版100頁参照]

/ 無効の判断基準は,#重大かつ明白な瑕疵かである。瑕疵が明白かは,#処分の外形上_客観的に_誤認が一見看守し得るものかによって決すべき(判例)。/行政庁が職務の誠実な執行として当然に要求される程度の調査を行えば判明する事実関係に照らし誤認と認められる場合も,明白性要件充足とする裁判例もある。
[同書101頁(最大判昭31・7・18民集10-7-890,最判昭36・3・7民集15-3-381,最判昭34・9・22民集13-11-1426,最判昭37・7・5民集16-7-1437;東京地判昭36・2・21行集12-2-204)参照]

倒産法72,73/ 1019,1020/ #預託金会員制ゴルフクラブの会員契約は,主として預託金の支払とゴルフ場施設利用権の取得が対価性を有する双務契約で,会員破産の場合,ゴルフクラブでは,#ゴルフ場施設を利用可能な状態に保持し会員に利用させるゴルフ場経営会社の義務と_年会費を支払う会員の義務とが破53条1項にいう双務未履行債務。
[最判平12・2・29民集54-2-553『倒産法判例百選』5版〔80①〕参照]

/ 破産管財人の契約解除は,契約当事者の公平,破産手続の迅速終結を図るものなので,#相手方に著しく不公平な状況が生じる場合_破53条1項に基づく解除権行使不可。①現状回復等の給付内容の均衡,②54条等による相手方の不利益回復程度,③破産者側の未履行債務が本質的,中核的or付随的なものか等,総合考慮。
[同上]

2019年4月7日(その他1)
憲法101/ 1018/ 暴力団員が市営住宅に入居し続ける場合,#他の入居者等の生活の平穏が害されるおそれ否定できない。他方,暴力団員は自らの意思で暴力団を脱退可能であり,また,暴力団員が市営住宅を明け渡さざるを得ないとしても,当該市営住宅以外での居住まで制限されるわけではない。⇒合理的理由のない差別ではない。
[最判平27・3・27民集69-2-419『重要判例解説』〔憲法7〕参照。参考:辰巳『趣旨・規範ハンドブック 公法系』5版38頁]


2019年4月6日(その他2)
憲法99,100/ 1016,1017/ 個人に関する情報をみだりに第三者に開示or公表されない自由あり(憲法13条)。住基ネットで管理,利用等される本人確認情報は,氏名,生年月日,性別,住所(4情報),住民票コード,変更情報(転入,転出等)にすぎない。#4情報は一定範囲の他者への開示が予定されており_個人内面に関わる秘匿性の高い情報でない。
[最判平20・3・6民集62-3-665『判例プラクティス 憲法』増補版〔35〕,辰巳『趣旨・規範ハンドブック 公法系』5版31頁,参照]

/ 変更情報も秘匿性の高い情報ではなく,#住民票コードも,住基ネットによる本人確認情報の管理,利用等の目的に利用される限りで,秘匿性の程度は同様。また,#目的外利用_漏えい等は懲戒処分_罰則で禁止されており,情報をみだりに開示,公開さられない自由侵害の具体的危険ない。⇒個人の同意なくとも_合憲。
[同上]


2019年4月5日(その他4)
刑訴法122/ 1015/ 任意捜査とはいえ,何らかの法益侵害,そのおそれがあるので,#捜査比例の原則により,具体的状況下の必要性,緊急性(嫌疑の程度,事件の重大性など)を考慮し,被侵害利益の性質,程度との衡量により相当と認められ限度で許容可。写真・ビデオ撮影:#嫌疑の合理性,撮影必要性,被侵害法益の性質,侵害程度を衡量。
[古江『事例演習 刑事訴訟法』(2011年)15頁-19頁(最大判昭44・12・24刑集23-12-1625),特に15頁(最決昭51・3・16刑集30-2-187),16頁,19頁(最決平20・4・15刑集62-5-1398)参照]

刑訴法120,121/ 1013,1014/ 強制処分該当性は,重要な権利,利益制約かにかかり,写真撮影対象,状況により異なる。家屋内にいる者を望遠レンズ,赤外線フィルムで撮影するなど,そのような制約といえるが,公道を公然と歩行中の者の撮影は,推定的意思に反するとはいえ,#プライバシーの要保護性は低く,重要な権利,利益制約とはいえない。
[古江『事例演習 刑事訴訟法』(2011年)16頁参照。R19②Q1,R30②Q1捜査①]

/ ビデオ撮影の場合,静止画よりもより,容ぼう等がより明瞭に写され,行動に関するプライバシーが侵害される。but,公道を公然と歩行中の者のビデオ撮影は,写真撮影よりも要保護性が高いとはいえ,重要な権利,利益の制約,強制処分とまではいえない。but,#捜査比例の原則から具体的状況における合理的理由要。
[同書19頁,16頁参照]

刑訴法119/ 1012/ 強制手段とは,有形力の行使を伴う手段をいうのではなく,#個人の意思を制圧し_身体_住居_財産等に制約を加えて強制的に捜査目的を実現する行為など,特別の根拠規定がなければ許容することが相当でない手段をいうのであって,#この程度に至らない法益侵害を伴う手段は,任意捜査でも許容される場合がある。
[古江『事例演習 刑事訴訟法』(2011年)10頁-11頁(最決昭51・3・16刑集30-2-187 )参照。昭和51年決定の意味しうるところを,古江先生の説明を読んで短文にまとめたものです。判例の通りではありませんので,各自ご確認下さい。R19②Q1,R30②Q1]


2019年4月4日(その他4)
刑訴法118/ 1011/ 被告人の悪性格立証は,原則許されない。∵#裁判官に不当な予断を抱かせ_争点を混乱_拡散させるおそれ。例外:被告人側が善良な性格を立証した場合に,反証として可。同種前科の立証も,原則許されない。∵同種前科から,被告人の悪性格を推認し,悪性格から,当該犯罪を行ったと推認する不確実な二重の推認。
[辰巳『趣旨・規範ハンドブック 刑事系』5版255頁参照。R19②]

刑訴法117/ 1010/ 証拠調べは,証拠によって要証事実を証明するためになされる。要証事実と関連性のない証拠を調べても無意味。∴証拠は,要証事実が存在するか否かの証明に役立つものでなければならない(#証拠の関連性,relvancy)。①推認が不合理な場合(刑訴法295条1項,規則189条1項参照),②最小限の証明力さえない場合。
[寺崎『刑事訴訟法』3版384頁,385頁参照(寺崎先生は,自然的関連性と法律的関連性との区分を妥当ではないとされる。)]

刑訴法116/ 1009/ #犯行の状況等を撮影したいわゆる現場写真は,非供述証拠。⇔#再現者が行動で示した供述を撮影した供述写真は,撮影,現像等の記録の過程が機械的操作でなされるので,記録過程の正確性を担保する署名押印は不要。but,#供述内容の真実性が問題となるので,その他の伝聞例外(刑訴法321条or322条)要件充足要。
[『刑事訴訟法判例百選』10版191頁タテ5(2)(最決昭59・12・21刑集38-12-3071,最決平17・9・27刑集59-7-753)参照]

刑訴法115/ 1008/ 現場指示:検証客体の特定のための支持説明。現場供述:検証現場を利用しての供述。現場指示部分は,#実況見分の手がかりに過ぎず,実況見分と一体として刑訴法321条3項による。現場供述部分は,#供述内容の真実性が問題となるので,伝聞例外(321条or322条)の要件をみたすか判断要。写真部分も同様に区別可。
[辰巳『趣旨・規範ハンドブック 刑訴法』5版278頁(最判昭36・5・26,最決平17・9・27)参照]


2019年4月3日(その他2)
刑訴法114/ 1007/ 審判対象画定の見地からは,実行行為者明示は不可欠でなく,訴因と異なる認定でも訴因変更不要。⇔被告人の防御権保障の見地からは,実行行為者が誰かは一般的に重要なので,変更が原則。but,不可欠な記載事項ではないので,#具体的審理過程に照らし_被告人に不意打ちとならず_不利益といえない⇒変更不要。
[辰巳『趣旨・規範ハンドブック 刑事系』5版241頁-242頁(最決平13・4・11)参照]

刑訴法113/ 1006/ 単独犯として起訴されたが共謀共同正犯者が存在する場合の訴因変更の要否?/当該被告人の行為により犯罪構成要件の全てがみたされると認められるときは,訴因変更不要。∵#共謀共同正犯者が存在するとしても犯罪の成否は左右されないから共犯者の存在は訴因の特定のために必要な事実の変動にあたらない。
[辰巳『趣旨・規範ハンドブック 刑事系』5版242頁(最決平21・7・21)参照]


2019年4月2日(その他2)
刑訴法112/ 1005/ 当事者主義的訴訟構造をとる現行法下では,#審判対象設定は検察官の専権であり_裁判所の訴因変更命令義務は原則否定される。but,訴因立証につき裁判所・検察官間に食い違いが生じた場合,常に無罪判決となるとすると,著しく真実発見を害する。例外:犯罪の重大性,②証拠の明白性⇒命令義務あり。×形成力。
[辰巳『趣旨・規範ハンドブック 刑事系』5版245頁(最決昭43・11・26,最大判昭40・4・28)参照]

刑訴法111/ 1004/ 裁判所は,#充実した公判の審理を継続的_計画的かつ迅速に行うため必要なときは_当事者の意見を聴いて_第1回公判期日前に,決定で事件を公判前整理手続きに付しうる(刑訴法316条の2第1項)。#争点・証拠の整理を行う。裁判員裁判では必要的(裁判員法49条)。#予断排除の原則との緊張関係を意識した運用要。
[上口裕『刑事訴訟法』2版249頁-250頁参照]


2019年4月1日(その他3)
刑訴法110/ 1003/ 尿はいずれ対外に排出される無価値物なので,強制的採取行為は捜索,差押えの性質を有する。⇒捜索差押許可状によるべき。but,#人権侵害のおそれある点で検証としての身体検査と共通する。⇒身体検査令状に関する刑訴法218条6項準用し,医師が医学的に相当と認められる方法により実施要の旨の記載不可欠。
[辰巳『趣旨・規範ハンドブック 刑事系』5版224頁(最決昭55・10・23)参照]

刑訴法109/ 1002/ 「逮捕する場合」(刑訴法220条1項柱書)?/証拠存在の蓋然性の高さを制度理由と解すれば,逮捕前後の多少の時間の隔たりも可。逮捕が予定されていればよい。⇒逮捕失敗の場合の捜索,差押えも可能。/判例は逮捕の時間的接着性を要求するが,#逮捕着手の前後を不問。⇒被疑者不在状況下での捜索,差押えも可。
[辰巳『趣旨・規範ハンドブック 刑事系』5版217頁(最大判昭36・6・7)参照。判例は相当説(実務)の説明する制度趣旨を明示的には採用していないのだろうか? 判例自体を読まないとわからないでしょうが,とりあえず,趣旨規範本の相当説と判例の説明を短く書き留めました。]

刑訴法108/ 1000/ ごみ捨て行為は占有放棄であり,廃棄物として公道に置かれたごみ袋は遺留物にあたる。#市区町村の収集の予定はあるが_廃棄物適正処理のためであり,管理権が移る訳ではない。⇔#集合住宅内のごみ集積所など何人かの管理下にある場合,差押え対象物。but,プライバシー等保護上,領置処分に必要性,相当性要。
[辰巳『趣旨・規範ハンドブック 刑事系』5版220頁-221頁(最決平20・4・15)参照]


2019年3月(25日~31日)分ツイート:32,その他(刑法24,刑訴法8)
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