2019年10月(1日-8日分)ツイート18ヶ:その他(憲法1;民法3,民執法1;刑法10,刑訴法3)


2019年10月8日(その他3)
◇罪証隠滅を疑うに足りる相当な理由(刑訴法60条1項2号)
刑訴法130/ 1134/ 罪証隠滅を疑うに足りる相当な理由は,単なる抽象的な可能性では足りず,#被疑者がその意図をもち_かつ隠滅が客観的に可能という_具体的蓋然性要。罪証には,検察官の公訴提起判断・裁判官の刑の量定に際し参酌される事情に関する証拠,含む。ただし,黙秘・否認をもって直ちに相当な理由ありとはいえない。
[上口裕『刑事訴訟法』2版(2011年)100頁参照。刑事R29予備]

◇勾留質問
刑訴法129/ 1133/ 勾留請求された場合,逮捕の効力として,勾留質問のために被疑者を裁判官のもとに引致し,請求却下・釈放命令あるまで身柄継続可。#被疑事実だけでなく_適用されるべき刑訴法60条1項各号の事由を告げ陳述を聴くべき。黙秘権告知規定はないが,告知すべき。@裁判所庁舎。要求あれば弁護人立会い認めるべき。
[上口裕『刑事訴訟法』2版(2011年)103頁-104頁参照]

◇営利的言論の自由(四段階テスト)
憲法106/ 1132/ 営利的言論の自由:#国民一般が_消費者として_広告を通じ情報を受け取る重要性に鑑み,保護要。but,自己統治の価値がより重要だから,保障程度:非営利的(政治的)言論より低い。①合法的活動に関する真実で誤解させない表現,②実質的規制利益,③規制がその利益を直接促進,④必要以上に広汎でないかで審査。
[芦部『憲法』5版(2011年)186頁参照。R3①後段]


2019年10月7日(その他4)
◇有形偽造の意義(作成名義人と作成者の人格の同一性を偽ること)
刑法235/ 1129/ #文書は_意思・観念の表示の証拠となりうる。意思・観念の主体(作成者)として文書上認識される作成名義人が,本当の意思・観念の主体(作成者)ではなかったということにより,文書の証拠性の信用が害される。この意味で,#文書の作成名義人と作成者の人格の同一性に齟齬を生じさせることが有形偽造である。
[山口『刑法各論』2版435頁-436頁(最判昭59・2・17刑集38-3-336など)参照]

◇代理・代表名義の冒用
刑法236/ 1130/ 代理・代表名義の冒用:判例は,#文書内容に基づく効果が本人に帰属する形式を備えてるから,作成名義人は代理・代表された本人とする(⇔#虚無人)。but,#文書に表示された意思・観念が本人に帰属し_本人の意思・観念の表示の証拠となる外観が存在することが,本人を作成名義人と解する根拠となると解する。
[山口『刑法各論』2版460頁(最決昭45・9・4刑集24-10-1319,効果説)-461頁(帰属説,438頁)参照]

◇作成権限の濫用・逸脱
刑法237/ 1131/ 文書の作成名義人から作成権限を与えられている者の権限の濫用・逸脱:効果が本人に帰属するか否か問題とする効果説によると,善意者は保護され,有形偽造とならない。⇔#文書上の意思・観念の表示が名義人に(客観的に)帰属するか問題とすべきであり,実質的に作成権限が与えられていたか否か,基準となる。
[山口『刑法各論』2版462頁-463頁(大連判大11・10・20刑集1-558など)参照。R01(令元)予備1事実]

◇ウェーバーの概括的故意事例(因果関係の錯誤)
刑法234/ 1128/ ウェーバーの概括的故意:殺人の①行為と被害者死亡との間の因果関係肯定可。∵①#頸部絞扼が被害者死亡に物理的に寄与しており_共同原因といえ,②死体遺棄という,被害者の死に過失あるにすぎない行為は,①に強く動機付けられ,誘発されたものだから,①の危険性が②を介し被害者の死に間接的に現実化。
[山口『刑法総論』3版231頁(大判大12・4・30刑集2-378),R01(令元)予備3事実,参照。
 山口教授は,因果関係の錯誤の事例にほかならないとされる。頸部絞扼(けいぶ,こうやく)]


2019年10月5日(その他3)
◇殺人罪の実行行為性
刑法233/ 1127/ Aが高速度走行する車から転落すれば相当の衝撃を受けること,頭を強打すれば死亡する危険が高いこと,市内の国道上なので深夜とはいえある程度,交通量があり,路上転落により他車に轢かれる可能性も少なくないこと等を考えると,甲の行為は,Aの生命に対する高度の危険をもった行為,#殺人の実行行為性あり。
[『刑法事例演習教材』初版(2009年)有斐閣〔1〕ボンネットの上の酔っぱらい 3頁参照。R23①]

◇故意の構成要件関連性
刑法231/ 1125/ メタノール所持・販売処罰の罰則適用にあたり,行為者にはメタノールたることの認識が必要で,単に身体に対する有害性の認識があったのでは足りない。もっとも,覚せい剤輸入・所持事案で,#覚せい剤たることの可能性が行為者の認識から排除されていなければよいとし,TB該当事実の認識が緩やかに解された。
[山口『刑法総論』3版202頁(最判昭24・2・22刑集3-2-206,最決平2・2・9刑集1341-157)参照]

◇概括的故意
232/ 1126/ 行為者に認識・予見されたTB該当事実は,特定されたものでなく,一定の概括的なものも可(#概括的故意)。たとえば,A殺害のため,留守中に鉄瓶の湯に毒薬を投入,Aほか3名が飲んだが,味がおかしいので飲むのをやめ,殺害に至らなかった場合,家人も飲む予見あれば,#実際に飲んだ人数に応じ故意犯(未遂罪)成立。
[山口『刑法総論』3版203頁(大判大6・11・9刑録23-1261)参照]


2019年10月4日(その他5)
◇故意と過失のヴァリエーション
刑法230/ 1124/ 故意:①#犯罪事実実現を意図する場合,②それを確定的なものとして認識・予見する場合(#確定的故意),③#その蓋然性の認識・予見のある場合(未必の故意)。過失(犯罪事実の認識・予見の可能性ある場合):①犯罪事実が一旦は行為者の意識上がったがそれを否定した場合,②行為者の意識の上がらなかった場合。
[山口『刑法総論』3版214頁,平野『刑法総論Ⅰ』(1972年)187頁,参照。
・故意:①意図,②確定的故意,③未必の故意。過失:①認識ある過失,②認識なき過失。]

◇凶器の種類・用法,創傷の部位・程度(客観的な情況証拠の積み重ね)
刑法229/ 1123/ 故意につき認容説に基づけば,意思的要素まで認定要。殺人の故意の認定では,①どのような凶器を使用したか(凶器の種類),②それをどのように使ったか(用法),③身体のどの部位に,どの程度の創傷を負わせたか(創傷の部位と程度)が重要という。but,これは,#実行行為に生命侵害の現実的危険性があるかの問題?
[大塚裕史『ロースクール演習 刑法』2版(2013年)6頁,受験新報799号(2017年9月)109頁,山口『刑法総論』3版214頁-215頁,参照]

◇認識説(動機説)
刑法228/ 1122/ 故意を認めるために意思的要素を要するとしても,それは,行為に出る意思たる行為意思であり,故意の要素ではなく,行為の要素として既に行為認定時に考慮済。#故意の有無にとっては行為者の認識内容が問題であり(認識説),TB実現が行為者の意識内に浮かんだが,それを否定しつつ行為にでたときも,故意あり。
[山口『刑法総論』3版43頁注15,214頁-215頁参照。
・いわゆる認容説では,故意を認めるためには,認容という意思的態度(意思的要素)が必要だとする。この見解によると,構成要件の実現が一旦は行為者の意識内に浮かんだが,それを否定しつつ行為にでた場合には,故意そのものではなく,未必の故意として故意責任が認められるようであるが,平野教授・山口教授のとられる認識説(動機説)によると,その場合も端的に故意ありとされるようである。平野『刑法総論Ⅰ』(1972年)186頁-187頁も参照。
 認識説(動機説)の方がよりシンプルでわかりやすいと,私は思います。]

◇土地所有権と賃借権の混同の例外
民法152/ 1121/ 対立する法律上の地位・資格が同一人に帰する場合,#一方の権利は_混同により消滅するのが原則(民法179条,520条)。特定土地に所有権と賃借権(債権)とが同一人に帰属した場合も,賃借権が対抗要件を具備した後に当該土地に抵当権が設定されていたときは,#179条1項ただし書準用により,賃借権は消滅しない。
[最判昭46・10・14民集25-7-933,『判例プラクティス 民法Ⅰ』(2010年)〔263〕,参照]

◇動産譲渡担保権者による第三者異議の訴え
民執法2/ 1120/ 譲渡担保権者は,#動産執行の配当要求者ではない(民執法133条参照)。but,譲渡担保権者の把握する担保価値が,一般債権者の強制執行に関わらず維持される必要とともに,目的物の担保価値が譲渡担保の被担保債権を上回る場合の余剰価値への一般債権者の利益を守る必要あり。⇒#第三者異議の訴え認めるべき。
[『LEGAL QUEST民事執行・民事保全法』(2010年)98頁-99頁,最判昭56・12・17民集35-9-1328(『判例プラクティス 民法Ⅰ』(2010年)〔377〕,参照)]


2019年10月3日(その他1)
◇抵当権の消滅時効
民法151/ 1118/ #抵当権は_債務者および抵当権設定者との関係では_債務が消えずに抵当権だけ時効で消えることはない(民法396条)。反対解釈から,第三取得者や後順位抵当権との関係では,被担保債権と別に20年の消滅時効にかかるとの判例あるが,#時効中断だけのために訴訟提起させるのは_非効率。⇒#反対解釈否定すべき。
[内田『民法Ⅲ』3版473頁,『判例プラクティス 民法Ⅰ』〔367〕(大判昭15・11・26民集19-2100)解説,参照]


2019年10月2日(その他1)
◇明渡しの猶予(民法395条1項)
民法150/ 1118/ 旧395条削除⇒#賃貸借は抵当権と順位関係に立ち,抵当権設定登記後に設定された賃借権は原則,抵当権者に対抗不可。but,①競売手続開始前からの使用収益,②強制管理or担保収益執行の管理人が,競売手続後になした場合,#明渡猶予される(新395条1項)。#賃借権の承継でないから_買受人は敷金返還義務不承継。
[内田『民法Ⅲ』3版440頁-441頁参照]


2019年10月1日(その他1)
◇実質的(客観的)挙証責任
刑訴法128/ 1117/ 証拠調べを終えても,要証事実につき真実を決せないときに(non liquet),裁判拒否は許されず,#要証事実ありと判断するか_なしと判断するかのいづれかであるが_その判断によって不利益を受ける当事者の地位・負担を,実質的(客観的)挙証責任という。犯罪事実・これに準ずる事実の挙証責任は,検察官が負う。
[古江賴隆『事例演習 刑事訴訟法』初版(2011年)187頁-188頁〔18〕参照]

略号: ☆問題,〇判例,◇その他。R論文,Q設問,T短答。⇒ならば,∴なので(したがって,よって,ゆえに),∵なぜならば,⇔これに対し(て),orまたは,butしかし(もっとも),exたとえば。
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ブログ: http://right-droit.hatenablog.com/archive

2019年9月ツイート20:その他(民法4,商法1,民訴法1,倒産法5;刑法9)
https://www.twitlonger.com/show/n_1sr1eaj

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