2019年10月(9日-31日)ツイート15:事案(刑法8);その他(憲法1,行政法1;民法1,商法1,民訴法1,倒産法1;刑法1)


2019年10月31日(事案4;その他1)
☆「罪を犯した者」の意義
刑法事案15/ Xは,恐喝で逮捕状を発付され逃走中のAを2か月間蔵匿し,犯人蔵匿罪で起訴された。弁護側は蔵匿対象者は「罰金以上の罪を犯したる者」なので,罪を犯したという事実が確定されない限り本罪不成立と主張。/#刑法103条の保護法益は司法に関する国権の作用であり,「罪を犯したる者」捜査中の者も含む(判例)。
[最判昭24・8・9刑集3-9-1440『判例プラクティス 刑法Ⅱ』〔497〕参照。当時の条文は,「罰金以上ノ罪ヲ犯シタル者」とされていたのであろう。しかし現在の文言は「罰金以上の刑に当たる罪を犯した者」なっているため,「罪を犯した者」を限定すべき文言上の理由付けは使えなくなっているようである。]

刑法238/ 1141/ 刑法103条で保護されるべき司法作用とは,#真犯人を適切に訴追・処罰することに関する司法作用であり_本来なされるべきではない身柄確保に関する司法作用は保護されていないと解すべき。⇒真犯人でない者の身柄確保は,本来なされるべきではない身柄確保であり,「罪を犯した者」は,#真犯人に限定すべき。
[深町晋也『判例プラクティス 刑法Ⅱ』〔497〕(最判昭24・8・9刑集3-9-1440)解説参照]

☆職務としての現行犯逮捕の適法性
刑法事案14/ 巡査Aらは,Xを日本刀仕込杖所持により,銃砲刀剣類等所持取締法違反で現行犯逮捕するときに,X側に寄りかかってきたYが,何か手渡されている気配を察知し,両名間に割り込んだところ,Yの腹あたりからけん銃落下。#AらはYも逮捕しようとしたが,Xらは,Aらに暴行。#1審_Y同取締法違反罪_無罪。公務執行妨害罪?
[最決昭41・4・14判時449-64『判例プラクティス 刑法Ⅱ』〔489〕参照。適法性判断は,裁判所が法令の解釈により客観的に判断すべきものであり,かつ行為時の状況を前提とすべきとの結論。]

☆職務の適法性(刑法95条1項)
刑法事案13/ 市会議員Xは,予算審議の市会で,議長Aの開会宣言後,水道問題を質問。他議員も重大・緊急の同問題先議を主張し,日程変更動議提出,議員数名賛成。#複数賛成者ある動議は議題とさるべきもので(規則9条参照),議題に取り上げられないのは許されないとし,XはAの襟をつかみ,檀下に引き下ろした。#職務の適法性?
[大判昭7・3・24刑集11-296『判例プラクティス 刑法Ⅱ』〔485〕参照。参考:山口『刑法各論』2版544頁]

☆受託収賄罪,贈賄罪
刑法事案12/ 刑法R27予備:B市職員で公共事業者選定・契約締結権限ある丙は,(株)A社総務部長甲から,業者選定での有利取扱いの請託を受け,賄賂約束,妻丁を介し現金50万円収受(#197条1項後段,受託収賄?)。総務部長乙から頼まれた甲は,丙に,有利取扱いの見返りに賄賂供与を約束,事情を知る丁を介し供与(#198条,贈賄?)。
[平成27年司法試験予備試験 論文出題趣旨 刑法, 他の方の参考答案ブログ(http://study.web5.jp/150729a.htm],参照]


2019年10月30日(事案1)
☆刑法104条「他人」に死者も含むか
刑法事案11/ 刑法R23予備:甲は,#経済苦に耐えかねた妻乙が長女丙を殺した痕跡や,自殺を図った乙の依頼により承諾殺人を行った痕跡を消し,焼死したように見せかけるために,乙丙の周りに灯油をまき,抵当権負担のある自宅を焼失させた。証拠隠滅罪の成否?「#他人」(刑法104条)に死者も含むか? 保護法益:刑事司法作用。
[平成23年司法試験予備試験 論文出題趣旨 刑法, 参考答案ブログ(https://blog.goo.ne.jp/kuma_pat/e/783bf7cddd9ae655d0f5c6900e23408a),山口『刑法各論』2版576頁,参照]


2019年10月25日(その他1)
◇同時審判申出共同訴訟の訴訟要件
民訴法126/ 1140/ 同時審判申出共同訴訟の要件は,①両訴訟が通常共同訴訟の要件をみたし(民訴法136条,38条),②権利が法律上併存し得ない:#一方の請求における請求原因が他方における抗弁事実となる等_主張レベルで請求が両立しない関係にあり(41条1項),③事実審の口頭弁論終結時までに原告が申出をすること(2項)である。
[平成30年度司法試験予備試験 論文出題趣旨 民訴法設問1,参考答案ブログ(http://study.web5.jp/180816a.htm),『民事訴訟法講義案』再訂補訂版309頁-310頁,298頁,参照]


2019年10月23日(その他1)
◇団体の内部事項に関する行為(地方議会)
憲法107/ 1139/ #自律的な法規範をもつ社会ないし団体では,当該規範の実現を内部規律の問題として自治的措置に任せ,司法審査が及ばないものがある。地方議会議員の出席停止処分等。⇔除名処分は,#議員の身分喪失に関する重大事項で_単なる内部規律の問題にとどまらず_市民法秩序につながる問題だから,司法審査が及ぶ。
[芦部『憲法』5版335頁(最大判昭35・10・19民集14-12-2633)参照。R30予備]


2019年10月21日(事案3)
☆預金による金銭の占有
刑法事案8/ 刑法R30予備:甲が,Vから投資のため預かった500万円を,甲名義定期預金口座に入れ,預金証書原本をVに渡したが,甲は当該口座届出印を使い,証書再発行をし,500万円払戻しを受け,自らの借金返済に充てた。#甲の銀行に対する正当な払戻権限の有無により預金の占有が判断されると解するが,業務上横領罪の成否?
[平成30年司法試験予備試験論文式試験[刑法]参照。参考:山口『刑法各論』2版295頁(大判大元・10・8刑録18-1231,最判昭25・2・24刑集4-2-255)]

☆利益の移転
9/ 刑法R30予備:甲乙は,Vを脅し債権放棄させる共謀をし,乙方を訪れ,各々サバイバルナイフをVの目の前に示し,さらに乙が,Vの胸倉をつかみ,喉元に刃先を突き付け,いわれのない違約金500万円と甲の負う債務500万円との相殺を迫り,「#甲V間には一切の債権債務関係はない」旨の念書を作成させた。強盗罪の成否?
[平成30年司法試験予備試験論文式試験[刑法]参照]

☆共犯関係の成立範囲,解消
10/ 刑法R30予備:甲乙は,Vから500万円の債権につき強盗利得の共謀をし,共同で実行したが,乙がさらにVから10万円を強取しようとしたため,甲は乙を連れ出し,ナイフを取り上げ,犯行をやめさせ立ち去った。直後,乙はV方に戻り,恐怖で身動きできないVの財布から10万円を強取した。#共犯関係の成立範囲_解消如何?
[平成30年司法試験予備試験論文式試験[刑法]参照]


2019年10月16日(その他1)
民法153/ 1138/ 民法177条には,第三者に何の制限もなく,①#当事者と包括承継人以外の者,全て含むとも解しうる。but,B⇒Aと土地譲渡後,Aが通謀虚偽表示でCに移転登記したとき,Bが登記なしにはCに所有権を対抗できないのは不当。∵C全くの無権利者。∴第三者:①かつ②#登記の欠缺を主張するにつき正当な利益を有する者。
[内田『民法Ⅰ』4版455頁(大連判明41・12・15民録14-1276)参照。R01(令元)予備Q1]


2019年10月10日(その他3)
◇財団債権の代位弁済者による権利行使
倒産法83/ 1137/ 原債権行使は,#自己の権利に基づき求償できる範囲内に限られる(新民法501条2項)。もっとも,#弁済による代位で財団債権を取得した者は_同人が破産者に対して取得した求償権が破産債権にすぎない場合であっても_破産手続きによらないで,その原債権たる財団債権を行使。∵原債権に,担保としての機能あり。
[『倒産法演習ノート22問』2版(2012年)103頁―104頁(最判平23・11・22判時2134-62①)参照。R01(令元)①Q1]

◇処分性の意義
行政法76/ 1136/ 処分:#公権力の主体たる国or公共団体が行う行為のうち_その行為によって_直接国民の権利義務を形成しorその範囲を確定することが法律上認められているもの。①当該行為が公権力の行使にあたり,②法的効果を有し,③その効果が国民の権利義務に関わり(外部性),④一般的抽象的でなく,個別具体的(成熟性)。
[『LEGAL QUEST行政法』3版214頁(最判昭39・10・29民集18-8-1809,大田区ゴミ焼却場設置事件)参照]

◇取締役会決議について特別の利害関係を有する取締役
商法154/ 1135/ #決議に特別利害関係を有する取締役は_決議の公正を期すため_議決に加われない(会社法369条2項)。ex.365条1項の承認をする場合の取引に関わっている取締役。定足数算定からも除外。退席を要求されれば審議にも加われない。自らの代表取締役選定決議には加われるが,解職決議には加われない(⇔閉鎖型?)。
[『LEGAL QUEST会社法』3版183頁-184頁(最判昭44・3・28民集23-3-645)参照。R01(令元)予備Q1,R28①Q1(1)]

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略号: ☆問題,〇判例,◇その他。R論文,Q設問,T短答。⇒ならば,∴なので(したがって,よって,ゆえに),∵なぜならば,⇔これに対し(て),orまたは,butしかし(もっとも),exたとえば。
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2019年10月(1日-8日分)ツイート18ヶ:その他(憲法1;民法3,民執法1;刑法10,刑訴法3)
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