2019年6月(1日-14日分)ツイート:21,その他(行政法4;民法3,会社法4,倒産法4;刑法6)


略号: ☆問題,〇判例,◇その他。R論文,Q設問,T短答。⇒ならば,∴なので(したがって,よって,ゆえに),∵なぜならば,⇔これに対し(て),orまたは,butしかし(もっとも),exたとえば。
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2019年6月14日(その他3)
刑法201-203/ 1057-1059/ 未遂犯の成立要件である現実的・客観的危険(具体的危険)の判断の手順:①結果が発生しなかった原因を解明し,#事実がどのようであったら結果が発生しえたかを科学的に明らかにする。②結果をもたらしたはずの仮定的事実がありえたであろうかを,#一般人が事後的にありえたことだと考えるかを基準に,判断。
[山口『刑法総論』3版290頁(客観的危険説の一つである山口説,289頁)参照]

/ #客観的には結果は発生しえなかったのであるが,たまたまそうだっただけで,#結果を発生させたことも十分ありえたと考えられる場合,危険が肯定される。方法の不能事例:覚せい剤製造工程自体適切だったが,薬品の使用料が不足していたにすぎない場合,適当量の使用がありえたと考えられる限りで未遂犯成立。
[同書同頁参照]

/ 客体の不能:客体がたまたまそこになかっただけで,#そこにあったことも十分考えられるとして,未遂犯成立可。/甲は,ATMにカードを挿入し現金を引き出そうとしたが,口座凍結で,引き出せなかった。甲の行動を不審に感じたAが警察に相談し凍結されたのであり,#巧妙な甲の説明を信じ込むことも十分ありえた。
[同書同頁,R01①Q1(令和元年 第1問),参照。①Aが甲の説明を信じ込んでいれば,警察に相談,口座凍結されておらず,暗証番号を知る甲が預金を引き出しえていた。②甲は,ダミー封筒を封印し,連絡するまで開封しないようにと巧妙に欺罔しており,Aが信じ込むことも十分ありえた。]


2019年6月13日(その他3)
刑法200/ 1056/ #急迫不正の侵害が存在し,それに対して過剰な防衛行為を行ったときに,過剰性の認識・予見あれば,#故意の過剰防衛(故意犯)。過剰性の認識・予見なければ,責任故意がなく故意犯は成立しないが,その認識・予見可能性があれば.#過失の過剰防衛(過失犯)。どちらについても刑法36条2項適用(任意的刑の減免)。
[山口『刑法総論』3版212頁参照]

刑法198.199/ 1054.1055/ 誤想防衛とは,#正当防衛にあたる事実が存在しないのに,存在すると誤信した場合であり,責任故意(#違法性阻却事由該当事実不存在の認識・予見)がなく故意犯は不成立。誤想したことについて責任過失(#違法性阻却事由該当事実不存在の認識・予見可能性)があれば,過失犯処罰規定の存在を前提に,過失犯成立。
[山口『刑法総論』3版211頁参照]

/ ①急迫不正の侵害が存在しないのに存在すると誤信し反撃行為を行った場合で過剰性ない場合,故意犯不成立。誤想に過失あれば,単なる過失犯。 ②誤想防衛だが過剰な場合,#過剰性の認識・予見あれば故意の誤想過剰防衛(故意犯)。過剰性の認識・予見を欠くが,#その可能性があった場合,過失の誤想過剰防衛。
[同書211頁,212頁参照。(急迫不正の侵害についての)誤想に過失がある場合は,誤想防衛とはいえず単なる過失犯だろうと考えました。∴「成立する過失犯の刑より軽く処断...できない」(213頁L7参照)のでしょう。]


2019年6月12日(その他4)
倒産法76,77/ 1052,1053/ 破産手続開始決定があると,破産者を当事者とする破産財団に関する訴訟手続中断(破44条1項)。破産者は,財産の管理処分権を前提とする当事者適格を失う。破産債権:争いなく確定⇒訴訟手続終了。債権調査で異議等⇒#異議者等全員を相手方に訴訟手続受継。破産債権に関しないもの:破産管財人が受継選択可。
[『倒産法概説』2版356頁-357頁参照。破44条,127条。R24①Q2,R21②Q2]

/ 債権者代位訴訟,債権者取消訴訟も,破産手続開始により中断し,破産管財人が選択受継。転用型の債権者代位:対抗要件を備えた賃借人の占有者に対する賃借目的物引渡請求は,財団債権として中断。転買人の移転登記請求は,破産債権として中断。詐害行為取消しも中断し破産管財人受継後,#否認訴訟に訴え変更。
[『倒産法概説』2版357頁参照。民423条,424条。破56条2項。R21②Q1(1)]

倒産法74,75/ 1050,1051/ #破産手続開始決定で破産財団帰属財産の管理処分権は破産管財人に移転(破78条1項)。∴手続開始後に財団帰属財産につき法律行為をする主体は破産管財人(原則)。債務者が手続開始後に破産者にした弁済は破産財団に対抗不可,手続開始前の登記原因に基づく開始後の登記も,破産手続の関係では効力主張不可。
[山本和彦『倒産処理法入門』4版79頁-80頁参照。破50条,49条,51条]

/ 破産者の債務者が破産手続開始後に破産者に弁済しても,原則,破産財団に対抗不可(破50条2項)。破産手続開始前の登記原因に基づく手続開始後にされた登記は,破産手続の関係では,効力を主張不可(破49条1項本文)。#破産手続開始により包括的な差押えがされ,その時点で対抗関係が生ずると考えるからである。
[同書80頁参照]


2019年6月11日(その他1)
商法149/ 1049/ #株主が会社に当該株式の取得を請求できることを取得請求権といい(会社法107条1項2号),#一定事由発生を条件に会社が株主から当該株式を取得できる定めを取得条項という(3号)。発行する全株式の内容として定めることも,種類株式発行会社がある種類の株式の内容として定めることも可能(108条1項5号6号)。
[『LEGAL QUEST会社法』3版79頁,83頁参照]


2019年6月10日(その他3)
行政法72-74/ 1046-1048/ 行政庁の裁量も,行政行為の根拠法令で行政庁に授権されたものだから,授権範囲を越えたり,授権目的に反する行使は,#裁量権の逸脱・濫用として裁判所が取り消しうる(行訴法30条)。羈束行為は裁判所が判断代置審査するが,裁量行為は,目的違反or考慮不尽・他事考慮or合理的許容限度を超え不当なとき,違法。
[『LEGAL QUEST行政法』3版110頁-111頁(最判昭48・9・14民集27-8-925,地方公務員法に基づく分限処分に関する)参照]

/ 処分内容それ自体とは別に,その内容決定過程において考慮した事項,要素に着目する判断過程の統制法理(審査方法)も重要。ある行政行為の内容を決するうえで考慮しなければならない事項を考慮せず(#要考慮事項遺脱),逆に考慮してはならない事項を考慮(#他事考慮)して判断したなどの場合,当該行為は違法。
[同書112頁-113頁(最判昭48・9・14民集27-8-925など)参照]

/ 処分内容を決するうえで考慮しなければならない事項を考慮せず(要考慮事項遺脱),逆に考慮してはならない事項を考慮(他事考慮)し判断した場合,当該行為は違法。考慮事項選択が適切でも,#重視されるべき事項_要素を不当に軽視_逆に過大に評価すべきでない事項_要素を加重に評価した場合(考慮不尽),違法。
[同書113頁(最判昭48・9・14民集27-8-925など参照)参照]


2019年6月9日(その他1)
民法145/ 1045/ #被相続人の配偶者は_被相続人の財産に属した建物に相続開始時居住していた場合_配偶者居住権を取得しうる(改正民法1028条1項)。ただし,相続開始時に居住建物が被相続人と他者との共有である場合除く。遺産分割or遺贈or家庭裁判所の判断で設定される。#居住建物の所有者となった者に設定登記義務あり。
[平成29年度改正民法1028条-1031条参照。参考:http://www.moj.go.jp/content/001263589.pdf]


2019年6月6日(その他5)
商法148/ 1044/ 会社の承諾を得ない譲渡制限株式の譲渡は,#譲渡当事者間では有効だが,会社に対する関係では効力を生じないと解すべきだから,#会社は_譲渡人を株主として扱う義務がある(判例)。
∴株主Xが,保有株式全部をBに譲渡したが,譲渡等承認請求をしていない場合に,#Xに株主総会出席を認めないなどの措置は違法。
[最判昭63・3・15判時1273-124,『LEGAL QUEST会社法』3版,99頁-100頁,参照]

商法147/ 1043/ 会社or指定買取人が適法な買取り通知をしたときは,これらの者と譲渡等承認請求者との間で,価格未決定のまま売買契約が成立し,以後,#譲渡等承認請求者はこれらの者の承諾なき限り_請求を撤回できない(会社法143条)。売買価格は,両当事者の協議によるが,調わないとき,申立てにより,裁判所が決定(144条)。
[『LEGAL QUEST会社法』3版99頁参照]

商法146/ 1042/ 株式共有者は,当該株式の権利行使者を1人定め会社に通知せねば,権利行使できない(#会社法106条本文)。権利行使者指定,通知なくとも,会社の同意あれば共有者は権利行使可(ただし書)。#通知なきことを理由とする会社の権利行使拒否が信義則に反するといえる特段の事情あれば,共有者1名による権利行使可。
[『LEGAL QUEST会社法』3版122頁,最判平2・12・4民集44-9-1165,参照。参考:『会社法判例百選』3版〔10〕]

民法143,144/ 1040,1041/ 土地の1番抵当権設定時,土地と地上建物の所有者が異なり,法定地上権成立要件を充たさない場合,1番抵当権者は法定地上権負担なきものとして,土地の担保価値を把握するのだから,後に土地建物が同一人に帰属し,後順位抵当権設定で法定地上権成立と認めると,#一番抵当権者が把握していた担保価値を損なう。
[最判平2・1・22民集44-1-314内田『民法Ⅲ』3版427頁参照]

/ 土地の先順位の甲抵当権と後順位の乙抵当権の設定後,#甲抵当権が被担保債権弁済や設定契約解除等により消滅し,その後,乙抵当権実行により土地と建物の所有者を異にするに至った場合,#甲抵当権設定時には同一所有者に属していなかったとしても,乙抵当権設定時に同一所有者帰属であれば,法定地上権成立。
[最判平19・7・6民集61-5-1940『判例プラクティス 民法Ⅰ』〔360〕参照]


2019年6月3日(その他1)
行政法71/ 1039/ 事業活動等に伴う水質汚濁等による健康被害に係る損害の迅速填補のため,障害補償費を都道府県等が支弁するが,#原因者が本来すべき損害賠償義務履行に代わるもの。⇒「知事は,#その価額の限度で」支給義務を免れる(公健法13条1項)とされるが,判決確定による義務履行を全て受けている場合,支給義務なし。
[最判平29・9・8民集77-7-1021(『平成29年度 重要判例解説』〔行政法10〕)参照]


2019年5月ツイート:9,その他(憲法1;民法1,民訴法3;刑法4)
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