2019年6月(15日-30日分)ツイート:15,その他(憲法2,行政法1;会社法1,民執法1,要件事実1;刑法6,刑訴法3)


略号: ☆問題,〇判例,◇その他。R論文,Q設問,T短答,01令和元年。⇒ならば,∴なので(したがって,よって,ゆえに),∵なぜならば,⇔これに対し(て),orまたは,butしかし(もっとも),exたとえば。
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2019年6月29日(その他2)
刑法208,209/ 1073,1074/ #故意犯が成立するためには違法性の意識が必要とする見解は故意説と呼ばれる。これは,違法の意識を故意の概念固有の要素とする。
#違法の意識の可能性あれば,故意責任を問えるとする見解は責任説と呼ばれる。違法の意識の可能性を,故意・過失とは別の責任の要素たる #責任阻却事由と解するわけである。

/ 厳格責任説:構成要件該当事実の認識だけが故意の要素。違法阻却事由の認識の有無は,#違法性の意識の有無と同じく責任阻却事由。違法阻却事由の不存在を認識しなかったことに相当な理由があった,過失がなかったときに,責任阻却。
制限責任説:#構成要件該当事実と違法阻却事由不存在の認識が故意の要素。
[平野『刑法概説』95頁参照]


3:18 AM - 30 Jun 2019
/ #違法の意識,ないし,#違法の意識の可能性に関し,前者を故意の要素とするのは,故意説,後者を(故意・過失の上位概念にあたる)責任の要素とするのは,#責任説と呼ばれる(以下参照)。
故意説は大塚仁(厳格故意説)。わが国のいわゆる制限故意説は団藤,藤木。厳格責任説は福田,内藤。#制限責任説は平野,大谷。
https://twitter.com/right_droit3/status/1145033692034695174


2019年6月29日(その他1)
刑法207/ 1072/ 刑法207条適用の前提:検察官は,各暴行に当該傷害を生じさせる危険性あること,および,各暴行が外形的に共同実行に等しいと評価できる状況,すなわち,#同一の機会に行われたものとの証明,要。その証明がされた場合,各行為者は,自己の暴行が傷害を生じさせないことを立証しない限り,傷害につき責任を負う。
[最決平28・3・24刑集70-3-1『平成28年度 重要判例解説』〔刑法6〕参照。参考:山口『刑法各論』2版50頁LL2]


2019年6月27日(その他1)
商法150/ 1071/ C株式会社の募集株式発行にあたり,Bが他人Aの承諾を得て,A名義でC会社に募集株式の申込みをして割当てを受け,C会社も事情を知る場合,名義人・名義貸与者(A)ではなく,#実質上の引受人・名義借用者(B)が株主となる。会社が他人名義での株式申込みと知らない場合,会社は名義人(A)を引受人と扱えば足りる。
[『LEGAL QUEST会社法』3版318頁(最判昭42・11・17民集21-9-2448)参照。参考『平成30年度 重要判例解説』83頁左欄等]


2019年6月26日(その他1)
刑法206/ 1070/ 詐欺の実行行為たる「人を欺く行為」(欺罔行為)が認められるためには,#財物の交付の判断の基礎となるような重要事項につき欺くことを要する。もっとも,財物交付を求める,実行行為自体が行われずとも,#実行行為に密接で_被害を生じさせる客観的危険性が認められる行為に着手すれば,未遂罪が成立しうる。
[最判平30・3・22刑集72-1-82補足意見(裁判官山口厚)参照]


3:21 - 2019年6月26日
/ 最判平30・3・22刑集72-1-82補足意見(1枚目の引用)
法廷意見では事実の評価分析に終始しており,法律審として適当なのか疑問に思いましたが(法律解釈だけでなく,事実の解釈も法律学の重要部分だから?),補足意見で,法律理論が書かれ,事実分析も,より緻密にわかりやすく説明されていました(2枚目の引用)。
https://twitter.com/right_droit/status/1143585070445281280


2019年6月22日(その他2)
憲法104/ 1069/ 地方議会の自立性と法律上の争訟性・司法権(司法審査)の対象性は,#一般市民法秩序と直接の関係を有しない内部的な問題にとどまるかで判断。/愛知県議会規則は議員に議事における発言が配布用会議録に記載される権利利益を付与せず,⇒当該発言の取消命令の適否は一般市民法秩序と直接の関係を有しない。
[『平成30年度 重要判例解説』2頁,最判平30・4・26判時2377-10(最判昭52・3・15民集31-2-234,富山大学事件判決),参照。名古屋高判平29・2・2判自434-18が当然の前提としていた,「議員の議事における発言が配布用会議録に記載される権利」まで否定するの?]

憲法103/ 1068/ 国会議員の法律案審議での質疑で,個別国民の名誉や信用を低下させる発言があったとしても,#当然に国の損害賠償責任が生ずるものではなく,それが生ずるのは,当該議員が,職務と無関係に違法or不当な目的で,or,虚偽と知りながらあえて事実適示するなど,#権限の趣旨に明らかに背くと認め得る特別の事情要。
[『平成30年度 重要判例解説』2頁,東京地判平30・4・23(LEX/DB 25560586)(最判平9・9・9民集51-8-3850),参照。補足:「... ,国会議員がその付与された権限の趣旨に明らかに背いてこれを行使したと認め得るような特別の事情を必要とする」を短くしたものです。]


2019年6月20日(その他1)
行政法75/ 1067/ 一般に,#負担的行政処分の処分時に瑕疵があることを理由に当該処分庁が職権取消しをした場合(自庁取消し)に,当該処分を職権取消しするに足りる瑕疵があるか否かが争われたときの裁判所の審理判断は,#当該処分時における事情に照らし,当該処分に違法or不当があると認められるかの観点から行われるべき。
[最判平28・12・20民集70-9-2281『平成29年度 重要判例解説』〔行政法9〕,@YusukeTaira https://twitter.com/YusukeTaira/status/1133733845998563329, R01②(令和元年第2問)Q2(2),参照。参考:『LEGAL QUEST行政法』3版74頁L2(負担的行政処分)]


2019年6月19日(その他2)
要件事実22/ 1066/ #催告による解除の抗弁(履行期の定めのない事例):①買主Yが売主Xに対して目的物引渡しの催告をしたこと,②①の催告後相当期間が経過したこと,③YがXに対して②の期間経過後に解除の意思表示をしたこと,④YがXに対して①の催告以前に売買代金提供をしていたことを主張立証。再抗弁:債務不履行の軽微性。
[改訂『紛争類型別の要件事実』11頁,改正民法541条,参照。類型別の本と改正民法とを見て,自分なりにまとめてみました。民事系R01③(令和元年第3問)Q2。参考: YouTube 「改正民法vol.7(債権各論)第1回」https://youtu.be/1Y6zVmC7Hko?t=554
内田『民法Ⅱ』3版89頁-90頁に,解除の要件として帰責事由を要求すべきでないという見解が紹介されていますが,その説が採用されたのでしょう。
新しい基本書や,法制審議会 - 民法(債権関係)部会の議論など,ご参照下さい。]

民執法1/ 1065/ 第三者異議の訴え:第三者が他人間の強制執行(責任財産に属するという外観により判定される)により執行目的物となった財産に,自己の権利or保護されるべき法的地位を有し,それが不当に侵害されているとして,#特定の債務名義に基づく特定の財産への執行の排除を求め,債権者を被告として提起(民執法38条)。
[『LEGAL QUEST民事執行・民事保全法』(2010年)92頁-93頁参照]


2019年6月18日(その他3)
刑訴法124-126/ 1062-1064/ #別件逮捕を本件取調べに利用する意図が捜査機関に認められるとき_逮捕要件を備えた別件逮捕も違法(本件基準説)。∵①犯罪事実を明示すべき令状主義違反(刑訴法200条1項,207条1項・64条1項),②取調べを逮捕勾留目的と認めない刑訴法の趣旨に反する,③#身柄拘束の時間的制限潜脱,④国選弁護請求権侵害。
[上口裕『刑事訴訟法』2版126頁-127頁参照。R01②(令和元年第2問)Q1]

/ 本件取調べの意図は,#本件_別件に関する取調べ状況_本件_別件の重大性の程度・関連性_別件逮捕勾留の必要の程度などの事情を考慮し判断。本件取調べ目的でことさらに別件逮捕したと認められるならば,違法な別件逮捕・勾留となる。別件勾留請求時,本件逮捕状請求時,勾留質問,弁護士の準抗告で発見可能。
[同書127頁参照。R01②Q1]

/ 強盗致死事件(本件)の取調べは,業務上横領事件(別件)による勾留期間20日中,#12日間40時間行われており,これに対し,別件の取調べは7日間20時間しか行われていない。別件の被害額は少額で,本件との関連性もない。被害を受けたとされるX社社長も被害届提出を渋っており,#別件逮捕勾留の必要の程度は低い。
[令和元年司法試験問題 論文式試験 刑事系科目 第2問 設問1参照
http://www.moj.go.jp/jinji/shihoushiken/jinji08_00177.html]


2019年6月17日(その他2)
刑法205/ 1061/ 事後強盗罪の構造理解について,構成的身分犯説,加減的身分犯説,複合身分犯説,結合犯説等あるが,結合犯説が妥当と解する。∵#身分犯説は_事後強盗罪の実行行為を暴行・脅迫とし_暴行・脅迫罪の加重類型とするが,そもそも,可罰性を基礎づける財物奪取(窃盗)の法益侵害の惹起を身分とすることに問題あり。
[山口『刑法各論』2版231頁-232頁参照。R01①Q2]

刑法112/ 848(修正)/ #事後強盗罪は_窃盗罪と暴行・脅迫罪の結合犯と解する。窃盗と,暴行・脅迫が法益侵害内容であり,暴行・脅迫は実際に行われること要。#財物に対する罪として,窃盗の既遂・未遂により,同罪の既遂・未遂が決まる。#暴行・脅迫にのみ関与した後行者は_承継的共犯否定説から,暴行・脅迫罪の共犯となるのみ。
[同書233頁参照。山口教授は,後行者の加功前の事実につき承継的共犯を否定され,中間説的な考え(加功後の事実につき共犯関係を認める)を採られるので,事後強盗の途中から暴行・脅迫にのみ関与した後行者は,加功前の窃盗につき共犯責任を負わない,という理屈のようである。]

刑法204/ 1060/ ①事後強盗罪の主体は「窃盗」であり,#窃盗罪の犯人を意味し_1項強盗罪の犯人も含むと解する。②暴行・脅迫は,強盗罪と同程度,すなわち,財物取返しや逮捕の行為を抑圧するに足る程度のものを要する。③財物取返し防止,逮捕免脱,or罪跡隠滅目的要。④#窃盗の犯行現場orその機会係属中に行われること要。
[山口『刑法各論』2版227頁-228頁参照。事後強盗罪は,窃盗罪・同未遂罪と暴行・脅迫罪との一種の結合犯。∵身分犯との理解では,事後強盗罪の実行行為は,暴行・脅迫のみとなり,先行する窃盗罪の既遂・未遂から事後強盗罪の既遂・未遂を決する一般の解釈にそぐわない。]


2019年6月(1日-14日分)ツイート:21,その他(行政法4;民法3,会社法4,倒産法4;刑法6)
http://tl.gd/n_1sqtvij

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